ゴールを決めた富澤とアランダの関係性

 今季は「移籍後初ゴール」が極めて多い年となっていますが、昨年途中にジェフに加入した富澤もここまで得点を挙げていなかったので、金沢戦での得点が「移籍後初ゴール」となるのですね。
 豪快なミドルシュートで、貴重な1点を挙げたことになります。
 ちなみに今回のタイトルは、山本に関して書いたエントリーとあえて被せてあります。



 守備的なボランチと言えるであろう富澤ですが、金沢戦ではゴールシーン以外でも攻撃面でも活躍していたと思います。
 後方に引いて左右に展開するだけでなく、状況に応じて前にも出て行っていました。
 この動きが効果的に作用していたと思います。


 例えば56分のジェフの攻撃。
 アランダが縦パスを出して、ゴール前でパスをつないで最後は井出がシュートを放っています。
 ジェフでは珍しい遅攻時の中央での縦パスからの展開でしたが、これも富澤が前に出ていくことで相手のマークを引き付けていた。
 これによってアランダがフリーになって、前を向いてパスを出せる状況を作り上げていました。


 金沢の守備は選手の動きについていき過ぎる傾向があり、ジェフの選手が前に出ていくと簡単に釣られてします。
 富澤は得点シーンでも「深いところまで押し込めばバイタルエリアが空くと感じてた」と話していますし、そのあたりの金沢の守備の癖を感じ取ってプレーしていたのではないでしょうか。
 金沢の守備が簡単にバランスを崩し過ぎていたとも言えるのでしょうが、そこを賢く突いたとも言えると思います。



 守備においては、やはり富澤がボランチに入ると強さの面でプラスになると思います。
 地上戦では太田からの展開に対して前からのプレスで対応していたジェフですが、ロングボールに対しては富澤がCBと挟んで対応することが出来ていたと思います。
 完全に勝たなくてもそこでしっかりと競り合うことで、次の攻撃を遅らせることが出来ていたのではないでしょうか。
 今年はセットプレーからの失点も多いので、セットプレー時の守備という意味でも富澤の起用はプラスに働く部分があるのではないでしょうか。


 また、この日も中盤で目立った活躍をしていたアランダですが、前に出ていく時は出足が早くボールを刈れるものの、引いて守る時の守備にはあまり強さを感じないようにも思います。
 C大阪戦前半も押し込まれた状況で、バイタルエリアを取られることが多かった。
 リトリート時にバイタルエリアを取られていたのは、C大阪戦だけではなかったように思います。



 アランダと山本が横関係を維持することを重視することで、バイタルエリアを埋めきれていないのではないかと思います。
 それは監督の指示通りなのかもしれませんが、状況に応じて変化も必要になってくる。
 富澤はリトリート時に相手の出方を見ながら、ラインをブレイクして人に付く形に変化するなど、臨機応変に対応していたように見えました。


 このあたりはCBでのプレー経験もあるからこそというのもあるでしょうが、富澤の状況判断能力の高さとも言えると思います。
 攻守に置いて相手の状況と自チームの状況を見ながら、自主的に対応を変えることが出来る。
 このあたりが富澤の強みでもあるのでしょうか。



 山本もパス出しのセンスという点ではやはり秀でたものがありますし、富澤にも攻守に良さがあると思います。
 アランダが攻守に気の利いたプレーが出来る選手なだけに、パートナーの選択肢も広がるといったメリットがありますね。
 バランス感覚や試合を終わらせるといった点では勇人もいるでしょうし、今後もうまく使い分けていく形を取っていくことになるのでしょうか。