ジャイール、UAEエレミーツへのレンタル移籍決定
ジャイール・エドワルド・ブリト・ダ・シルバ選手の期限付移籍について(ジェフ公式サイト)
取り上げるのが遅くなりましたが、海外ですでに報道がなされていた通り、ジャイールのエレミーツクラブへレンタル移籍がジェフからも発表されました。
ジェフには居場所がなかったわけですから、ともかく決まって良かったのではないでしょうか。
移籍金などは取れれば理想的ではありますが、事実上の戦力外だったわけですし高望みは出来ないかなと。
残り契約期間がどれだけあるかはわかりませんが、その分の費用が浮いたのであればそれでいいと考えるべきなのかもしれません。
ジャイールに関しては以前も取り上げた通り。
一番の課題は守備をしないことだったと思います。
何とか守備に戻るところまではいったとしても、そこで簡単に抜かれてしまう…。
現代サッカーではどのポジションでも守備の穴があれば、そこからチームは崩壊してしまうわけでチームとしては非常に使いにくい選手だったと思います。
加えて、攻撃においてもボールを持ちすぎることが多く、近くの選手に簡単につなぐなどシンプルなプレーが出来ない。
これによって、攻撃のスピードダウンが目立っていました。
奪われないドリブルはうまいですしタッチライン際での突破で相手を抜き去るシーンもありましたけど、スペースのないところで相手に囲まれるとシンプルなパスワークが出来ないこともあって行き詰り、ボールを奪われる場面が多かったですね。
ボールを奪われる場面が多いということは、そこが被カウンターのターゲットになってしまうと言えるわけで、これも残念なポイントの1つでした。
相手にスペースがある状況なら活躍するのだけれど、そうでないときには試合から消えてしまう原因はこの辺りにあったようにも思います。
ジャイールの良かった部分を振り返ると、クロスの質は素晴らしいものがあり正確さだけでなく力のこもった重いボールが蹴れるため、ヘディングなどでうまく合わせられればゴールに繋がりやすいといったところがあったと思います。
また、鋭いスルーパスなども持っていて一発でチャンスを作れる能力があったと思いますし、ドリブルでキープしながら斜めに走りこんでいって、逆サイドに大きく展開するパターンも得意でしたね。
それだけ遠くを把握できる視野の広さも持っていた選手だと思います。
ただ、状況が良ければ1人でやれてしまうからこそ、強引にでもその一発を狙いすぎる嫌いがあって…。
ボールを持った後のプレーの判断力が、大きな課題だったということになると思います。
視野が広くても近くの選手にはパスを出さないことなどを考えると、やっぱり周囲の選手を信じきれなかったのかなと感じてしまうわけですが…。
状況によっては、シンプルなプレーも選択できる賢さが足りなかったのかなとも思います。
鈴木監督は、その一発に期待していた部分があったのでしょう。
CBかボランチから、バイタルエリアへ縦パスを出して、そこから前を向いてのラストパス。
あるいは縦パスから一度戻して、テンポ良くサイドに回していってのクロス…。
そういったかっちりとした"攻撃の型"をチームで作ろうとしていたからこそ、逆に異分子的な存在を入れておきたかったということかなと。
中央がこのチームのベースになることを考えると、異分子的な存在はサイドハーフでの起用がベターだったのでしょうね。
ただ、ジャイールがあまりにも課題が多すぎたこと。
組織が明確になっていって、異分子がなくとも結果を出せるようになっていったこと。
そして、シーズン途中からチャンスメーカーとしての米倉と、ゴールゲッターとしてのケンペスの活躍もあって、ジャイールの必要性も低くなっていったのかなと思います。
今後ジャイールに関して言えば、レベルが決して高くない環境での試合なら個人技だけで活躍できるかもしれないですけど、せっかく才能ある選手なのですからさらに上を目指してほしいなと思ってしまいます。
出来ればジェフで攻守において組織的なプレーができるようになって欲しかったところですが、クラブの状況やジャイールの実績、予算面などを考えればあまり長くは待てなかったという判断も仕方ないでしょう。
新たな地での成長を祈っております。