『方向性』をブレイクダウンしてみる

 やめておけばいいのに、もう少し。
 方向性の重要性については話したのですが、図を使って説明したいと思います。

 こちらは『オシムサッカー』という1つの方向性についてを簡単に「ブレイクダウン(構成要素を細分化)」したもの。
(「ブレイクダウン」はまずトップを…目的や目標などを決めてそこから細かく分析していく手法です。この考え方も昨日のエントリと同じですね。詳しくはWBSなどで。)
 しかも作りかけです(笑)
 まぁ、ブレイクダウンを適当にやってアップしちゃう痛い会社のサイトとかもありますけど、本来はすんごい細かく作らなければいけないものなはずです。
 けれど、それをやっているとキリがないので今回はやめときます。
 …でも、これも突き詰めていけば面白い研究材料になりそうですけどね。


 で、例えばこの例で「巻はダメだ!もっと得点能力のあるアラウージョだとかワシントンみたいなのを連れて来い!」といっても、的外れなわけです。
 『体を張ったプレーができる巻』は、『オシムサッカー』の中で欠かせない構成要素。
 この図を説明すると『オシムサッカー』という方向性を達成するためには、『全員攻撃全員守備』(トータルフットボール)が必要なため、『前線から守備ができる選手』が欠かせないわけです。
 得点能力はあっても守備が出来ない選手では、そこには“当てはまらない”いうことです。


 一方で方向性が変われば、巻の存在価値も変わります。
 今度は巻が“当てはまらなくなる”可能性も出てきます。
 だから、ミラー監督やクゼ監督が使うかどうかは当初はわからなかったし、岡田監督も今の方向性を維持するのなら「いらないんじゃないの?」とも思います。





 これは当然サッカーチームに関しても、クラブに関しても同じ。
 どんな団体であろうと、同じことです。



 で、今回の場合はこれを応援に置き換えてみればいい。
 例えば「あっこちゃん」のチャントは私も好きです。
 子供達にも親しみやすいだろうし、昔からのサポにも愛されています。


 けれど、例えばもし「もっとかっこいい方向性で行きたい」、「マイナー調でロックな感じでやっていきたい」となれば、もしかしたら本来は“当てはまらない”のかもしれない。
 あるいは、私が今回取り上げたブーイングする、しないにしても同じです。
 方向性の1つとして「選手には時には強くカツを入れるべきだ!」とするべきなのか、「暖かい目で見守るべきか」にするのか。
 それによって、活動の内容…ようするにより下のボトム(構成要素)が大きく変わるはずです。
 だから今年はブーイングしない方向性だったはずなのにブーイングが出たことに関して、「ブーイングについては反対はしないけれど、今までの方向性はどうなるの?これからはどうするの?」と話したのです。


 私は応援のセンス(下層のボトム)に関して言及するつもりはありません。
 そりゃあ、小学校低学年からギターを持ち始めて早ウン10年(笑)
 ドラムもやってきたしトランペット吹いたことも合唱を真面目にやっていたこともあったし、バンドもやったしそりゃ本当は一言くらい言いたくなることはあります。


 けれど、そこはセンスの問題。
 ブレイクダウンしていけば下の方の問題であり、そこをちまちま言っても仕方のないこと。


 それよりも重要なことや先に決めなければいけないことは山ほどあり、今回話しているのはそちらの問題なのです。



 図で言うとこんな感じ。
 私が言いたいのは…

 ということです。
 レベル…ようするに階層が違うということですね。



 巻の足が遅いだとか足元が下手だ(いやうまくなってきたよね?)と言っても、それは今さら仕方のない話し。
 巻はそういった選手ではなく「ジダンにないもの」を持っているの選手なのですから、それはそれで素晴らしい方向性を持った選手なのです。
 だから巻は選手としてブレがない。
 決まっている方向をまっすぐに走っていけばいいのですから。




 もちろん、サポーターというのはまとまりづらいものでしょう。
 密に連携をとっているわけではなかったりするし、何よりもサポ(構成要員)の入れ代わりが激しい。
 ここ数年、様々な問題が起こっている理由の1つに、フクアリや代表、オシム監督の影響で新規サポが増えたこともあるんじゃないかと思っています。
 だから、昔以上に団結しにくい状況にあるのでしょう。


 でも、だからといって、いつまでも逃げていていいわけじゃない。
 なにせ、「時間が経てばまとめってきてよくなるよー」なんていっても、またサポが入れ替わる可能性も十分にあるわけですからね。
 時間が経てば人が変わる。
 方向性が決まらないまま人が変われば、またやることが変わってきてしまう。
 だからこそ、きちんと振り返らなければ。
 振り返って方向性を考えることに関して、しっかりと向かい合わなくては。




 なぜ、目標を先に定めるのか、方向性を先に決めるのかというのはそのあたりに重要性があります。
 オシム監督がクラブや代表チームの方向性に非常にこだわっていたのも、そのためだったはずです。
 例えグループのメンバーが変わっても、リーダーや監督が変ってもやることには大きな影響を与えないようにする…。
 影響を最小限に抑えるようにするために必要なのが、その組織の目標、目的、方向性なのです。
 そして、その方向性、目標を決めるためにも、しっかりとした反省が必要不可欠ということになります。


 …正直に今回の場合に関しては、難しいことは分っています。
 サポーターの原動力というのは感情であり、このような理論ではないでしょう。
 だから時には暴走気味になってしまうことも、もしかしたら仕方がないのかもしれない。


 でも、そこで諦めていいのか?
 私は去年アマル監督を擁護しきれなかったことを悔いています。
 アマル監督が好き嫌いの前に、それは結局ジェフのためにならなかったと思います。


 だから私は簡単に諦めたくありません。
 少しでもいい方向に進むように、同じミスを繰り返さないように。