時空を超えて、光の射す方へ?

 負け、引き分け、負けで迎えたホームでの大事な試合。
 しかも、巻の加入である種、特別な意味を持つ試合。


 …だったのですが、私は生で試合を見ることが出来ず。
 どうしても誘いを断れず、日産スタジアムまでMr.Childrenのライブを見にいって来ました。
 ということで、テレビ観戦の感想ということになります。
■新加入の大島がデビュー戦でゴール
 東京Vは土屋が怪我で欠場。
 代わりに富澤がスタメンに復帰しました。
 そして、巻はベンチ入り。


 ジェフの方は、先月上旬ジェフに加入した大島がスタメン出場。
 前節は欠場した深井も、この試合で復帰となりました。


 しかし、前節に続いて左SHには村井が、右SHには太田が入りました。
 京都戦でもしっかりと2人がポジションに戻ることで守備の改善は見られたので、そこを継続していこうと言うことなのでしょう。
 これまでウイングで起用されてきた深井は、大島と2トップという形になりました。
 ミリガンの代わりにCBには青木良太が、左SBには坂本が入りました。



 試合はいきなりその大島が得点を決めます。
 前半5分、右サイドで受けたファールから、村井がFKを蹴るとゴール前中央で待っていた大島が頭で合わせゴール。
 幸先の良いスタートとなりましたが、なぜあそこがどフリーになるるのか…というようなシーンでしたね。
 東京Vはやはりこのあたりが課題なんだと思います。
 土肥も負傷中な上、今回は土屋も不在だったと言うのも大きいのでしょうが…。



 その直後の前半8分には、右サイドのスローインから大島が頭で後ろに合わせて、深井が裏を走り込むというシーンが。
 得点には結び付きませんでしたが、これがやりたいことなんでしょうね。


 ただ、なまじ大島がポストプレーでポイントになれて、深井という個で崩せる選手がゴール前にいることで、ボールの行き先が2トップに集中してしまいました。
 これまではオーロイが1トップでビルドアップのターゲットとなっていましたが、得点源はサイドの深井だったので、自然と試合展開によってボールの流れが変わっていきましたが、この2トップだと前線にボールが集まりがちになってしまうということですね。
 その結果、上手く前線にボールが入れば期待は持てますが、ボールに落ち着きはない試合展開でした。
マラニョンのゴールで1-1
 前半途中からジェフのチャンスが作れない状況が続くと、後半開始からジェフは守備的…というか動きが落ちていった印象でした。
 守備を重視する意識を強く持つというのなら前線からもっとプレッシャーをかけていきたいところですが、大島はコンディションのせいか、チェイシングはもう少しでした。


 中盤の運動量、守備の激しさも足らず、流れが良くない状況の中、後半23分。
 東京Vから見て右サイドから大きくサイドチェンジをされると、ジェフの最終ラインが振られて、中央のマラニョンがフリーに。
 そのままマラニョンにあわせられて、1-1の同点となりました。
 マラニョンは前節の2ゴールに続いての得点となりますね。
 巻が加入したことが、起爆剤になったのでしょうか?(笑)


 マラニョンがフリーになる前、東京Vは中盤から選手が飛び出してきており、良太のところにはマラニョンも含めて2人の選手が入ってきていたことになります。
 うまく竹内がマラニョンを見るか、マラニョンを良太が見て、坂本が絞るか…という形が取れれば良かったのでしょうが、メンバーが違うことで連携の問題もあるのかなぁと思います。
 ただ、やはり良太は深く守りたがりますね。
 その分、高いラインのコントロールが難しくなってしまう印象があります。
 前節も感じたのですが、良太のベストポジションは3バックのスイーパーなのかもしれませんね。



 後半29分、村井に変えて青木孝太を投入。
 意外にも孝太が前線に入って左サイドに深井となりました。
 ドワイト監督の中での孝太は、前目の選手という印象が強いのでしょうか。
 単純に疲労のない孝太を、前で使いたかったのかもしれませんが。



 その後はジェフも押し込みますが、決定機はあまり作れず。
 後半44分には巻が投入されますが、そのまま1-1で終了となりました。
■クラシックな4-4-2
 大島の加入以上に、深井を前線の位置に入れたことが、大きな変化だったと思います。
 後ろの「4×4」は守備を重視し、大島がポストをして、深井が裏を狙うカウンターサッカー。
 ようするに、駒沢大学の時の深井と巻のような2トップの関係ということですよね、たぶん(笑)


 この結果、やることはよりシンプルになったと思います。
 今まではオーロイの1トップに向けて放り込んで、中盤で圧力をかけて押し込んだところを2列目の3人で攻めるというサッカーをしていました。
 しかし、このシステムだと2列目の3人はいない。
 代わりに中盤の「4」がいるわけですけど、この4人は「守備で穴を空けないように」という意図があるはずで、大きなリスクを負うことはできない…と。
 もちろんSHがアップダウンしてのクロスを上げるなどは、あったとしても。



 これまでは深井が守備などは無視して突っかけることでチャンスを作れていたところがあったわけですが、その分全体のバランスは崩れていたと思います。
 攻撃面でも深井はサイドで起用されていたころで、ゴールだけでなくチャンスメイクも求められていたことになります。
 加えて、サイドでのプレーということで、相手としても守りやすい部分があったと。


 それを改善したのが、今回の深井の前線起用だったんじゃないでしょうか。
 むしろ今までのサッカーが無理をしていたとも言えるのかもしれませんが(笑)
 何度か話しているように、深井はサイドの位置からFWの仕事をやっているような印象でしたし、それによって守備バランスが崩れるのは、本来守備重視のドワイト監督が意図するところとは違うのでしょうし。
 逆の言い方をするとすれば、バランスブレーカーな”ウイング深井”がいたからこそ、今まで「堅いサッカー」というイメージがなかったのかもしれませんが。



 ただ、その結果ビルドアップのターゲットもゴールスコアラーも前線に集まってしまった上、完全に4-4-2のシステムになったことで、攻守において中盤の薄いサッカーになってしまった印象です。
 凄くシンプルでクラシックなサッカーだけど、それ故に強引ににも見えるサッカーになったとも言えるのではないかと思います。


 整合性は取れたスタイルなのかもしれません。
 「個人での突破力がある深井」と「ポストの出来る大島、オーロイ」と「ドワイト監督が本来目指す守備的なサッカー」と。
 全ての”光の射す方”を目指して行ったら、自然と昔懐かしくも感じる4-4-2のカウンターサッカーになったということなのかなぁと。
 もちろん古いから悪いとか、新しいから良いとかという話ではないですけど。



 ただ、これはどちらかと言えば、チームの「進化」というよりも「変化」と言った印象です。
 今までのサッカーから成長したというよりは、成長が止まったから変えざるを得なかったというか。
 ようするに、やり方を変えただけで、メリットももあるけどデメリットもある印象です。


 だから、問題なのはこれからでしょう。
 これからこのスタイルを成長させることができ、結果も出せるようになるか。
 そして、それが間に合うかどうか。
 もちろんまた相手も研究してくるでしょうし、変えた分の遅れも取り戻さなければいけない。
 やり方は決まったということなのだと思いますから、その方向にどれだ迷わず加速できるかどうか、ですね。