09年前半反省会 その3『現在の補強ポイント』

 結論から先にいうと、私が考える補強の第一ポイントはセンターバックです。
 CBの補強は以前にもチラッと言っていた話しです。
 まずは補強ポイントを考えるためにも、現在の問題点から考えていきましょう。


■課題はビルドアップと守備
 確かに決定力にも問題はあるかもしれません(といっても巻は数少ない決定機をモノにしているんだから、決定力不足とはいえないと思うんだけど)。
 けれど、それ以前に決定機が少なければ、決定力のあるFWを獲得しても意味はありません。
 同じようにラストパスを出せる選手も少ないかもしれない。
 けれど、ラストパスを出せるようないい状態を作れていないのがジェフの現状です。
 俊輔だろうとメッシだろうと劣勢の状態で2人、3人とマークがついてしまっては、ラストパスは出せないわけですから。


 だから、まずはいい体勢を作ってラストパスを出せる回数を増やすこと。
 そして、ラストパスに続く決定機の回数を増やすこと。
 それが先決ではないかと思います。


 そのためには現在のジェフの場合、ビルドアップと守備の安定が不可欠になってくるはずです。
 出来ることならば、補強ではなくチームとして練習からその問題の解決に取り組んで欲しいところです。
 この2つの問題は個人能力もさることながら、チームとしての出来によって左右される問題だと思いますしね。
 しかし、残念なことにミラー監督が就任して1年も経ちますが、選手の起用法を変更する以外では大幅な変化・向上は見られませんでした。
 ミラー監督のタイプから考えても、補強によって課題を解決することが有効なのかもしれません。


 もちろん補強と平行して練習での向上にも期待したいところではありますが、現在の順位や状況を考えれば「これ以上は待っていられない」というのが現実だと思います。


■課題への解決方法
 守備面の問題は複数ありますが、一番の課題は全体のラインが下がり過ぎることでしょう。
 リトリートする守備が悪いわけではないけれど、簡単に最終ラインがGKの目の前にまで下がってきてしまうとなると、これはもうどうしようもないレベルの問題です。 


 じゃあ、DFラインを下げないようにはどうするか。
 中盤のプレスももっと頑張らなければいけないでしょう。
 鶏が先か卵が先かになってしまうけど、出し所にチェックがいかないと、DFラインも厳しくなります。
 特にボランチの動きが重要となるわけですが、ボランチに関しては開幕前に3人も補強をしていることもあり、これ以上ボランチを獲得するのは無理があるんじゃないでしょうか。
 開幕前の補強は失敗だったと思いますが、ボランチに関しては現在いる選手達の奮起を期待するしかない状況だと思います。


 サイドの守備に関しても課題は多く存在します。
 SHがゴール前に飛び込んだ後の裏の問題や、SBが中に絞りすぎ意識が強すぎる問題もある。
 しかし、これらに関しては戦術的な面の問題が多く、新戦力を補強しても今のままでは大きな変化はないと思われます。



 選手個々の課題から守備面を考えるとすると、やはりCBの問題が一番大きいのではないでしょうか。
 中盤の守備にも課題があるし、戦術面にも問題はある…。
 しかし、例えば昨年の試合で池田と早川が組んだDFラインは、ある程度落ち次いでラインを統率できていたように思います。
 ミラー監督が就任してから一番DFラインが綺麗だなと感じたのは、早川と池田が組んだ試合でした。


 ボスナーは相手FWに何度もドリブルでやられてしまったことにより、相手選手がボールを持って前を向いた時に、間合いを取って下がってくる傾向にあります。
 京都戦での福元などを見ても、対人守備に自信があるから前からマークに行けていたし、細かいポジション取りに注意して押し込まれてもラインを保とうとする意識が感じられました。
 早川もそうでしたし、やはりDFラインの統率においてCBの能力と言うのは非常に重要です。
ベルデニック監督やオシム監督も4バックを実施するには優秀なCBが重要であるという話をしていましたし。)


 加えて、ボスナーはセットプレーなどでもマークを見逃してしまったり、ライン統率の問題だけではなくサイドにつられてからの一対一の局面でもやられてしまう場面が目立っています。
 このあたりの対人守備は堅守サッカーを目差すのであれば、看過しにくい問題ではないでしょうか。



 守備面だけでなくビルドアップの面でもCBは重要なポジションです。
 戸田がブログでCL決勝について話しているときに、「プジョルをCBに入れるとビルドアップに難があり違う展開になっていたかもしれない」といっているように、CBのビルドアップ能力はチームにとって大きなポイントの1つです。
(これはオシム監督も何度も言っていた話しですね。)
 もちろんボランチの能力もビルドアップでは重要ですが、工藤をボランチで使い、右SBに和田を起用して積極的に攻撃参加させ中盤を人数の面でサポートさせることで、中盤の構成力に関してはある程度向上が見込めるのではないでしょうか(もちろんそれを継続してやっていかなければいけないけれど)。
 今のDFラインだと、ボスナーも池田もビルドアップには難のある選手。
 坂本をCBに入れたことでビルドアップがかなり良くなった試合もありましたし(ただし守備面を考えれば常時坂本をCBで起用するには不安があります)、やはりビルドアップ能力の高いCBが1人は欲しいところです。



 本来ならば外国人CB2人となってしまうのは避けたいところですが、有力な日本人CBはシーズン途中に移籍市場には出てこないんじゃないでしょうか(だからこそ、冬に獲得しておくべきだったんですが)。
 強いて言えば、出場機会に恵まれていない高木和道あたりかなぁとは思いますが、さすがに移籍直後ですし、G大阪は水本の件もあって警戒しているかもしれませんしね。
 中途半端な選手を獲得してもあまり意味はないでしょうし、やはり有力な外国人CBが欲しいところではないかと思います。



 リーダーシップもありDFラインも統率できて、対人守備も強く、ビルドアップも期待できるようなCB…。
 具体的にを言えば中沢のような選手でしょうか。
(ミラー監督の言葉を借りればバレージか。)
 理想通りには行かないでしょうが、今のジェフにはそういった選手が欠けているのではないかと思います。


■CBの次はSHのクロッサー
 もしも、そういったCBを獲得できないと言うのであれば、福元の頑張りに期待するしかないでしょう。
 福元はライン統率でも期待でき、対人の守備も強く、足元の技術もあって、ユース代表ではキャプテンも勤めた人材。
 経験が物を言うポジションなので、まだ22歳で移籍して半年しか経っていない福元に、今の非常に難しい状況を任せるのは酷な部分がありますが、潜在能力は期待できる選手です。
 試合を経験することで伸びる要素もあるでしょうし、ここは我慢してでも福元にかけてみるべきではないかと私は思います。


 CBを獲得できなかった場合、次の補強ポイントはアタッカー陣でしょう。
 ただアタッカーはどういった選手が望ましいのか難しいところです。
 というのも、今はどのような攻撃の形を目差しているのか、はっきりしません。
 例えばシステムから考えていくと4-1-2-3ならウイングの2人がどんどんドリブルで仕掛ける形ですし、現在の4-4-2だとFWの1人とSHが攻めて逆SHが守備をすることが増えています。
 システムによって攻撃がコロコロと変わるのが現状ですから、どういった選手を獲得していいのかわかりにくい。
 ようするに、目差すべき攻撃が具体化されていないというのが実情だと思います。


 逆に考えればどんな選手でも潰しは利くとも言えるのですが、この夏の補強は失敗が許されません。
 昨年のように根本も深井もミシェウも獲得し誰かが当ればいい…という補強を2年連続で続けるのは、経営面を考えてもあまり望ましくはないと思いますしね。



 そんな状況ではあるけれど、敢えて考えるとすれば、CBに続く補強ポイントはSHではないでしょうか。
 どんなシステムでも、SHに攻撃的な選手を最低1人置くことは変わっていません。
 しかし、SHの攻撃的な選手は深井、谷澤のみ。
 米倉、工藤、新居などもいますが、SHで攻撃のアクセントを作るには至っていません。


 しかも、谷澤は現在2トップの一角として起用され、見事にフィットしています。
 元々スタミナには課題のある選手ですから、短い距離で済むこのポジションの方がSHより向いているのかもしれません。
 実際、SHで起用されたときの谷澤はコンスタントにプレーできないでいます。
 

 タイプ的にはドリブラーではなくクロッサー(ラストパサー)。
 現在の攻撃陣にはドリブラータイプの選手しかいません。
 深井、谷澤あたりがドリブルで突っかけていくのが主な攻撃パターンになっていますが、それだけでは相手に読まれてしまいます。
 一方でジェフにはもう1つ巻の高さという武器があるはずなのですが、現状では高質なクロスを上げられずセットプレーでしか巻の高さを活かせていません。
 攻撃のバリエーションを増やすためにも、高質なクロスを上げられる選手が欲しいところではないでしょうか。
 しかも、できれば個人能力で突破して、クロスまで持っていける選手が欲しいところです。
 今のジェフは組織的にサイドを崩せるような術を持ち合わせていませんからね。



 その次に考えられるのはトップ下の選手でしょう。
 守備やビルドアップなどを含めた中盤の仕事ができて、フィニッシュも期待できる選手。
 ミシェウの背の高くした上で怪我が少ない選手が理想的ではないかと思います。


 何度も言っているように、純粋にフィニッシュだけを期待できる選手では現在のジェフにフィットするのは難しいでしょう。
 現状でもビルドアップや中盤での守備に課題があるジェフですから、今以上に中盤より後ろに課題が生じればフィニッシャーを獲得してもそこにパスが通る前に終ってしまいます。
 今ですらラストパスを出せる展開が非常に少ないのが問題になっているわけですからね。


 
 どの補強にせよ、簡単ではないと思います。
 やはりどうしてもシーズン途中からの補強というのは難しくなりますからね。
 開幕前の補強動向には失敗したわけですから、それを挽回できるように頑張ってほしいと思います。