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長澤をトップ下、吉田をサイドに置く4-5-1

 岡山戦の65分、ジェフは井出に代えて長澤、エウトンに代えて吉田を投入。
 長澤をトップ下、吉田を左SHにおいて、4-4-2から4-5-1に変更しました。
 時間は短かったですが開幕戦でも同様のシステムを使用しており、長澤を起用する時はこの形がいいと考えているのではないでしょうか。


 長澤は縦に鋭く仕掛けるタイプではないだけに、SHよりトップ下の方が良いのでしょう。
 特にジェフはサイドから細かくつないで崩すような形を持っていない上、SBに積極的にアップダウンできる選手を置いていない。
 多々良は守備的な選手ですし、阿部もタイミングを見て上がっていくタイプですから、出来ればSHにはアタッカーを置いて縦への推進力を期待したい方向になのではないでしょうか。
 加えて長澤はボールを持って多方面にパスを出せるタイプのように思いますし、角度のある中央の位置でボールを持った方が良さが出せるのかもしれません。



 長澤がトップ下の位置からゴール前に飛び出す、あるいは相手のバイタルエリアでタメを作ってスルーパスを出す。
 スルーパスからの攻撃を狙うのであれば、1トップにはエウトンよりも裏抜けを狙える船山の方がいい。
 しかし、船山だけだとターゲットが少ないので、SHに本来はFW登録の吉田を置く。
 そういった狙いから、2試合続けて試合途中に長澤のトップ下と吉田のSH起用となったのではないでしょうか。


 逆に岡山戦の80分から船山に代わってオナイウが起用されましたが、オナイウは裏狙いができるタイプではなく、かといってチームとしてパワープレーに移行したようにも見えず、中途半端な采配となってしまいました。
 船山の怪我もあったのでしょうが、タスクが不明瞭な状況でオナイウとしてもやりにくい展開だったと思います。
 これが試合終盤の失速の一要因とも、言えるのではないでしょうか。


 また、試合途中に前線を1枚削ってトップ下を置くシステムに切り替えていたため、そこから再び前線の枚数を増やしてパワープレーに移行するといった作戦が、取りにくかったところもあったように思います。
 スクランブルで吉田を前に上げ、長澤をSHに移すような方法も取れなくはなかったでしょうが、それでは長澤のトップ下を活かす形に移行した意味合いが薄れてしまう。
 そういった事情もあって、岡山戦では試合終盤にギアを上げ切れなかったのではないかと思います。



 開幕戦では井出を残して長澤や吉田を起用しましたが、岡山戦では井出を下げて小池を残しました。
 これは岡山の右サイドには加地、渡邊といった守備力の選手がいて、左サイドは攻撃力がウリの片山だったため、小池を残したということだったのではないでしょうか。
 相手は3バックでサイドが空きがちになるため、小池のスピードを活かしてサイドをえぐってクロスを上げると。


 そして、逆サイトの吉田がそのクロスに飛び込む、という狙いだったように思います。
 開幕戦では左サイドからクロスを上げられていたので、左からクロスを上げて右SHに入った吉田が飛び込む。
 昨年で言えばペチュニクのようなタスクを吉田が任されていたことになり、これが4-5-1のもう1つの狙いなのかもしれません。
 昨年のペチュニクは関塚監督のサッカーとは相性が悪いのかなとも思っていたのですが、結局同じことを吉田が担当していることになります。



 ただ、実際には右サイドからのクロスの質がもう1つだったこともあって、サイドを突破する回数は多かったものの、チャンスまでには至らなかった印象です。
 吉田も正確なヘディングシュートを持ってはいますが、そこまで絶対的な高さのあるタイプではないし、船山や長澤も身長のあるタイプではなくターゲットが1人になってしまう。
 特にファーサイドでのヘディングシュートというのは、相手の前を取りにくくより空中戦での強さが求められますし、岡山戦では中央に岩政がいたためそこを超えるクロスの質が求められた。
 結果的に4-5-1での右サイドからのクロスには、あまり得点の可能性を感じませんでした。


 加えて、トップ下の長澤からのチャンスメイクも、回数は少なかったように思います。
 岩政のミスからボールを奪って吉田が飛び込んだシーンと長澤が決めた得点シーンだけで、その他の時間帯は攻撃を作れなかった印象です。
 細かなビルドアップに課題があり特に中央へのパスワークが作れていないチーム状況なだけに、どれだけ長澤が良い位置でボールを持てる形を作れるかが大きな課題となるのではないでしょうか。



 とはいえ、長澤自身はコンディションが上がってきたように思いますし、試合勘も回復してきたのではないでしょうか。
 シュートシーンでも冷静にGKを見て流し込んでいますし、吉田へのパスも良かったと思います。
 ボールキープからのチャンスメイクという形で、ようやくJリーグでの成功の可能性が見えつつあるのかなとも感じます。


 長澤トップ下と吉田のSH起用による4-5-1によって、チームにとっても新しい可能性が見え始めたのかもしれません。
 それによって、攻撃のバリエーションが増える可能性も言えるのかもしれません。
 ただ、それは結局のところ、選手を入れ替えてのバリエーションの増加ということになってしまいます。



 昨年もハイプレス期のハーフカウンターとクロスから、町田のトップ下や水野の右サイド起用、松田を前線での使ってのカウンターなど、それぞれ可能性はあったと思います。
 しかし、それらはすべて選手を入れ替えることによって見えた可能性であり、選手を入れ替えることによって1つ前の可能性が失われ、結果的に積み重ねが出来ていかなかった。
 積み木を積んで行くも頭打ちに合ったと感じると、一度崩してまた積み上げるような状況が続き、結局高く積み上がることは出来なかった。


 今回も4-5-1にシフトすれば、長澤からのチャンスメイクや吉田の飛び出しといった可能性は見えてくるかもしれません。
 けれども、その分両SHが縦に仕掛けるような展開は少なくなるかもしれないし、エウトンが外れる分ゴール前のフィジカルといった点でマイナス面が出てくるかもしれません。
 もちろん「どちらが良いか」といった議論も出来るでしょうが、昨年からの問題は1つの形を追求し熟成できないことではないかと思います。


 理想は選手を入れ替えてバリエーションを増やすのではなく、より戦術的にチームとして明確な意図を持って攻撃の質を高めていくことではないかと思います。
 結局のところ個人能力に頼るサッカーになっているので、選手の入れ替えばバリエーションは増える。
 けれども、そこから選手を固定して、更にチームの幅を広げるということが出来ない…という問題が、昨年は多発してしまったように思います。


 チームとして、最終的にどのようなサッカーを目指すのか。
 そこに関する"志"というか"信念"がないと、チーム作りの方向性もぶれてしまうように思います。
 新たな可能性が見いだせたことによって、逆にそこを問われる場面が早くも来たのかもしれません。