ジェフのスタイル
ミラー監督は就任直後のインタビューなどで「得点を奪うには何よりも個人突破が重要になる」というようなコメントをしていたので、今後のチームビルディングにおいてそれだけが心配な点だったのですが、このコメントなどを読むとそれも杞憂に終りそうです。
Q 戸田に代えて工藤を入れたが、それは予定通りか。
A 前半勝つためのチームを作って入れましたが、このチームでは勝てないと思ったので工藤を入れました。
選手はそういったことを受け入れてくれました。なぜなら、前に選手に話した時に、エゴは捨てろと言いましたし、個では勝つことはできない、やはりチームとしてしっかりやろうと話していましたので選手達はわかってくれたと思います。(公式サイト)
ようするに、攻撃面は個人に頼るサッカーをしようとしているのかなぁと。
もしそうだとするとだいぶジェフのサッカーは変わってしまうなぁと、心配していたのですが。
けれども、最近のサッカーを見ていてもそれだけではないように感じますし、このコメントを読んで安心することが出来ました。
これまでのミラー監督はミシェウを置いてパスをつなぐスタイル、谷澤にとにかくサイドでアタックさせようというスタイル、中断前後のともかくカウンターでDFを厚くしようとするスタイル…など、さまざまな戦い方をテストをしてきました。
当初はチームを“ミラー監督の型”にあわせるために試行錯誤をしているのかなぁとも思ったのですが、そうではないのかもしれません。
むしろ最近は、ジェフに来て“ミラー監督の型”の方を、柔軟に変化させているように感じます。
中断前後はもっとイングランドの古典的なサッカーに近いスタイルだったと思います。
ボールを奪うとともかくサイドに早く開いてそこからセンタリングという形。
けれども今のスタイルからすると、かなりポゼッションを意識するサッカーを目差しているのではないかと思います。
実際、そういったサッカーの方がジェフには向いているんじゃないかと思います。
攻撃にスイッチが入ったときの今のジェフは、オシムサッカーにも通ずるところがあるように感じます。
攻撃的とは言い辛いですが、1人1人が懸命に走って、パスをつないで、勝負どころではスピードで勝負して、チームで戦うサッカー。
特に東京V戦の中盤から工藤の飛び出してアシストなんていう形は、オシムサッカーにかなり近いところがあったと思います。
もちろん全体的なサッカーのスタイルはだいぶ違うのだけれど、今のジェフにもそういった部分が残っていたと感じられるのは嬉しいことだし、それと同時にもしかしたらジェフというチーム自体にそういった戦い方が植えつけられているのかなぁとも思います。
そのために、どうしても最終的には「そういったスタイルが合っている」ということになるのではないかと。
ようするにこれが“ジェフのスタイル”として、無意識のうちに形作られているのかもしれません。
例えば「イングランドのサッカー」と言うスタイルがある程度形式化されているように、“ジェフのサッカー”というものもそこまで明確ではないけれどある程度の年月と共に、少しずつ育まれてきているのかなぁ…なんて。
まだ確信は持てないですけどね。
それをずっと続けていって積み重ねていければいいとは思うのだけれど、ジェフの歴史なんてイングランドなどに比べたらこれっぽちのものなのだし、これから変化し最悪の場合は失ってしまう可能性もあるでしょう。
だけどこれだけメンバーが入れ変わってもそういった特徴が残っているのであれば、それはジェフスタイルの卵(笑)と言ってもいいのではないかと思うんですよね。
それだけチームの方向性が、長い間維持されてきたということにも繋がるかもしれません。
長い間、そういった方向性が維持できて来たからこそ、そう簡単には変わらないジェフのスタイルが作られてきたのではないか…と。
そう考えると改めてジェフの強化部の凄さを感じますし、方向性を維持することの大切さを痛感するのです。
その中でオシム監督がよりはっきりとしたスタイルを打ち出し、そのサッカーで成功を収めたこともとても大きいことだと思います。
それによって方向性に確信が持てたし、よりジェフのスタイルが明確になったと思いますし。
けれども、それもまたクラブの歴史の1つにしか過ぎないんですよね。
もちろんジェフというクラブにとっては、非常に大きな大きな歴史の1つなわけですけど。
逆に日本代表がなかなか独自のスタイルを形成できないのは、その方向性がフラフラ変わるからではないか?とも思うのですけどね。
まぁ、この話しの結論が出るのはずっと後の話し。
結局そういったスタイルなんてものは「そういえばそうだよなぁ」なんて話すものであって、明確に確立されるものでもないでしょうし。
…で、話しを戻すとミラー監督は、そのジェフスタイルを殺すことなく尊重しながらチームを作ってくれる監督さんなのかもしれません。
それは長い目で見るとチームビルディングにおいて、非常に重要なことなんじゃないかと思います。
ぜひとも今後も、今のジェフのスタイルをより深めていきたいですね。