相手の猛攻を止められず後半ATに逆転負け
札幌としては負ければプレーオフ進出の可能性がなくなる試合ということで、後半に入ってからリスク覚悟で猛攻を仕掛けてきた印象でした。
ギャンブル色も強い攻撃で結果的にバタバタした印象の試合展開になりましたが、今のジェフにはその展開を止める力もなかった。
結局その賭けを札幌が制して、3-2で勝利した試合となりました。
■前半アディショナルタイムにPKでジェフが先制
ジェフは前節出場停止のキムですが、この試合でもベンチに入らず。
前節に続いて、大岩と富澤のコンビになりました。
また右SBには北爪が入り、前線は森本とペチュニクと2トップに。
左SHには松田が入りました。
札幌は河合が出場停止明けでスタメンに。
稲本も怪我から2ヵ月ぶりに復帰し、スタメン出場となりました。
一方で内村は怪我なのかベンチにも入っておらず、荒野が前線に入っています。
札幌は第37節磐田戦で、CBパウロンが負傷し今季絶望との報道。
また今季22試合に出場している古田も戦線離脱中のようで、長期離脱が多い印象があります。
試合序盤は、札幌がボールを支配する展開。
札幌は河合、稲本が復帰し、後方からロングボールで大きく展開。
そこからのサイドの裏を狙う形や、都倉が落として中盤で受ける形で攻め込んでいきました。
やはり稲本、河合、小野あたりは、ボールを持っても落ち着いていましたね。
ジェフは森本を前線に起用し、松田をSHで起用して走れる選手を多く起用。
ここ最近チーム状況が悪いこともあって、守備から試合に入ろうということだったのでしょうか。
いつもよりも、守備の意識が高かったのではないかと思います。
ボールを奪ってからは、早いタイミングで前線に蹴り込む展開。
この日は森本、ペチュニクとサイズのある選手が2トップということで、それを活かそうという意図でしょうか。
特に森本が積極的に裏を取る姿勢を見せていました。
しかし、その分厚みのある攻撃は出来ず、単発で終わることが多かった印象です。
8分にはジェフの攻撃。
ロングボールでの展開から、水野がこぼれ球を拾ってロングシュート。
しかし、これはGKク・ソンユンが弾きだします。
20分、その水野が相手との接触プレーで膝を負傷。
一度はピッチに戻りましたが、プレーを続行することはできず。
谷澤と交代となり、右SHに松田、左SHに谷澤となりました。
26分には札幌が、良い展開からシュートまで持ち込みます。
後方に引いた稲本から、ボランチの宮澤が受けると楔のパス。
これを都倉がワンタッチで落として、荒野が縦に走り込んでシュート。
しかし、GK高木の正面で終ります。
28分にはジェフの攻撃。
左サイドのスローインから、中村が受け直して右足でクロス。
北爪がシュートを放つとゴール前の森本につながり、最後はペチュニクがシュートを放ちますが大きく枠を逸れます。
30分を過ぎたあたりからは、ジェフがボールを持つ時間に代わっていきます。
やはり札幌は攻め込まれると、5-2-3のようなフォーメーションになる。
そのためサイドが薄くなるだけでなく、中盤でもパスコースが出来てしまう。
しかし、41分には札幌の攻撃。
左サイドからのスローインから、福森が繋いで小野がバイタルエリアで縦パス。
これは大岩がクリアしますが、荒野が足を伸ばして宮澤に拾われると、オーバーラップを仕掛けた堀米へ。
そのまま堀米がセンタリングを上げると、石井がフリーでヘディングシュートを放ちますが、ゴール右隅を逸れます。
攻め込む時間帯があった後にチャンスを作られ嫌な流れかとも思いましたが、後半アディショナルタイム。
GK高木からのロングキックからの展開で、ペチュニクがボールを拾うとワンタッチで森本を裏へ走らせます。
これをGKク・ソンヨンが倒してPK。
これをペチュニクが決めて1-0で前半を折り返します。
■札幌が猛攻から3ゴール
後半開始から、札幌が猛攻を仕掛けてきます。
キックオフ直後にいきなりの決定機。
荒野、石井とワンタッチでつなぐと、バイタルエリアで小野がミドルシュート。
これが都倉にあたり、コースが変わってバー直撃。
最後は荒野も詰めていましたが、決めきれずに終わります。
49分にも札幌のチャンス。
右サイドからのCKを小野が蹴りると、都倉が大岩に競り勝ちフリーでシュート。
しかし、これもシュートは枠外。
54分には、河合がカットしたところからの攻撃。
都倉、小野とつなぐと、そのまま攻め上がった河合が受けて左サイドに展開。
堀米がクロスを上げ、荒野がヘディングで狙いますがゴールならず。
55分にも札幌の攻撃。
逆サイドに流れていた福森から、小野へ大きく展開。
小野は左サイドで胸トラップをすると、そのままシュート。
角度がなく枠は捉えきれませんでしたが、鋭いシュートでした。
劣勢が続くジェフは、62分に選手交代。
中村に代えて金井を投入して守備固め。
そのまま左SBに入りました。
しかし、その直後にも札幌のビックチャンス。
稲本から左サイドへ大きく展開すると、堀米が切り込み中盤の小野に繋ぎます。
小野は再び左サイドをあがってきた福森につなぐと、福森がそのままクロス。
ニアで石井が折り返して、荒野がヘディングシュート。
ボールはゴールラインを割ったようにも見えましたが、高木が弾きだしたという判定でゴールならず。
65分、札幌の選手交代。
稲本に代えて上原を投入。
堀米をボランチに回して、上原が左サイドに入りました。
そして、得点が動いたのは68分。
札幌のカウンターから福森が右サイドへ展開。
石井が小野との1-2で完全にサイドを抜け出すと、福森がヘディングで合わせて1-1に。
ジェフはついに同点とされてしまいます。
続く72分にも、札幌の攻撃。
左サイドで荒野とパスをつないだ展開から、堀米がクリアをカットして中央へグラウンダーのパス。
これを石井が足元で合わせますが、ジャストミートしきれず。
失点以降も相手にチャンスを作られることの多かったジェフですが、73分に突然ゴールが生まれます。
中盤で北爪、谷澤とつなぐと、左SBの金井へ展開。
距離がある状態でしたが、右足に持ち替えてクロスを上げると、そのままボールはゴールマウスに吸い込まれます。
金井がフリーだったこと、ゴール前にペチュニクが飛び込んでGKク・ソンヨンが対応を誤ったこともあって、2-2となりました。
しかし、その直後の75分にスコアが動きます。
右サイドをパスで縦に持ち込まれたところから、荒野がゴール前でマイナスの位置にいた福森に繋ぐと、福森はフリーでシュート。
これはジェフ選手に当たりますが、河合が拾ってワンタッチでファーの上原へ。
上原にヘディングで折り返されると、最後は石井がゴール。
オフサイドラインの裏を取られた形でしたが、その前のパスワークでもペナルティエリアまで簡単に入られており、ゴール前マイナスの位置にいた福森もフリーに。
中盤の河合へのマークに行けておらず…と、ジェフは最終ラインに人数が集まりすぎていて、まったく中盤を抑えきれていませんでした。
そこを取られてやられた展開だったといえるでしょう。
80分、ジェフは久々のチャンス。
右サイドからのFKで、ゴール前の競り合いからファーの金井に流れると、金井はそのままシュート。
これは相手選手に当たりますが、ゴール前で大岩がもう一度シュート。
しかし、ゴールライン前で札幌DFにブロックされ、得点にはなりませんでした。
86分、札幌は都倉に代えてナザリト。
ジェフは森本に代えて安を投入。
88分には小野を下げて、中原が入りました。
80分あたりからは、さすがに札幌の選手たちにも疲れが見えてきました。
しかし、ジェフがチャンスを作りきれずにいると、89分にはまたも札幌の決定機。
宮澤が中盤でボールを持ち縦に持ち込むと、そこをジェフは抑えきれず。
そのまま左サイドの荒野に繋がれ、グラウンダーのクロス。
ゴール前でフリーの中原が合わせますが、シュートは大きく外れてしまいました。
92分にもジェフはヘディングでの押し合いから簡単にサイドの裏を取られると、堀米はそのままシュート。
しかし、これはGK高木が正面でキャッチ。
最後は両チームともに疲れが見える展開でしたが、チャンスを作っていたのは札幌でした。
このまま試合終了かと思われた94分。
札幌が中盤で奪ってカウンター。
福森が中盤で持ち込むとジェフの守備陣は戻りきれず3対2の状況となり、最後は荒野が仕掛けてシュートを放つもGK高木が弾きだします。
これで得たCKを福森が蹴り、一度はGK高木がパンチング。
しかし、再び中盤で拾われ福森がクロスを上げると、中央で上原が合わせてゴール。
GKク・ソンヨンも攻撃参加してきたセットプレーで、最後はゴール前に多くの選手がなだれ込んでの得点でした。
そのまま試合終了のホイッスルが鳴り、ジェフは劇的な展開で敗れてしまったことになります。
■相手のやりたい試合展開を作られて
冒頭でも話した通り、札幌としては後のない状況でリスク覚悟の攻撃を仕掛けてきた印象があります。
ジェフはその猛攻を止めることができず。
カウンターを仕掛けることもほとんど出来ずに、敗れてしまいました。
前半は札幌も決定的なチャンスは少なく、良いテンポで攻撃を作れても得点までは結び付かない、前節敗れた大分戦のような流れだったように思います。
守備においても特に30分からは、5-2-3のシステムの穴を感じた部分もありました。
あのシステムだと押し込まれると厳しいため、攻め込むしかないという部分もあったのかもしれません。
後半の札幌は猛攻を仕掛けてきましたが、金井の得点シーンのように守備には甘さがあったと思います。
しかし、ジェフはそこをつくことができなかった。
システムも含め札幌の守備に不安があるため殴り合いになりかけたかにも見えましたが、実際にはシュート数も札幌が25本でジェフが9本とほとんどジェフは攻めることができていなかった。
この日決めた2ゴールもPKとクロスが流れたものによるもので、良い攻撃は作れていなかったように思います。
守備では特に小野を中心とした攻撃を、止め切れなかった印象があります。
小野を止められないので、ボランチが釣られていつも以上に後退してしまう。
ジェフのボランチが後退したところで中盤が空いて、そこに札幌のボランチやCBが出てくる。
中盤でパスの出所が抑えきれていないので、更に最終ラインも下がっていく…。
これによって札幌の2次攻撃・3次攻撃が生まれ、攻め込まれる時間が長くなっていた印象でした。
後半から攻勢に転じた札幌としては、押し込んで中盤で拾ってさらに展開して…と狙い通りの流れが作れていたということになるのではないでしょうか。
札幌の圧力を押し返すことも出来ず、ジェフからすれば後半は本当に厳しい試合でした。
結果的に相手の土俵の上での勝負に立たされて、こちらもバタバタした試合になってしまった印象です。
カウンターも作れず、試合を落ち着かせることもできず、守り切ることもできなかった。
ゴール前で札幌の選手が決めきれるか、それとも最終局面でジェフのDFが何とか守りきるかの勝負。
しかし、それが続いてはどうしても苦しくなっていき、最後は相手GKも前に出てきて人数で劣勢になり、得点を押し込まれてしまったといった印象です。
これでジェフはリーグ戦4戦勝ちなしとなったわけですが、内容的にも残念な試合が続いています。
特に残念に思うのは、毎試合のように相手に主導権を握られ、相手のやりたいサッカー、相手のやりたい試合展開を作られていると感じること。
「自分たちの形がないから」ということに尽きるのかもしれませんが、応急処置や小手先での修正ばかりが続いている印象です。
これではいつまでたっても成長は期待できず、なかなか次の一歩に進めないように思います。
今後の身の振り方についても、そろそろ覚悟しなければいけない時期にきているように感じます。