オシム監督による2バックの理論

 先週の金曜に発売したEL GOLAZOで2バックについて軽く触れられてました。
 けどもう2-6-2なんて特別に驚く対象ではないでしょう。
 以前、練習で試合2-5-3のワンボランチだってやっていたのを見たことがありますし。
 2-5-3もオシム監督の考えさえ理解していれば、いつものジェフサッカーの延長上だということが理解できます。



 その練習試合では相手が1トップ気味の4-3-3だったので、ジェフの3トップのうちウイングの2人が相手のサイドバックを狙います。
 これによりジェフの両サイドハーフは相手のウイングと1体1の構図になりますが、気にせずどんどん攻めあがることで相手のウイングを押し下げていました。
 中盤も3対3。ワンボランチだから守備面が心配…と考えるかもしれないけど、積極的に攻めて相手を下げ、前からしっかりプレッシングしてパスの出所を抑えられれば怖くありません。
 実際、この試合では相手が大学生ということもあり、相手のトップ下は押し下げられてトリプルボランチ気味になってしまいました。


 DFラインは相手センターフォワードが1人なので、いつも通りリベロが1人余る形になります。
 ちなみに練習では相手が2トップでも時には2バックの場合はありますが、その場合はDFラインに余りは作らない形です。
 こういう場合は、攻撃にシフトした時のテストをしているんでしょうね。



 2バックと4バックの大きな違いは積極的にサイドの選手が相手を攻めて高い位置をキープし、対面するサイドを下げさせること。
 サイドの選手は守備にも戻らなければいけないのですが「攻めて相手を下げさせれば、カウンターを受けても守備に間に合うだろ」というのがオシム監督のベースとなる発想です。
 アテネ五輪組がツーロン国際の頃にやっていた2バックは、ボランチがカウンターに備えてDFラインに入り3バックにも変化するシステムで、ジェフの2バックとはそこに至った考え方が違うと思います。
 選手たちの(特にサイドとボランチの)運動量が求められる、という点では同じですが。
 



 ここまで週末に書いたのですが、このあたりの考え方について湯浅氏がこうまとめています。


ボールを奪い返したら、パス&ムーブも含め、チャンスがある者は誰でもタテへ抜け出して行け・・そこで流れに乗り遅れた者は次の守備に備えろ・・自分のマークを放り出してでも攻撃チャンスを掴み取れ・・その攻撃が何らかのフィニッシュまで行ければ、戻る時間は十分あるし、もしオマエがタテへ仕掛けていったら、オマエがマークしていた相手も戻ってくるものさ・・守備はすべてのスタートラインだけれど、それは目的ではなく手段にしか過ぎない・・とかネ。もちろん私は、実際の指示内容なんてまったく知らないけれど、たぶんそんな「感じ」なんじゃないですかネ。(湯浅健二氏

 2バックだろうと3バックだろうと、考え方は同じ。
 攻めることで相手を下げることが出来るんだから、ディフェンダーが2枚だろうと1枚だろうと構わない。
 その代わりちゃんとアップダウンして局面では戻ってきなさい、ということです。
 要するにフォーメーションなんて関係ないということです。


 実際、2バックがマスコミなどで騒がれたのは今年からだけど、去年からやってますし。
 もちろん2バックにすることで中盤が厚くなり、パスをつなぎやすくなる効果も狙っているはずです。
 しかし、一方で中盤は人数がたくさんいるので素早い判断力が求められます。
 それを養うために、練習では積極的に2バックを実施しているのかもしれませんね。




 でも、もう公式戦でも2バックをやってますし、今は学習のためだけではないように思います。
 まぁ、結局は重要なのはどんなフォーメーションかじゃなく、どんなサッカーをやるか。
 それによってフォーメーションも選手起用も大きく変わってくるはずですからね。