今年のジェフに課せられた使命

 開幕前の話になりますが、時事通信などにJ2開幕に向けた記事がでており、「優勝争いは柏、千葉が中心」と書かれていました。
 スカパー!Jリーグ開幕直前SPでも解説陣が今期の順位予想をしており、そこでもジェフは上位有力チームに。
(なお、各解説神の順位予想は私のとこのtwitterでメモしておきました。多分あってるはず。)
 その他、雑誌などでもジェフはかなりの高評価。
 スカパー!では野々村氏がせっかくフラグを回避して唯一4位と予想をしてくれたのですが、開幕戦は残念な結果に終ってしまいました。



 こういった評価は現在在籍する選手を見て、戦力から判断されたものだと思います。
 予想する側も全チームの具体的なサッカーの戦術だとか内容などに関して、網羅しているわけではないでしょうし。
 しかし、やはり戦力だけではサッカーは勝てないと、そう感じた開幕戦だったと思います。


 個々のうまさはある。
 パスワークもうまくできた場面では「おおっ」と思う時がある。
 けれども、やはりチームとしての“強さ”と言うのはそれだけではかれないものがあるはずです。


 F1などモータースポーツでも、速いドライバーと強いドライバーは別だと言います。
 予選での1周のタイムは速くても、レースではコンスタントのタイムを出せないドライバーだったり、ミスが多いドライバーだったり。
 逆に強いドライバーというのは単純なスピードだけでなく、レース運びのうまさだったり、チームをまとめ上げるカリスマ性の高さだったり、そのレースに勝てなくても確実にポイントを獲得する賢さだったり、レース中の勝負強さだったりを感じることが出来ます。
 その部分で優れていたのが、数々の歴史的な記録を打ち立て、今期現役に復帰したミハエル・シューマッハーだと言われています。
 今年で41歳なりどうしてもスピード面では劣るのではないかと言われていますが、それでも期待が高まっているのはそういった“強さ”の部分は年齢を増しても衰えないだろうという分析がされているからです。


 こういった試合に勝つための“強さ”というのはF1だけの話ではなく、テニスなどでもそうですし、サッカーにも言えるはずです。
 勝点をしっかりと稼ぎ、J1に復帰するためにはそういった強さを身につけていかなければいけません。
 『勝者のメンタリティ』と言いかえても、いいのかもしれませんね。



 あくまでも例えばの話ですが、熊本戦での先制後。
 得点は後半15分だったのですが、その5分後あたりからはジェフの選手達の動きもだいぶ止まってきていたように感じました。
 前線で元気に動けていたのは倉田だけで、ボール支配率こそかなり高い時間帯でしたが、得点の匂いに関しては正直ほとんど感じませんでした。
 さすがに周りのサポートなく、倉田1人だけで3人、4人と突破してゴールまで持っていくのは不可能ですしね。


 こういった時にどういった判断をするのか。
 今年のジェフのコンセプトを考えれば、攻撃サッカーを掲げているのだから、もう1点取りに行くのが当たり前。
 相手は格下(と世間からは思われている)なのだから、1-0でOKとはいかないはず。
 そして、キャンプから縦パスを入れる意識付けと練習をしてきたのだから、なるべく前へ前へとボールを持っていきたい。


 けれど、現実も受け止めなければいけないと思います。
 無理に前にパスを出しても得点の可能性は低いし、リスクばかり高まってしまう。
 周りの足が止まっているから、期待の倉田もなかなか前を向けなくなってくる。
 熊本も失点のショックから、徐々にペースを取り戻してきていた。
 しかも、熊本にはベンチに西、藤田が控えている…。



 そういったときに本当に前へ転じるべきなのかどうか。
 もちろん私は「こうすれば勝てた」なんて話をするつもりは一切ないのですが、勝つために必要なのであればコンセプトやプライドなどは放り投げて、戦い方を変える選択肢も場合によっては必要なのではないかと思うのです。


 もちろん2点目を取れれば言うことはないのですが、冷静に考えて今のジェフはそれだけの力がないと判断した場合は、それを甘んじて受け入れ現状で勝てる最善の策を選んでいかなければいけないのではないかと。
 それによってもしかしたらコンセプトやチーム作りなど、どこか弊害が出る可能性もあるかもしれない。
 けれど、それも仕方のないことだと思います。


 何せ1年でのJ1復帰を目標に掲げてしまったのは、ジェフなのですから。
 大目標を達成するためには、例え不格好でも汚くても躊躇なくやっていかなければいけないはずです。
 何よりも今優先すべきは、勝てるチーム、強いチームを作ること。
 それが今年のジェフに課せられた使命なのですから。