大岩の仙台移籍が正式発表に

 大岩の仙台移籍が発表なりました。
 すでに報道されていましたので先日取り上げましたが、改めて。
 

 大岩のプレーを始めて生で見たのは、11年末のジェフでの練習だったと思います。
 その時はSBの位置でプレーし、体の強さと、アップダウン、タイミングの良い攻撃参加に可能性を感じました。
 ジェフは長らく本職のSBがおらず、CBながらもSBとしての期待も高い選手だったと思います。



 翌年ジェフに加入した大岩は1年目から、主に右SBとして33試合に出場。
 ただし、SBとしては攻守に細かなプレーに物足りない面もあって、夏からは途中加入した高橋峻希にポジションを奪われてしまいました。
 翌年は左SBでポジションを獲得したものの、こちらでも米倉の右SBコンバートで左SBに移った高橋峻希との争いに敗れてしまいます。


 2014年開幕時はCBとしてプレーしますが、不安定な面も多く右SBに戻されます。
 そのまま右SBでポジションを確立していきますが、夏には関塚監督が就任しシーズン終盤には山口慶にポジションを譲ることに。
 今年は山口智が抜けて、シーズン序盤はCBとして活躍。
 けれども、ここでも夏にはポジションを失います。



 こうやって振り返ると、ジェフでの大岩は毎年のように挫折を味わってきたいということになります。
 しかし、今年はそこからもう一度這い上がって、今度は右SBで金井からポジションを獲得。
 ポジションを奪われる側から奪う側に変わったことになります。


 7月から8月末にかけてポジションを失っていた大岩ですが、チームとしてSBが絞る傾向が強まったこともあって9月からレギュラーに復帰。
 積極的にアップダウンをすることで、サイドを活性化することに成功していた印象です。
 大岩本人としても、コンディションが非常に良かったのではないでしょうか。



 大岩の積極的な動きによる攻撃参加によって、良い形で右SBがボールを持てる回数が増えていきました。
 ただ、大岩の場合は高い位置でボールを持ってもクロスの質が大きな課題で、チャンスにまでは結び付かないといったケースが多かった。
 「大岩に対してはクロスを上げさせて良い」といった守り方をしていた相手チームも、多かったと思います。
 うまくインサイドを走ってゴール前に飛び出すとったプレーも見せてはいましたが、やはりSBとしてはクロスもないと厳しいところがあると思います。


 それだけに、将来的にはCBで挑戦した方がいいのかなぁと感じていました。
 ただ、来年も2人が残れば、富澤とキムが中心になるのではないかと思います。
 連携面に悩んでいた富澤ですが終盤には少しずつ改善していった印象ですし、キムとの相性も良いと思います。


 大岩も今年序盤は、CBとして健闘していたと思います。
 ビルドアップ面も以前よりは改善されていたし、ラインコントロールなどでも貢献。
 ただ、サイドからのクロスボールに対して振られやすいところがある印象もあり、後方に引いて守るのであればボールの奪いどころも下がることもあって、よりボールを出せる栗山や富澤の方が良いと判断されてしまったのではないでしょうか。



 大岩のもう1つの良さというのは、声が出せることではないかと思います。
 ジェフは伝統的に真面目な選手を好むところがあるので、特に若手〜中堅はどうしても静かな性格の選手が多い。
 その中で大岩は数少ない声の出せる中堅選手だったと思いますし、貴重な存在だったと言えるのかもしれません。


 プレーに関しても、今年はアグレッシブな姿勢を見せることができていました。
 大岩が慕っていた山口智が退団したことで、逆に一人で何とかしなければという思いが強くなったのではないでしょうか。
 今までは山口智の顔色をうかがうことが多かった印象ですが、ようやくそこから吹っ切れることができたのではないかと思います。
 1年間レギュラーポジションを手にしていたわけではないですが、今年はCBでもSBでも成長の跡が見えたシーズンだったのではないでしょうか。



 それだけに残念な思いもありますが、一方でジェフに来年も残ったとしてもCBには富澤とキムがいるだろうし、右SBも金井が残るのであればポジション争いは厳しいかもしれない。
 ポジションが確定しないのも、本人にとっては悩むの1つの要素なのではないでしょうか。
 一方で仙台では、本職のCBとして挑戦できるかもしれません。


 清水DF平岡獲得の報道も出ましたが、鎌田が移籍すればチャンスはあるかもしれない。
 CBとしては意外と仙台の方が、ポジションは近い可能性もあるのかもしれません。
 もちろんより高いステージということでJ1でチャレンジしたい思いというものは、プロ選手として当然あるものだろうとも思います。


 あとはやはり今年苦戦した中で、監督続投濃厚という面も大きいかもしれません。
 あるいは、斉藤氏がスカウト時に獲得してきた選手だと思うので、そちらの影響なのか。
 どちらにせよ、戦力的にも痛い流出なのではないでしょうか…。



 これでもし金井も移籍となったら、さすがに苦しいですね。
 右SBは北爪に期待したいところもありますが、大岩、田代、栗山、中村とDFラインのこなせる戦力が抜けたことになります。
 若狭、阿部も補強したとはいえ、どれだけここから巻き返せるのか。
 中盤のテクニシャン獲得ばかりに力を入れて、他が疎かになるというようなことにだけはならないでほしいところですが…。


 ともかく、4年間ありがとうございました。
 上に行くからにはぜひレギュラーポジションを獲得できるよう、頑張ってほしいと思います。