守備を崩すだけの攻撃力か、冷静な試合運びか

 クラブ新記録の7連勝をかけての戦いでしたが、簡単には記録を更新できませんでしたね。
 岐阜も良い守備を見せてくれましたが、ジェフがそれを上回れなかったということになります。


 久々に試合らしい試合を見れて良かったですけど、その試合で勝てなかったというのはより一層悔しいですね(笑)
 ジェフもまだまだ乗り越えなければいけないことがあるということでしょうか。
■セットプレーの流れから失点
 ジェフはミリガンがオーストラリア代表に選出され、大岩がトゥーロン国際大会から復帰。
 完璧なコンディションではなかったかもしれませんが、試合序盤には精度の高いセンタリングを上げていましたね。
 あれが決まっていれば…と今考えると思ってしまいますが。


 岐阜は序盤から積極的でした。
 攻撃ではどんどん前にボールを出していき、相手のミスを待ちながらジェフを押し込む狙いだったのかなぁと。
 守備でも素早いチェックを見せ、特にボールを奪われた瞬間とFWに縦パスが入った瞬間に激しく寄せる守備を展開していきました。



 その動きもさすが少しずつは落ち着いていき、ジェフの遅攻時は前にはあまりプレスに行かず4-4-2の守備陣形で前線はハーフウェイラインより後ろに下がっている状況に。
 そして、岐阜CB付近にボールが入ってきたら、多くの選手で囲っていく守備をしていきました。


 縦に出すと囲まれる守備には苦労しましたが、その分ジェフの後方では楽にボールを回せる状況で。
 この状況でうまく相手を揺さぶる、ボールを回して疲れさせる…というのができればよかったと思うのですけど、なかなかそこまがうまくいきませんでした。
 ボールを回して相手を疲れさせる…というのは、木山監督も就任当初から言っていた狙いだったはずで。
 特にジェフの場合は対戦相手が奇襲的な狙いで序盤から飛ばしてくることも多いわけで、そこで冷静に相手をいなして、疲れさせるという狙いが重要だと思うのですが。
 実際にはパスはつなげてはいても、相手を走らせるようなパスワークはあまりできていないのかなと。
 攻撃の縦パスはできていても、相手を揺さぶるようなパスはできていないというか、うまく使い分けができていないのかな?とも感じました。
 実際にはむしろ一発での縦パスを狙いすぎて、後方のパス回しが遅くなってしまい、相手の読みやすい縦パスばかりになっていた印象があります。


 守備に関しては相手の早い攻撃に対して、ずるずるとラインが下がることが多かった印象です。
 何度も言っていますけどDFラインとMFラインがかなり密接している守備をしているので、DFラインが下がるとそれと同時にMFラインも下がってしまうのかなと思います。
 そのため、ロングボールへの対処のためにDFが下がると、MFも下がって全体的に押し下げられやすい状況に。


 前半36分。
 岐阜のセットプレーからのこぼれ球を相手に拾われミドルシュートを放たれると、それを岡本がはじいて最後は佐藤が決めて先制されてしまいます。
 ここまでJ2最少失点を誇ってきたジェフですが、セットプレー時の守備に関してはちょっと怪しいところもありましたしね…。
 この瞬間ラインを上げてしまったジェフですけど、相手はフリーでボールを持っていましたし、ちょっと安易だったかなとも思います。
■終盤の猛攻も実らず
 なかなか岐阜の守備を混乱させられないまま後半へ。
 ジェフは佐藤健太郎に代えて、佐藤勇人を後半頭から投入。
 全体的なバランスを整えようという整理しようという意図があったんでしょうか。
 伊藤を中盤の底においてパスワークを活性化させようという狙いもあったのかもしれませんが。


 後半序盤は藤田がサイドに流れることが多く、前半よりもサイドからの展開を狙う考えがあったのかな?とも感じました。
 前半から岐阜は中央の高い位置にボールが入ると一気に選手が集中してくる守備をしていたので、そこを避ける攻撃を狙ったのかなぁとも。
 しかし、スムーズなパスワークとはいかず、岐阜の守備もなかなかぶれなかったですね。
 逆に前半にも1、2回あったような、あえて中央で食いつかせて、外を狙う流れのほうが可能性は感じたかなと思います。



 後半20分あたりから、徐々に岐阜の流れも落ちていきました。
 中央へのマークも緩くなりつつあり、ラインも下がりつつあってチャンスも出来ていたのですけど、ゴール前での焦りもあったのか、雑なプレーが目立ってしまったかなぁと思います。


 その後ジェフの選手の足元まり、相手のカウンターで攻め込まれる時間帯も作られますが、そこは何とかしのぎます。
 そして、大岩に代えて怪我明けの米倉を、藤田に代えてオーロイを投入してパワープレー気味に攻めていきます。
 大岩のポジションには右ウイングの田中が下がってプレー。
 基本的に相手を押し込む時間が長かったですし、右SBはフリーでプレーできることも多かったので、田中でも大丈夫という考えだったんでしょうか。


 この時間帯になると、相手の守備も苦しくなり、ジェフの猛攻を岐阜が絶える展開に。
 GKとの一対一のシーンなどもありましたが、ジェフが決めきれず、そのまま0-1で敗戦となってしまいました。
■こういった試合でも勝ち点を稼げるかどうか
 悔しい結果ではありますが、まずはこの試合、岐阜の守備が良かったんじゃないでしょうか。
 基本的に守備重視でゾーンで守ってはいましたが、そこまでラインを深く下げることはなく、しっかりと球際でも寄せられていたと思います。
 縦にボールが入った瞬間に選手たちが集まってくる守備でしたが、かといって守備が偏るようなこともなく、ボールが入ってくるまではしっかりとバランス良く守れていたというところも素晴らしかったと思います。


 一方のジェフは、コンディションがあまり良くなかったのかな?とも感じました。
 しかし、ホームですからあまりそこは言い訳にはならないとも思います。
 次の甲府戦に標準を合わせている部分などもあったのでしょうか?



 相手のほうがコンディションも良く、守備重視で戦ってきた試合での敗戦(とはいえ岐阜は守備だけではなく、しっかりと鋭いカウンターも見せていましたが)。
 「こういった試合もある」とも思わなくもないですけど、こういった悪い試合でも勝ちきるとまではいかないにしても、引き分けに持ち込んで勝ち点を稼げるかどうかで上に行けるかどうか…延いては優勝できるかが、問われるのではないかなぁと思います。
 そういう意味では、ジェフはまだまだなんでしょうし、厳しく言ってしまえば甘さもあるのかなとも思います。


 やはりジェフの課題はしっかりとした守備をした相手と対峙した試合で、どうやって点を取るかというところになってきますね。
 町田、熊本といった守備に大きな課題を抱えたチームだったり、大分ように前に出てきたチーム相手には十分勝てるのでしょうけど、守備が安定している状況だとなかなか攻撃の良い形が作れない。
 大分戦も1点目はセットプレーでしたが2点目は相手の動きが完全に止まってからでしたし、相手の守備に問題が生じないとなかなかゴールが生まれないという問題があるのではないかと思います。
 逆に言えば相手に問題があるときは、そこを逃さずしっかりと点を取れるようにはなってきたのでしょうけど、まだそれ以上ではない…ということでしょうか。


 それならそれで仕方がないから、相手を揺さぶって疲れさせるだとか、相手に問題が出るまでは冷静な試合運びができるようになればいいとは思うのですが、この試合では前半から相手の狙い通りFWに向けて楔のパスをどんどん打ってボールを失っていた印象もありましたし、賢い試合運びというのができていなかったように思います。
 まぁ、確かにこの試合でも終盤は何度かチャンスがあったわけで、それを決めきれればよかったのですけど、残し少ない時間で選手たちは焦っていたところがあったと思いますし、疲労もあったと思いますからね。
 …それとも相手の疲労を待たずして、相手が万全の状況でもその守備を崩せるだけの攻撃力を身に付けるかどうか、ですね。 
 そのあたりが今後の課題になってくるのでしょうか。


 そういった問題がもう一度明るみに出ただけでも、収穫だったのかなぁとも思います。
 その問題を解決できるかどうかが、重要ですけどね。