今シーズン一番スッキリとした勝利
スターティングメンバーはナビスコ杯京都戦と同じ。
谷澤のトップ下は良かったし、福元も可能性を感じたし、良太の怪我も治っていないようだし、これでOKじゃないかと思っていました。
今のジェフには“継続性”によるチームの熟成が重要だと思っていますしね。
…と思っていたら、試合直前に新居がピッチに。
どうもアレックスが怪我持ちで、試合前にメンバーを変更したようです。
怪我ならば仕方ないですね。
■工藤を中心にボールを回すジェフ
この試合、ジェフの選手達は動きが良かったですね。
コンディションが良く、中盤の守備でもしっかりといけていました。
それと福元とボスナーが、相手FW相手に怖がらず『前に行く守備』を出来ていました。
これによって、DFラインが高さを維持し全体がコンパクトに戦えていましたね。
やっぱり福元はいいですねぇ…(笑)
目立ちはしませんけど、DFラインで気の効いた守備をしていると思います。
それとちょっと前半のダビィは強引にドリブルで行こうとしすぎていて、ジェフにとってはそれがいい方向に転んだのかなぁとも思います。
攻撃の方は名古屋のシステム面の影響なのか、小川、マギヌンがいない問題もあってか、ジェフの両ボランチがかなりの時間帯で前を向いてフリーでボールを持てていました。
これによって、ボール回しはかなり楽にやれていたと思います。
特に工藤は、中央の位置の位置でフリーでボールを持てる状態と良さが活きてくる選手。
前線への縦パス、サイドへのロングボールだけでなく、縦にボールが入ったときには追い越す動きも見せるなど、自分が中心となって攻撃を作ろうという強い意思が感じられました。
守備でもDFラインにまでカバーに入るなど、攻守において素晴らしい活躍をしていましたね。
まさに獅子奮迅の活躍。
こういった試合になると工藤はやりやすいでしょう。
工藤の課題は厳しいマークにあった時のプレーと、コンディションの安定。
今回のように日数が空いた時の試合ではいいプレーが出来るのですが、連戦になると疲れが見えてしまうところがあります。
そのあたりの課題をクリアしてこの試合のような活躍をコンスタントに出来れば、“ジェフのコンダクター”になる可能性もあると思うんですけどね。
(ただ、工藤を活かすためには、相方のボランチは下村か大輔になるでしょうねぇ…。)
それとラストパスの質をもう少し上げてくれれば、申し分ないんですけどね(笑)
特に長めのパスはちょっとずれることが多いように思います。
そこをもう少し向上してほしいですね。
工藤ならば出来るはずだと思いますし。
■ボールは持てどもチャンスは作れず
前半のジェフは工藤を中心にボールは持てていたのですけど、ゴール前でのチャンスはほとんど作れていませんでした。
最後の部分でのアイディアが少ないことも問題だと思うのですが、一番の問題はSHが谷澤、深井となったことで、どんどん2人が中に入ってきてしまって、前線にスペースがなくなってしまっていたことでしょう。
ボールを保持できている時間が長いから、余計に2人が中に入ってこれる時間が出来てしまい、巻、新居、深井、谷澤と大渋滞状態になっていました。
サイドバックが上がる回数も少なかったためにクロスも上がらずこれでは巻が活きるわけもないし、他の選手が半ば強引にドリブルを選択したとしても、ゴールまでには相手選手が2人、3人といる状況ですから当然チャンスにはなりません。
もっと誰かがサイドに流れて相手DFラインを広げるなど、チーム全体で工夫してラストパスまでの形を作っていきたいところでした。
あるいは、DFラインの裏を付ければ良かったのでしょうが、相手もDFラインをしっかりとコントロールしていて、ほとんど裏は取れない状況だったと思います。
■後半から速い展開に
前半はそのままの流れで、後半になって相手が積極的に前に出てきました。
名古屋は初めから後半に勝負を仕掛けようとしていたのかもしれませんね。
ボランチの2人とサイドバックが上がってくることで、何度かジェフが押し込まれるシーンが作られ始めていました。
しかし、これで前半にはなかった名古屋守備陣の裏にスペースが出来始めることに。
また、工藤、下村への守備も前半ほど緩くはなくなったため(…かといって前を向けないほどではなかったですけど)、2人が早いタイミングで前線にロングボールを出さざるを得ない状況になっていきました。
これによって、前半に比べて試合の展開が速くなり、両ゴール前でのシーンが増えてきました。
しかし、ジェフはカウンターの質があまり高くない。
カウンター状態に強い深井(なにせ一対一の場面での突破力がありますからね)が幾度かゴールまでもう少し…というところまで持っていくのですが、相手守備陣も一対一には強く最後のところでなかなか相手を崩しきれませんでした。
けれども、対する名古屋の攻撃も、もう少し…といった感じでしたね。
単純に2トップに放り込む展開が多かったのですが、今の試合のような工夫のないロングボールならボスナーが楽に跳ね返してくれます。
名古屋の攻撃陣もこの試合に限っては2トップと中盤とのつながりが、あまり感じられなかったように思います。
■前線に落ち着きと運動量が加わる
転機になったのは後半30分。
疲れの見えてきた新居に変えて、ミシェウを投入します。
ミシェウを投入したことによって、縦方向にだけでなく横方向にも運動量が加わりました。
谷澤、深井、新居とゴールに一直線で、周りのサポートはあまり得な選手の中で、やはりのミシェウ投入は大きなアクセントになりますね。
運動量に加えて、これまでパサータイプが工藤1人(下村も頑張ってましたが)だったところに、ミシェウが入ったことで高い位置にももう1人パスの出し手が加わることになりました。
このことで前線で落ち着くポイントが1つできましたね。
そういう意味で、非常に大きかったと思います。
出来ればミシェウが90分間持てばいいんでしょうけどね。
その部分がスタメンに使いにくいところなのではないでしょうか。
まぁ、このようにスタメンではなくてもスーパーサブとして計算できる選手も主力選手の中の1人であると私は思っているので、シーズン後半もミシェウのプレーに期待していますけど。
得点もそのミシェウが絡む形でした。
深井が右サイドの少し低い位置でボールを持つと、前線から少し右に流れてきた巻にパス。
(その間に和田がオーバーラップをする。)
巻は中央のミシェウにボールを落とすと、後方から走りこんでいた深井にミシェウがラストパス。
見事に抜け出した深井が決めて1-0とします。
これが後半は36分のことでした。
素晴らしいゴールだったと思います。
残りの10分は、ジェフがミシェウのキープ力を中心に難なくクローズして試合終了。
嬉しいリーグ戦3勝目となりました。
■ゴールシーンから学ぶモノ
ジェフとしては比較的戦いやすい試合だったように思います。
攻撃面で言えば工藤が前を向ければそこでゲームを作ってくれるし、守備面ではロングボールを放り込まれるだけならボスナーがいるわけですから。
しかし、それよりもコンディションの面で相手より優位に建てたことが、この試合では大きかったのかなぁと思います。
ジェフが良かったのか、相手が悪かったのか。
たぶん両方だと思うのですが、ジェフの方が動き出しや運動量の面で相手を上回っていた。
それが一番の勝因ではないかと思います。
ただ、勝ちましたけれども相手も状態は良くなかったですし、課題も感じる試合だったように思います。
特になかなかボールを持ててもチャンスが作れない時間帯が長かったことは、今後に向けて反省していかなければいけない部分ではないでしょうか。
ボールを持った後にチームとしてどうやって崩していくのか。
そのあたりの意思統一をもっとはっきりとさせていく必要性があるように思います。
今回の得点シーンはしっかりと相手を崩せたわけですから、学ぶべき部分がたくさんあるのではないでしょうか。
1つは深井が後方から前線の選手を追い越して飛び出し、ゴールを決めたこと。
遅攻になるとどうしても前に選手が集まってばかりでスペースがなくなる傾向が強いわけですけど、このシーンでは深井が遅れて入ってきたことで相手のマークをすり抜けることが出来ました。
それと和田がサイドをオーバーラップをして、相手の守備陣をサイドに引き延ばしたこと。
また、巻が前線が少し下がったことで、深井が飛び出すスペースができたこと(そのスペースには工藤もオーバーラップし、巻がボールを受けた際に選択肢を増やし、相手守備陣を混乱させていました)。
そして、ミシェウ、巻が前進ばかりを狙うのではなく、落ち着いてパスをつないだこと。
それらが重なって、ようやく実ったゴール…ということではないでしょうか。
こういう形が何度も作れていければ、もっと面白くなるんじゃないかと思います。
今回の得点によって単独でのドリブルだけではなく、チームで相手を崩すことも出来るという事実がわかったわけですから、もっとチームで崩す形を増やしていきたいところではないでしょうか。
まぁ、でも相手の出来や相性の良さもあったのかもしれないですけど、今のところ今シーズンで一番スッキリとした勝利だったんじゃないかなぁと思います。
今はそれが嬉しい限り。
守備もズルズルと下がらなかったし、攻撃でも相手を崩すことができましたからね。
これで満足せず、この試合を次のホーム大宮戦にもつなげたいですね。
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