狙いと強みと今後の過程

 先日、ロンドン五輪アジア最終予選マレーシア戦が、鳥栖で行われました。
 陸上トラックもなく、評判の高いスタジアムで、テレビからも現地の良い雰囲気が感じ取れましたね。
 もう少しキャパが大きければ、フクアリでもこういった試合が誘致できたのでしょうけど…。
 まぁ、最近はジェフ戦でも集客を苦しんでいますから、あまり強くは言えませんね。



 日本代表のスタメン、ボランチには扇原、1トップは永井ではなく大迫、左SBには酒井高徳が入りました。
 試合序盤から左サイドを攻略し、チャンスを作ります。
 前回見た時もそうでしたが、やはりこのチームの1つの狙いはサイド攻撃にあるように感じますね。
 ウイングが中に入ってボールを一度受けておいて、空いたスペースにSBが走り込み、そこにパスが出てくる…という一連の流れが、非常にスムーズに作れている印象です。
 これが両サイドで出来ていて、1トップやトップ下も絡んでくる(1トップがサイドに流れた時は、2列目がゴール前へ)。
 アタッカー陣の豊富さも言われていますが、SBにも2人の酒井もいて比嘉もいます。
 一時期はSB不在を言われていた日本のサッカー界ですけど、一年代上の長友、内田もいるしSBも豊富になってきたことも、サイドアタックの質が高まった理由の1つなのかもしれません。


 得点は扇原からのくさびのパスを東が落として清武が受け、もう一度東に返してゴール。
 スムーズなパスワークと選手の流れからの得点だったと思います。
 それ以降も大迫などへのくさびのパスが、どんどん入っていきました。
 これが大迫を起用した狙いということでしょうか。
 サイド攻撃が機能しているから、中央も空いていく。
 前半途中までは良い流れだったと思います。


 しかし、序盤で飛ばし過ぎたのか、徐々に日本代表のパスミスが増えていき、流れが落ち着いて行ってしまいます。
 サイドの連携、くさびからの中盤の展開なども、見られなくなってしまいました。
 こういった流れになる前に、もう少しアクセントをつける選手がいたり、落ち着かせたり出来ればいいのでしょうけど、このあたりは若さもあるのかなぁと思います。
 まぁ、五輪年代の日本代表ではでは、毎回見る風景ですね。



 後半に入ってからは、さらに日本代表の動きが失速。
 単純に運動量が落ちていましたね。
 マレーシアの守備は、なかなか安定していたと思います。
 4-4-2でしっかりと等間隔に守って、サイドにボールが入った時は必ず前後でサンドしてくる。


 苦しんだ日本ですが、後半20分過ぎにようやく2点目。
 日本のカウンターの流れからゴール前にに相手選手が集まったところの脇に浮き玉のパスを出し、途中出場の永井が中央に戻してこちらも途中出場の山崎がゴール。
 基本、永井は代表ではこういったアシスト役の方が多いですよね。
 これもこのチームの1つの形ではないでしょうか。



 ボールを持ててはいるものの攻めきれなかった分、フラストレーションがたまる試合ではありました。
 ただ、SBを有効に使う攻撃だけでなく、中央のくさびのパスからの展開もある。
 永井や東、清武のようなアタッカーもいる。
 攻撃の狙いもあって強みもはっきりしているわけですから、チーム作りの段階ということを考えれば、こんなものではないかなぁと思います。


 問題は試合序盤の時間帯をより長く作れるかどうか…でしょうか。
 第2次岡田監督政権下の日本代表もそうでしたし、昨年のジェフなどもそうだったと思うのですが、全力で動いて前に圧力を変えていけるときは良い展開を作れる…けれどもそれが90分続かないというのが問題だったわけで、このチームもそういった壁に当たってしまうのかなぁとも思います。
 岡田監督はその状況を見て、本番ではバランスを獲る方向にシフトし成功したイメージが私の中ではあるわけですが、このチームはどういった過程を進んでいくのでしょうね。