なぜ方向性が重要なのかについて

 昨日の話しのちょっとした続き。
 方向性、方向性とアバウトに話してしまったので、反省して「なぜ方向性が重要なのか?」について触れておきたいと思います。


 これは『組織論』の話し。
 なんだか、サッカーブログじゃなくなってきている気がするけれど、気にしない気にしない(笑)
 目標、方向性、活動方針、ヴィジョン、コンセプト、アイデンティティ…どういう言葉でも良いと思うけれど、まず組織、団体において重要なのはそういった『目差すべき所』です。
 これはサポーターやサッカーに限らず、組織作り(チームビルディング)においては欠かせないもので、組織の基礎…ベースとなる部分です。
(このあたりは「組織論」や「組織作り(チームビルディング)」で検索してみてください。「まず初めに目標を選定すること」という話しが出てくると思います。あまりに基礎的な話しなんであまり詳しくは書かれているところはありませんが、例えばこれとか。)



 例えばまた野菜炒めの話し(笑)
 あるレストランで、新メニューとして野菜炒めを作ることになったとします。
 そこでコックAさんは「見た目が大事!」と意見し、色鮮やかなモノを作りたいと言い出しました。
 もう1人のコックBさんは「それよりも味だろ!味!」と言い、見た目よりも味を追求した料理を出したいと言い出します。


 サッカーで言えば、攻撃的サッカーなのか?守備的なサッカーなのか?とか、もっと小さなプレーの問題の判断だとか、そういったレベルの話しだと思います。
 サポでいえば、ブーイングするしないだとか、拍手多めだとか、明るい曲でいこうとかそれよりかっこいい曲を目差そうとかそういうですね。
 


 …で、野菜炒めにおいて、どちらが大事なの?と聞かれれば、それはどちらも大事でしょう。
 見た目が綺麗じゃなければ食欲もわかないだろうし、かといって味が悪ければそれも問題です。
 だから、どっちらの意見も正しいし、それだけでは決めかねてしまう。
 両方とも取れるのならいいけれど、世の中そうはいかないこともたくさんあります。




 じゃあ、そうやって細かなところで判断・評価に困った時に、どうやって結論を導き出すべきなのか?というところで重要なのが、その組織の目標や方向性です。
 例えばそのお店は、家庭料理が得意なお店だったとする。
 そのお店のコンセプトは、『なによりもまずは味が一番重要』。
 だから、見た目は少し我慢して、味を追及した料理をしようということでコックBさんの意見を尊重することになります。
 そうやって初めからコンセプトを決めておければ、細かな部分でなんら迷うことはないし、無駄なケンカをすることもない。
 あとは、どうやって味を良くしていくか追求していくだけです。
 その中で見た目にも少し気を配ればいい。


 逆に目標がさだまっていなかったりすると、組織として非常にまずい。
 「味」なのか「見た目」なのか、いつまで経っても結論は出ません。
 先ほどもいったように、どちらが正しいとは言い切れないのですからね。
 どちらにもメリットはあるのだから。
 最終的に「とりあえずやってみればいいじゃん」となったとしても、それで失敗すれば「ほら見たことか」となってしまう…。


 結局、目標の定まっていない組織、団体というのは、組織として成り立っていない、崩壊した状況であると言うことです。



 ですから、そういった優先順位、目標を先に決めることが重要です。
 そうでないと組織の構成要員は判断に悩み続け、最終的にはその組織自体に不信感を抱くことになるでしょう。
 これ、サポーターの中では良くある話なんじゃないですかね?




 今年のジェフサポの場合、まずは「選手を温かく見守るんだ」ということが第一目標で、優先順位の一番上に来ていたはずです。
 けれど、それがあのブーイングでどうなってしまったんでしょう。
 一度目標がずれたのであれば、そこで立ち止まってもう一度考え直すことが必要です。
 もしかしたら初めに立てた目標が少し間違っていたのかもしれない。
 無謀な目標だったのかもしれない。
 もし間違った目標をそのまま使い始めていたら、当然また同じミスを繰り返すでしょう。
 だからこそ、反省が必要なのです。


 コメントでも頂いたように、今のジェフのサポはさほど悪い状況ではないのかもしれないです。
 けれど、じゃあなぜいい状況なの?今だけじゃないの?本当に軌道に乗ったの?また間違いを繰り返せないの?という話しになってくると、心配も大きい。
 間違ってからでは、修正するのは非常に困難です。
 それは去年の経験からも、よくわかることなんじゃないでしょうか?


 「そのうち良くなる」というか「少しずつよくなっていくんだ」という意見も多く聞かれます。
 けれど、じゃあサポーターが右肩上がりで少しずつよくなったという例はどこにあるのかというと、私は聞いたことがありません。
 歴史の長いイングランドのサポーターが優秀かというと、そうでもない。
 確かにかっこいい応援は出来ているかもしれないけれど、暴徒と化し逆にイメージを下げている人達もいる。
 イングランドだけでなく、欧州のサポでも南米のサポでも暴走してチームに悪影響を与えるといのはよく聞く話しです。


 きちんと反省できなければ、良くなったとはいえません。
 反省できずにいるのであれば、それは偶然よくなっただけです。
 「今のままでいいんじゃない?」と一歩下がっていう方は良くいるけれど、それって無責任じゃないんですかね。
 なんだかまるで、自分は応援にまったく関与していないように聞こえてしまいます。
 それでは良いも悪いもないと思うのですが。


 これに関してもあえてビジネス用語で持っていくのであれば、PDCAだとかナレッジマネジメントだとかですね…(笑)






 話しは戻って、目標選定はピッチ上でも同じですね。
 オシム監督は「なによりも方向性が大事」ということをよく言っていました。
 なぜ『目標』という言葉ではないのか…。答えは簡単ですね。
 『目標』とすると、達成したら終ってしまう。
 けれど、オシム監督は限界を作りたくない。
 だから『方向性』なんでしょうね。


 方向性が決まっているからこそ、その中で細かなことをあれこれ話せる。
 クゼ監督の時は残念ながら方向性が見出せなかった。
 だから議論も出来ない。
 このブログでも「とにかくベースを作ってくれ」としかいえませんでした。
 けれど、今は方向性がはっきりしているからいろいろ談義が出来ます。
 サイドを使うなら、もっとクロスの上手い選手を入れるべきなんじゃないかとか、ラストパスが出せてないからそういった補強が必要なんじゃないか…とか。
 アマル監督の時だって、方向性は見えていました。
 けどその方向性がイビチャ監督と近いからこそ、細かな部分で比べられてしまったけれど…。
(岡田監督とイビチャ監督は方向性が違うから細かなところは比べられない…と言うか比べようがないでしょう。方向性に関する理論や総合力だとかは言えますけどね。)



 その方向性に関して、私達サポーターやファンもしっかり考えていかないといけないと思います。
 いきなり「点の取れるストライカーが必要だ!」といっても、上記の理由で「いや、そういうサッカーの方向性じゃないんで」とフロントに言われたら、もう返す言葉もありません。
 もし、それでもとにかく「私は点の取れるストライカーが欲しいの!」というのであれば、まずは方向性に関してきちんと考えて違うのであれば反論していかなければいけません。
 組織論で言えば、選手というのは目標(方向性)を達成するための構成要員でしかなく、その目標達成のために人材集めをしていかなければいけないのですから。
 


 だから、どういう方向性でクラブがやっているのか、その方向性で正しいのかをきちんと見ていかなければいけない。
 そして、そのあとに方向性に沿ったチーム作りがきちんと出来ているのかを、判断しなければいけません。
 例えばフロントが「個に頼ったサッカーをしない」という方向性なのであれば、例えC.ロナウド獲得話しが出たとしてもまずは「どうなの?」と考えるべきでしょうね。
 

 だから、私はクゼ監督が守備的なサッカーをやろうとしていたと感じたときに「本当にいいのかな?」と思ったわけです。
 「それもいいんじゃない?」と言う意見もありました。
 けれど、方向性が変わるって、そんなに簡単に受け止めていいものではないでしょう。
 それによってチームと言うのは180度変わる可能性があるのですから。




 私はアマル監督解任の経緯にサポも関与していると思います。
 それがいい判断だったかどうかは別として、これによって時にはサポーターもクラブの方向性に対して非常に大きな影響を与えると言うことがわかりました。


 であれば、やはりきちんと方向性に関してサポも考えていかなければいけないでしょう。
 もう方向性をフロントに丸投げすることは出来なくなってしまいました。
 それに、何度も言うようにサポーターも含めてジェフなんですからね。


 そのためにもまずはサポーターが方向性を共有して、しっかりと組織としてまとまっていくことが重要なんじゃないかと思います。
 そうでなければ、クラブを素晴らしい方向になんて、導けないと思いますから。
 去年のようにね。