西部謙司氏「自分がフロントならアマル監督の解任を考える」

 意外なところから意外な爆弾が投げ込まれてしまいましたね(笑)
 もう、笑うしかないって感じです。


 前回のガンバ戦後のコラム(5月28日)までは、このようなことを書かれています。


試合は勝てないわ、けが人は出るわの5月病でしたが、最後の試合に関していえば、僕は悲観的ではありません。むしろプレー内容は非常にポジティブにとらえています。5月病にかかってますから「ああ、また負けたか」となりがちですが、これが普通の状態ならば「うん、いいゲーム。次は結果も出るはず」と、むしろ元気が出るぐらいの内容だったと思います。

G大阪に負けたからといって、どうしようと迷う必要はないでしょう。勝ち点を取れなかったのは確かに痛いですが、ネガティブにとらえるべき試合ではありません。これをベースに上乗せしていけばオーケーでしょう。内容がなくても勝ち点を取る、これがモノを言う時期もあります。終盤戦では特にこれが必要です。内容はいいが勝ち点を取れない、これは残念ではありますが先につながる見込みがあります。もう日程的に先がない場合は意味がないのですが、現時点ではまだ意味があるはずです。
 で、今回はこちら。

僕の個人的な意見を言うなら、自分がフロントならアマル監督の解任を考える。ちなみに、試合後に唐井直GMに聞いたところ「(解任は)ない」と言っていたから、クラブは動かないと思う。
 一気に話が変わっていますね。


 意見が変わること自体はいけないことではないと思うのでいいと思うのですが、肝心の「なぜこの短期間に一気に意見が変わってしまったのか」が全く説明されていません。
 ストヤノフの発言を受けてなのかな?と思ったのですけど、それは自ら否定しておられます。


 これはもうサッカージャーナリストとか、ブロガーとかそういうレベルの問題ではないと思います。
 一度モノを言ったことに対する責任。それを自ら否定した責任。
 それらを全て放棄するつもりでしょうか。 



 また、監督の解任という人の職を奪うような非常にネガティブな発言をしておいて、なぜそのような意見になったのかを言わないというのは、あまりにも軽率過ぎないでしょうか。
 人の運命を変える、重要なコメントの1つだと思うんですけどね。









 さて、ここから若干、話しが飛びます。
 なぜ飛ぶかというと、どうして意見が変わったのかという部分の話しが欠損したまま、話が進んでいるからです。
 もっともらしく話は進んでますけど、そこが本当は重要なはずなんですけどね。


プロの監督が解任されるのは、状況による。おおまかに2つ。1つは成績が悪く、改善の見込みが薄いとき。もう1つは、求心力が失われたときだ。
 確かに、解任の理由はこの2つが多いのかもしれません。





 私は何度も言っているように「成績だけを見てアマル監督を解任すべき」という意見は、あってもいいんじゃないかと思っています。
 だからこそ、この4連戦が勝負だと思っているし。
 ただ、チームが成績を出せるだけの準備を強化部は出来ていないんじゃないか、とも思っていますけどね。






 だから、一つ目の理由はある程度納得ができますけど、二つ目の理由はいくらないんでも強引過ぎやしないでしょうか。
 要するに、「いいサッカーをしているだけに(あるいは任された仕事=プレーはこないしているはずなのに)、結果が出てこないと選手から不満が出てくるんじゃないか」ということなんでしょうけど、果たしてそうなんですかね。


 まず、私はそこまでジェフの選手の精神面が子供じみているとは思っていません。
 彼らはプロであり、それでお金も貰っているわけです。
 甲府戦で何人かの選手が泣きじゃくっていたのも、選手達に責任感があるからこそ。
 そのような選手達が成績が出ないことを、監督のせいにするんでしょうか。
 いや、監督の責任にしたせいで、それはもうプロじゃないようにも私は思います。


 それと、西部さんがどう思っているのかわかりにくいのですが、今はまだ求心力は残っていると思っています。


求心力についてもギリギリだろう。今回、中心選手であるストヤノフ内部告発があったわけだが、ほかの選手は同調していない。だが、彼らもプロとして目前の試合に全力を尽くすというモラルに支えられているのであって、監督に求心力があるとは思えないのだ。
(中略)
長くなったので今回はここで止めます。甲府戦は“求心力の低下”などみじんも感じさせない素晴らしいファイトでした。
 今のジェフはモラルで求心力を維持しているだけであり、モラルが無くなった時(やっているサッカーでは結果が出ないと知った時?)、求心力は一気に失われるということでしょうか?
 そうなんですかねぇ。このモラルがなくなる瞬間というのが、私にはピンと来ません。



 それに肝心の「監督に求心力があるとは思えない」の部分の理由が書かれていない。
 これではなんとも言いようがありません。


 私もそれが心配で、残った選手達が監督を信頼しているのかつぶさに見ていました。
 だから昨日、「羽生がベンチに走っていったこと」や、「ベンチに戻った選手が監督と握手をしていたこと」、「選手達のコメントが監督を支持していること」などを取り上げたわけですけど。
 少なくともそれらを見た限りでは、信頼を失っているとは思えませんでした。


 それとも私が騙されているんでしょうか。









 それと、全くの持論ですけど、「結果」と「選手への求心力」だけで、本当に監督を交代をしていいものなんでしょうか。
 ジーコが日本代表だったとき、「結果」と「選手への求心力」だけで、監督を辞めさせることができませんでした。
 けれど、サッカーに必要なのはそれだけじゃない。「チームの方向性」や「サッカーの内容」も重要だったりするのです。
(まぁ、このあたりは西部さんの今までのコラムと同意見なんだけどね…。多分言い方が違うだけで。)


 もちろん、今のサッカー界では「結果」と「選手への求心力」で、監督を辞めさせることが多いかもしれません。
 けれど、今のサッカー界が本当に正しいかどうかは、また別な話しなんじゃないでしょうか。
 「今、この業界ではこうだからこうだ」というのは、安易だと私は思うのですが。







 加えて、そろそろジェフの選手達も自立していい頃だと思います。
 イビチャ・オシムという素晴らしい監督に出会えた結果、ジェフの選手たちは大きく成長しました。
 けれど、もうそろそろそのイビチャ・オシム監督から卒業し、自らの足で立って戦っていかなくてはいけないのではないかと思うのです。
 これは選手達だけの話しだけではないかもしれません。ジェフに関わる人たち全てに言えるのではないかと思います。
 いつまでも、イビチャ・オシムという幻影にとらわれていては、前に進めません。
 だから、今は苦しくともアマル監督と戦って、自立すべきなんじゃないかと思います。


 なんたってイビチャ・オシム監督レベルの人をもう1人口説き落とすのなんて、もう不可能でしょうからね。









 それにしても、西部さんがなぜ急にこういった話しになったのか、やっぱりわからずじまいです。
 「長くなったので止める」とおしゃっているのでその先に何か考えがあるのかもしれませんけども、それにしたって一番重要な「なぜ意見が変わったのか」と「監督に求心力があるとは思えない」を言えていないのに、こういったコラムを書くのはフェアじゃない。
 そこが一番のポイントなのに、そこを逃げてるんですから。
 残念です。





 しかし、上手い言い方ですね。「長くなったので止める。」
 私も一度、使ってみようかな(笑)









 追記:サッカーの方向性なんて監督が変わればすぐに変わってしまうものですよ。
 そのあたりは以前触れたのでもう詳しくは触れませんけど、それくらい西部さんだって解っているはずです。


 ついでに言うと、今までのサッカーの方向性が現場主導のものでなく、クラブ主導によるものだというのなら、ますます心配です。
 クラブ主導の方向性=祖母井さんの方向性だったわけですが、その祖母井さんはもういません。
 イビチャさんの反対を押し切ってまでアマル現監督を次期監督として獲得したのは他でもない祖母井さんであり、その一番の理由は「サッカーの方向性の維持」だったわけですから。
 加えて祖母井さんは監督選択の重要性も主張しています。それは監督選択がサッカーの方向性に大きく関係するからだと思うのですが。
 (このあたりは、Numberのインタビューより。)
 ですから、少なくとも監督に問題があるのにサッカーの方向性だけは維持されているなんてことは有り得ないと思いますよ。
  もしそんなことが一時試合だけみて言えたとするのなら、それはただの偶然であり方向性云々などは言えないはずです。方向性ってそんなものじゃないですからね。