今シーズンの選手達を振り返る MF編
GK,DF編に続いて。
言葉選びにはなるべく気を付けているつもりです。
坂本將貴
MF登録だったのでこちらで。
リーグ戦33試合出場は谷澤と並んでトップ。
出場時間に換算すれば単独トップでしょう。
攻守に計算できるSBとして重要な戦力となっていました。
ミラー監督体制からビルドアップの起点として考えられていた部分があり、江尻監督もチーム全体でパスをつなぐことを重要視していたため、無難にパス出しの仕事をこなしていた印象です。
しかし、逆に本来の持ち味である前線へ飛び出していくような動きは目立たなかったかなと。
このあたり年齢の関係やバランスの問題もあるのでしょうが、良く言えばプレーの幅が広がったともとれるし、悪く言えば苦手な仕事をやらされている感もあったかなと。
守備に関しては相手のスピードに追い付けなくなる部分も目立つようになり、1対1が多いSBではなかなか難しくなってきました。
相手を止めるまでは求めないにしても、相手を遅らせ簡単には抜かれないように出来ればいいのですけどね。
とはいえ、メンタル的にも非常に重要な選手。
ジェフとしては総合力で坂本を追い越すSBを早期に育成なり、補強なりで準備したいところではないでしょうか。
アレックス
ミラー監督体制ではボランチでプレー、江尻監督になってからはSH、SBでプレー。
周りとのパスワークでというよりは、個人でゲームメイクも守備も出来てしまう選手ですね。
SHでの起用も面白かったのですが、中盤でリズムの良いパスワークを目指すにはちょっと不向きだったのかもしれません。
ボールタッチに癖があってパスワークのスピードという部分では弊害が見え、それもあってSBに移行させたのかもしれません。
もちろん中盤でためてSBを攻撃参加させるという狙いもあってSBでの起用となったのでしょうが、どうしても中よりにポジション取りしてしまって広くサイドを使えませんでした。
坂本がなるべく開いてボールを受けようとしていたのと比べると、大きな差を感じました。
それでもうまく使えればクロスという武器は持っている選手で、ジェフが攻め込む時間帯が長く作れればSBのアレックスも生きてくるのでしょう。
逆に攻め込まれる時間帯が増えるのであればSBはアレックスではないと思うし、来季の攻勢も含めてなかなか難しいところですね。
下村東美
ボランチに守備力を求めるミラー監督体制では欠かせない存在でしたが、ボランチにパスセンスを要求した江尻監督になってからは徐々に出番が減ってしまいました。
トラップが足下に入りすぎることなどが多く、どうしてもそこでリズムが遅れてしまうことも。
しかし、一方で相手の裏を突くようなロングボールに関しては素晴らしいものがあり、決して技術的に酷い選手ではなかったはずです。
中後が90分持たない場合もあることや守備で計算できる中盤が少ないこと(守備固めで中後→下村なんてのもあり得たはず)、他の選手が流出する可能性も含めて、まだ解雇するような存在ではないと思っていたのですが…。
予算的な部分もあったのかもしれませんが、どうも金銭的交渉などをする以前に解雇通知を受けたそうですしね…。
人間的にも素晴らしい選手なので、良い移籍先が見つかることを期待しています。
中後雅喜
江尻監督が就任してから、一気に出場機会が増えましたね。
ショートパス、ミドルパス、ロングパスと美しい右足でのキックを持ったボランチで、フィジカルも強い選手。
江尻監督はボランチからFWにくさびのパスを出すところから攻撃を組みたてようとしているので、中後は欠かせない存在となりました。
しかし、一方で守備や運動量に関しては課題もあり…。
簡単にサイドに釣られてしまいDFを空けたり、アプローチが遅れてアフター気味のファールも多くありました。
今シーズン後半、ジェフは粗っぽいチームと言われることが増えてしまいましたが、中後にも責任の一端はあったかなと。
ただ、これは中後の課題だけではなく、それを指摘しない周りにも大きな問題があると思いますし、取り返しのつかないことになる前にしっかりと直してほしいと思います。
工藤浩平
今シーズン序盤はSHで起用されて苦しみましたね。
ミラー監督はSHに個人での打開力を要求していたため、工藤には当然不向きでした。
SHにもパスセンスを求める江尻監督になってからはSHで出場しても存分に良さを発揮できていましたし、SHだからダメというわけではないようです。
パスもつなげ、運動量も豊富で、守備も真面目にやる。
江尻監督のサッカーにはぴったりとフィットする選手ですし、ぜひとも残ってほしいところですが…。
後はもう少しラストパスの精度が上がれば、言うことはないんですけどね。
シーズン終盤良い状況でボールを出せるようになってからは、少しずつ良くなってきたように思いますが。
谷澤達也
夏場に少しばててしまったり開幕前の合宿にウェイトオーバーで合流したりと、ちょこちょこ問題はありましたが昨年ほどの波もなくなりメンタル的にも強くなった印象があります。
江尻監督の要求するパスをつなぐ部分に加えて、前にもドリブルで突っかけられるジェフでは数少ない選手で、非常に貴重な存在だったと思います。
シーズン途中にはFWでも起用され、初めは拙かったポストプレーもどんどんうまくなっていきました。
来季も残ってくれるのであれば、補強の動向次第でまたFW起用もありえるのかもしれませんね。
ただ、気持ちがプレーに表れるようになったのは良いのですが、汚いプレーも増えてきているように感じるのはちょっと心配です。
特にボールのないところで相手を突くような行動が増え、それで笛をもらって「なんのこと?」とやるのは個人的には好きではありません。
審判に目をつけられるという部分も少なからずあるでしょうし、気をつけてほしいところです。
ミシェウ
今年も怪我が多いシーズンでしたね。
ビルドアップの形が作れなかったシーズン前半は、トップ下から動き回ってどんどんボールを動かそうとするミシェウが入ると見る見ると中盤が活性化していきました。
しかし、江尻監督になってからは、縦にパスを出すボランチ2人とボールを受けるポスト役2人との関係でビルドアップを作るのが基本。
その4人に対してSHの2人が中に絞ってサポートする形となっていて、トップ下を置くのはイレギュラーな格好になってしまいます。
そのため練習などでもSHで起用されることがあったようですが、基本はトップ下で自由に動き回るのが好きな選手ですからなかなか居場所のない環境なのかなと思います。
状況次第では日本でももっと活躍できる選手だと思うのですが。
米倉恒貴
シーズン序盤から少しずつ出場機会があったものの活躍はできず、試合終盤になってようやく持ち味が出せるようになってきました。
江尻監督になってSHにもパスを出す仕事を要求されるようになり、米倉のプレースタイルにぴったりと合ったように思います。
本人も落ち着いてプレーが出来るようになりました。
江尻監督体制になって、八千代高校時代を思い出したんじゃないでしょうか(笑)
フィジカルに関してはよりパワーアップしたように思いますし、後はそれをよりうまくサッカーに活かせる形を作って行きたいですね。
クレバーな選手ですし、個人的にはボランチでも見てみたいんですけど…。
益山司
米倉とは逆に監督が変わってチャンスが遠のいてしまったかなぁと。
米倉と違ってそこまで小技はないけどスピードがある選手で、SHで起用されてもある程度自力で前進できる選手だと思います。
このあたりから、米倉か益山かでミラー監督と江尻監督のやりたいサッカーの差も見えてくるように思います。
益山にとってはチャンスもあったけれど残念なシーズンだったと思うのですが、ポテンシャルは高い選手だと思うので腐らず頑張ってほしいと思います。
チームとしてはポジションを固定してあげることが重要なのではないかと。
複数のポジションを経験することも重要ですが、戦力になりうる力は既に持っている選手だと思いますし、スタッフが益山の適性をしっかりと見極めることが大切なんじゃないでしょうか。
それと共に本人の気持ちの部分の成長も期待したいところです。
太田圭輔
ジェフは太田獲得直後にミラー監督を解任。
益山と共に突然の監督交代の煽りを受けた形でした。
ミラー監督の戦術にはしっかりと合っていたはずなのですが…。
江尻監督は練習試合でも中央寄りに太田を起用していましたが、やはり一番の良さは出せていなかったように思います。
とはいえ公式戦ではワイドに開いた位置でプレーさせていましたし、決して江尻監督が太田の良さがわかっていなかったというわけではないはずです。
練習ではテストの意味も兼ねて中央寄りで起用していたのではないでしょうか。
サッカーではこのように選手が戦術の犠牲になり、選手の良さを出しにくい状況になる場合も時としてあるはずです。
それをなるべく無くすためにも選手の補強や放出は慎重に行わなければなりません。
それが選手のためにも、チームのためにもなるはずですから。