今期のFC東京は昨年のジェフのスケールアップ?
先週末、チャリティーマッチFC東京対松本山雅戦が行われました。
試合の詳細については、FC東京の公式サイトでご確認ください。
FC東京は開幕前のプレシーズンマッチで、草津と対戦し1-1の引き分け。
J2開幕戦では鳥栖と対戦し、苦戦したものの1-0で勝利。
松本山雅には4-0で対象という結果になりました。
ジェフにとっては再開後、初戦の相手ということでいくつか気になった点を取り上げてみたいと思います。
…まぁ、チャリティーマッチということで、見えてこないところも多い試合だったとは思うのですけどね。
■大枠以外は自由なプレー
今期のFC東京の特徴は、サイドバックの積極的なオーバーラップによるサイドからの攻撃が1つ。
その前のサイドハーフ2人が、流動的に自由に動き回って相手をかき回す。
そして、中央にはキープが出来て高さの平山、ホベルト(あるいは米本、高橋)、今野・森重のCBコンビ…と、軸となりうる選手が構える。
中がしっかりしているからこそ、サイドからの攻撃にも怖さがあるんじゃないでしょうか。
また、ホベルトなどがアンカーに控えるので、もう1人のボランチはどんどん前に飛び出していく動きも特徴の1つなのなと思います。
それに応じた補強もできていて、FWにはヘディングの強い高松、得点力の期待できそうなセザー、SHには天才肌の谷澤、アンカーでボールも出せるホベルト、精度の高いクロスを持つ阿部巧(レンタルから復帰)、CBコンビのサポートとしてノース…。
一見すると大味な補強にも見えるかもしれないけれど、実際には細かな部分まで考えられた補強なのかもしれません。
しかし、そういった大きな枠組みでの選手の動きのデザインはできているけれど、基本的には選手が自由にプレーできる幅が広いサッカーなのかなと感じます。
自分で打開できる選手、運動量が豊富な選手が多いので、選手達のコンディションが良い状況であればダイナミックなサッカーが展開できる基盤が出来ている印象があります。
松本山雅戦でも試合開始から後半途中まではFC東京ペースで、前半30分には上里の見事なミドルで先制します。
ちなみに、この日の松本山雅はFC東京を相手にしっかりと体を張ったディフェンスを中心に良いプレーをしており、J2並のサッカーが出来ていたのではないかと思います。
ただ、これがJFLを勝ち進んでいかない状況となると、また違う難しさがあるのかもしれませんけどね。
■チャンスを逃してから失速
しかし、FC東京は後半開始後に二度シュートを相手GKのファインセーブで止められると、急激に勢いが減速します。
これは昨年ジェフにも良く見られたパターンで、ビックチャンスを止められると勢いが衰えてしまう…。
自分達のペースで戦えているからこそ、得点が決めきれないシーンがあるとそこで気持ちが落ちてしまうんでしょうか。
今回はチャリティーマッチですからコンディションやメンタル面も100%ではなかった影響もあるのでしょうが、こういった試合展開が公式戦でも見られたり癖になってしまったらFC東京にとっては少し厄介ですね。
その後、相手のミスや鈴木達也の強烈なドリブルもあって、追加点をゲット。
鈴木にしろ、上里にしろ、選手1人1人の能力はやはり非常に高いですね。
けれど、こういった展開になると、逆に課題も分かりにくくなったような気もします。
課題が見られた試合展開でも下位チームに勝って勘違いしてしまう…というのが、昨年のジェフのパターンだったわけですが(笑)
とはいえ、この試合に関しては、「新たな課題を見つける」というテーマではなかったのかもしれません。
それよりも主力選手のコンディションの問題もあって、梶山・上里のボランチコンビや阿部巧・椋原の左右SBの組み合せを試せたことが、重要だったのかなと思います。
これをジェフ戦で実施してくるかどうかは微妙なところだと思うのですが、結果的に攻撃的な選手が多く起用できたことによって、積極的に攻めたい場面のデータとして有意義なものが得られたのかもしれませんね。
■昨年のジェフのスケールアップ
今年のFC東京のやり方に疑問を投げかけるジェフサポもいるようですけど、基本的には昨年のジェフのスケールアップであって、やっていることは変わっていないと思います。
降格した1年前の戦力をベースに、大量の補強を行うこと。
半年前にそのクラブを良く知っている監督に交代し、結果的にJ1昇格に向けた準備を行っていること。
そして、降格決定後の社長の発言…(笑)
しかし、昨年のジェフの場合は、その豊富な戦力がなかなか活かせなかった印象があります。
だから、今振り返ると選手層が厚いイメージがないのかなとも思うのですけど(笑)
江尻監督は細かく選手の動きを決める印象がありました。
ただし、ミドルエリアへのこだわりは強かったけれど、アタッキングエリア、ディフェンシブエリアは選手に任せる傾向にあったため、重要なところは曖昧なまま選択肢ばかりが狭まっていた印象でした(プレーにしても、選手の選択にしても)。
ようするに、すごく窮屈なサッカーになっていたのかなと。
その結果、巻に関しても監督が使いこなせなかったところが大きいと思いますし、アレックスや谷澤・倉田など一発のある選手に関してもフルシーズンは活躍しきれなかった印象があります(もちろん本人たちの課題もありましたが)。
そんな中で唯一昨年活躍できたと言える選手が、様々な状況に対応できるタイプの佐藤勇人だったというのも偶然ではないのではないかと思います。
しかし、勇人だけでは結果を残すのは難しいわけですから…。
その点、大熊監督の率いるFC東京は、今のところは自由に伸び伸びとプレーできている印象があります(今後どうなるかはわからないけど)。
結果的にそうなったのかもしれませんが、相対的に見て戦力で勝るFC東京にとってはこれが合っているのかもしれないなぁ…とも思います。
ただし、個人能力メインでも今回の松本山雅戦のように下位チーム相手には点を取れるかもしれない。
けれども、これが鳥栖レベルになってくると1ランク上のチームになってきて、相手の選手の質も上がってくる。
そして、戦術的な守りの質も高くなり、簡単には”揺さぶれない”守備が構築されていますから、それに対して個の能力メインでどこまで得点を奪えるか。
開幕戦の鳥栖戦も苦しみましたが、そういったチーム相手にも勝点を稼いでいかなければ昇格は難しいわけで、そこが1つの大きな壁になるかもしれませんね。
どうしても攻め続けていると単調になってしまうため、チームとしてのゲームプランか、戦術的な部分か、選手の個の能力か、どこがいいのかはわかりませんけど、どこかで攻撃に変化を与えたいところではないかと思うのですが…。
それと、昨年ジェフが苦しんだのはコンディションと試合運びで、このあたりは松本山雅戦でもちらほらと見られたのかなぁと感じましたが、このあたりは今後の成り行きを見て行きたいところですね。
個人的には昨年のジェフに似たところがあるからこそ、注目のクラブの1つだと思います。
もちろん、ジェフのライバルとしても。
…といったところで、「やってみるさ」のid:CHONOさん、いかがでしょうか?(笑)
ジェフサポの皆さんも敵情視察を兼ねて、「やってみるさ」を見に行かれてみてくださいー。