中位のメンタリティに染まってしまった?

 ちょっと厳しいお話を。
 選手起用やらサッカーのスタイルやら戦術やら、選手の能力やらコンディションやら、補強やら育成やら。
 サッカーの勝敗には、いろいろなものが絡んでくると思います。


 しかし、あれだけ単純なミスが多い状況では、勝てないのも当然。
 岡山は明らかに、ジェフのグラウンダーでの縦パスを狙うため、守備で前を閉じるポジショニングを取ってきていた。
 にもかかわらず、そこに向けて縦パスを強引に通そうして、当たり前のようにボールを失ってしまう…。


 しかも、それが若い選手ならまだしも、ベテラン選手等に見られたのは非常に残念…というか、もうどうしようもないレベルですね。
 それはもう、監督だとか戦術云々以前の問題で。
 それが岡山戦だけならまだ仕方ないとも思えなくもないですが、ここ3試合ともにそんなミスが続いてしまっては。
 単純な技術や判断力の課題ではない、気の抜けた精神状態というか、意識の低さを感じるプレーでした。


 モチベーションコントロールなどの問題は言えるのかもしれませんが、あんなミスを見せられて監督だけに責任を押し付けるというのは、あまりにも選手に優しすぎる気がします。
 そして、行き過ぎた優しさは、結果的にその対象を傷つけることにもなりかねないですよね。



 …ただ、実際に監督のモチベーションコントロールの問題はあるのかもしれません。
 京都戦後にも気持ちが切れてしまったのかと心配し、東京V戦では持ち直したのかなとも思ったのですけど、岡山戦を見るとやはりメンタル面に課題があるような気はします。


 もしかしたら、同じ戦術を1年通したことによる弊害が起こっているのか。
 その戦術が完璧ににうまくいっている状態なら良かったのかもしれないけれど、守備面での課題も大きく、攻撃面でも最後の部分での崩しはできてこなかった。
 まぁ、バイタルエリアで前を向く形までチームとしてある程度作れていれば、後は監督ではなく選手の能力やセンスの問題ではないかな…とはずっと思ってきていたのですが。
 チームの結果も出ない中で、戦術的な変更が行われていれば精神的にリフレッシュにもなったかもしれないけれども、1つのやり方を通してしまったことで逆にマンネリ感が生まれてしまったのかなぁとも思ったりします。
 1つの方向性でチーム作りをしていくこと自体は本来間違っていないやり方だと思うのですけど、実際問題としての話。


 しかも、束ねなければいけないのは経験豊富な選手たち。
 いろいろなことを経験しているだけに、他の方法もあるはずだと1つの戦術を信じ通すことが出来なかった…?
 昨年などは木山監督が、何度か戦術を変更したことによるガス抜きもあったのかもしれません。
 まぁ、どちらかといえば、サポーターのガス抜きになったのかもしれないけれども(笑)


 例えば長崎の選手などなら、それなりの実績ある監督が始動すれば素直に意見を聞いてくれそうですけどね。
 けれども、世界的に有名な指導者や日本でも有数の実績を誇る監督に導かれた経験のある選手たちは、素直には従ってくれないということなんでしょうか。
 それに加えて現在は自動昇格の目も薄れて、けれどもプレーオフ出場の可能性は大きい状況で、気持ち的に緩みが出来て集中力の欠いたプレーが増えてしまっているのかなと。



 どちらにせよ、無駄にプライドのある選手、クラブであることによって、モチベーションが保ちにくい部分があるような気がします。
 毎年のように、薄らと聞こえてくる選手からの監督への不満。
 岡山戦でも残念ながら、自ら責任を取ろうとして、自分で試合をひっくり返してやろう、このチームを変えてやろうという意思を感じるような選手は、最後まで見つからなかったかなと。
 もしかしたら、日本人の特性なのかもしれないですけどね。
 何か不満があれば、責任は上司へ、あるいは会社へ、はたまた政府へ…。


 そこに対してサポも、あまりにも選手の責任を回避しやすい方向に、話を持っていきすぎなのではないのかなと。
 要するに、責任を監督だけに押しつけ過ぎなのではないか。
 もちろん先ほど言ったような戦術の問題もあるし、モチベーションの部分においても問題は指摘できるのかもしれません。
 コンディションの問題…は選手というより、選手構成やクラブ運営の問題も大きく、それが根強く尾を引いているとは思うのですが。
 中途半端な寄せ集めチームを作った結果、体力面で課題のある選手たちが集まってしまったと。
 主軸と期待されている選手たちはピークを過ぎているか、前チームでも柱とはなりきれなかった選手たちばかりで、名前は売れていても1シーズンを通して軸となるには不安がある状態で。



 好きなサッカーが出来て、良いスタジアムがあって、新しい練習場があって、綺麗なクラブハウスもあって。
 それなりのお給料ももらえて、それなりにサポも集まって選手には優しく、責任は最終的に監督が持ってもらえると。
 それだけ恵まれた状況なら、決してJ1に上がる必要性も強く感じないかもしれませんね。
 オシム監督の言っていた「中位のメンタリティ」がまさにそこに。
 残念ながらJ1からJ2へとカテゴリは下がってしまいましたけれども、どちらにせよサッカーに、勝利に貪欲な印象というのはなかなか見えてこない。


 「気持ち」なんて見えないものの話はあまりしたくないのですけど、これだけミスの多い試合が続くとさすがに心配になります。
 J1昇格はもちろんですが、クラブとして、選手として、それぞれどのような道を歩むのか。
 あれだけ選手がミスをしても選手は許されてしまう状況が、クラブとして正常なのかどうか。
 選手1人1人の将来に悪影響を与えてはしまわないか。


 誰かに責任をとらせて、「はい、リセット」で上手くいくような簡単な問題ではないのではないかと。
 しっかりと過去を反省せず、活かしてこなかったクラブの根の深い問題な気がします。
 ここ数年の問題でもないし、J2に落ちたからということでもないでしょう。
 アマル監督の頃から問題は生じていて、アマル監督の解任からクラブの転落が進んでしまったと…。
 ようするに、早く結果は欲しいから、我慢は出来ない。
 けれども、選手は07年末に大量流出していてから、長らく軸となるべきベースが作れていない状態で、その上にベテラン選手ばかり補強して。
 しかし、それでも監督などには責任を追及して、選手たちは結果的に許され、チームの根本は成長・変化出来ないまま進んでいく…。


 個人的には長い目で見るべきだとJ2初年度から言ってきましたけど、それを環境が許さないのではないかという意見もある。
 親会社やスポンサーやサポーターや。
 けれども、もしそうならば中途半端なお金だけ出して、文句だけ言っていることになりますね。
 J2では予算は豊富といったって、FC東京G大阪ほど飛び抜けた予算規模ではないわけで。
 もしそれで短期的な結果だけ求めているというのであれば、わがままだなとしか思えない。
 一般企業だって新しいプロジェクトに対して、種を植える時期は必要でしょう。



 もしかしたら、大きな岐路に立たされているのかもしれませんね。
 J2に降格して4年目。
 毎年1年での昇格を目指して中・長期的プランなどあったものではない補強をして同じように昇格失敗を繰り返してきたんですから、それによる歪みが出てこない方がおかしいとも言えなくもないのかもしれません。
 もちろんチームとしては与えられたもので結果を残すしかないのだから、昇格を目指すのは当然のこと。
 けれども、クラブとしてはどうなのか。
 毎シーズン博打のようなやり方をして、昇格に成功すれば大当たり、ダメならもう一度くじを引きなおす…なんてことを続けていいのか。
 毎年この時期からオフにかけて、「一度チームを解体して、作り直した方が良いのでは…」と言っている気がしますけど(笑)


 まぁ、もちろん昇格の可能性はまだありますし、昇格すれば話は大きく変わってくるかもしれない。
 今シーズンの反省会をするにはまだ早すぎるとは思いますが、冷静に現状をとらえることも大事ですよね。



 話が長くなってしまったので、試合に関してはまた明日。
 選手の気の抜けた酷い試合だったと思いますけど、悪い時間帯だけではなかったですし、選手の見極めという意味ではまたいろいろなものが見えてきた試合だったのではないかとも思います。
 それらをうまく集約できるかどうかが大事になってくるわけですけど選手1人1人課題が多いですし、簡単ではなさそうですね。