ジーコ監督、退任会見

 若手を起用することが怖く、ベテラン選手を固定したこと。
 スタメン組と、ベンチ組をはっきりと分け、競争意識を生み出せなかったこと。
 選手のモチベーション、連携面を上げることができなかったこと。
 チームの方針を作り出せなかったこと。
 監督としての経験不足。


 まぁ、他にもあるんだろうけど、ジーコの監督としての問題点はこんなところでしょうか。正直、いいところを探せというほうが難しいと思いますが。カリスマ性があったことと、加地を育て上げたことくらいでしょうか。
 一番、問題となったのは「チームの方針を作り出せなかったこと」ではないでしょうか。
 確かに、選手に「考えさせること」は重要です。しかし、何もない真っ白な状況で、ピッチにポンと11人を置かれたところで、選手達はどっちに行っていいのかわからなくなってしまいます。
 ある選手は右が正しいというだろうけど、他の選手は左が正しいというでしょう。どちらが絶対に正しいということがないのが、サッカーのいいところであり難しいところなんですから。少なくとも監督は、チームとしてのゴールがどの方向にあるのかを提示しなければいけません。
 それがジーコ監督には出来ていませんでした。


 以前にも言いましたが、これがブラジルなら良かったのかもしれません。暗黙の了解で「ブラジルのサッカーはこうだ」というものが、出来上がっていますから。
 しかし、歴史の浅い日本サッカーではそれはありません。残念ながら。



 でもそれは監督の問題ではなく、日本サッカー界の問題です。
 「日本のサッカーとはどういったサッカーなのか」がはっきりしていないということは、日本サッカー(あるいはJFAの)の強化方針がはっきりしていないということにも繋がります。これではいくらいい監督を連れてきたって、その4年間は良くても、長期的には強くはなってはいかないでしょう。
 アテネ五輪もオランダワールドユースもその下のチームも、若い日本人監督が色々やろうと実験していましたが、最終的には縦ぽんサッカーに落ち着いてしまいました。これでは、選手達は「代表チームとはどんなサッカーをするところなのか」がわからなくなり、その後代表に呼ばれても、また一から覚えなおさなければいけません。
 日本はどういったサッカーをするんだという明確な方針をJFAが作り、一貫性を持った育成プランを建てなければ、一向に進歩していきません。だって、それはジーコ監督が明確な方針を打ち出せなかったのと、なんら変わりはないじゃないですか。


 オシム監督が就任すれば、その答えの1つを提示してくれるかもしれません。
 でも、本当に答えを出さなければいけないのは、JFAやサポーターなはずです。監督ではありません。
 監督はいつかはいなくなります。U-21年代は総監督として見てくれるのかもしれませんが、それより下も見るのはまず無理でしょう。結局はJFAが、自分達でチームを育てていくしかないはずです。
 サポーターだってそう。ただボーっと見ているだけではなく、どういったサッカーには拍手を送り、どういったサッカーにはブーイングするのかを、考えながら応援していかなければいけません。
 代表の試合はアイドルのステージではないんですから。




 話がそれました。ジーコの評価でしたね。日本サッカーが成熟していなかったこともあり、シロウトのジーコ監督がいきなり監督に就任するには、日本代表チームというのは難しすぎたのかもせん。
 それはある程度仕方のないことかもしれません。才能がなかっただけですから。
 でも一番許せないのは、経験もないくせに足で稼ごうともせず、Jリーグの試合も見に来ないで、ブラジルにさっさと帰ってしまうことが多かったことです。
 経験がないのはどうしようもありません。JFAもそれを知った上でオファーを出したはずなのですから。それなりのフォローをしなければいけなかったはずです。実際には何もしないで、指をくわえていたわけですが…。