富澤「ロングシュートで終わるような形が多く…」

 ジェフ公式サイトより、大宮戦後の富澤のコメントです。
 試合の序盤はジェフがボールを持てていたけれども、ペナルティエリアには入れず。
 カウンターから押し込まれてやられてしまったということです。



 ジェフの攻め込んでいても、ペナルティエリアには入れない。
 だから、確率の低いロングシュートで終わってしまう。
 これは昨年関塚監督になってから、よく見られた傾向だと思います。
 サイドでは持ち込めても崩し切れなかったり、ボールを持っていてもゴール前で崩す回数は少なくて、苦し紛れのロングシュートになってしまう。


 このあたりをしっかりと指摘できるのは、富澤が今夏に加入したばかりの選手で、外からの目線でチームを見ることが出来るからなのか。
 それとも富澤の経験やリーダーシップがあってのことなのか。
 理由はともかく他の選手のコメントが「チャンスはあった」というような話をしているのに比べると、より具体的な問題点に向き合おうとしているのかなといった印象を受けます。



 ただ、富沢自身のプレーにも、課題を感じる部分はあると思います。
 大宮戦でも7分にアバウトなDFライン裏へのボールが出て、ムルジャとの競争になって処理を誤ってピンチに陥るなど、特にDFラインを押し上げた状態での裏への対応に課題があるように思います。
 それもあってここ数試合は立ち上がりはラインを押し上げているものの、徐々に攻め込まれて深く守る状況になってしまうということが多いように感じます。


 相手チームもそこを狙って、ジェフ対策としてまずはDFライン裏などにボールを蹴って、押し下げてから攻め込む…というパターンが出来つつあるように思います。
 ジェフはリトリート時の守備に課題がある状況ですし、押し込みさえすれば攻撃も怖くない。
 ジェフはそれに対して、対策も打てない状況になっているように思います。
 もっともジェフ自体もシーズン序盤よりリトリート守備の意識は高まっているわけで、本来は押し込まれて揉まれる状態というものが出来ていなければいけないはずですが。



 大宮戦の1失点目も、富澤がムルジャを捕まえきれずにやられた格好。
 横谷の前を封じるためキムが前に出て行って、キムが空けたエリアにムルジャが入ってきたわけですが、富澤の反応が遅く追い付けずにフリーで撃たれてしまいました。
 もっとも、その前に中盤の守備を交わされ、横谷にDFライン前に向かれた時点で、かなり苦しい状況だったと思いますが。


 2失点目に関しても、ジェフの守備の甘さを感じた場面でした。
 大宮による右サイドでのパスワークの中で、ムルジャポストプレーのために下がって、富澤がついていく。
 それによって空いたスペースに家長が走り込んで、崩されてしまったと。
 どちらの失点もCBが前に出て行ったエリアを、付かれてやられていることになります。



 現在のジェフはサイドへのスライドは少ないものの、マンマークの意識は高いので相手FWが下がったりサイドに流れたりすると、CBはついていく方針なのだと思います。
 しかし、それによって空いたCBのスペースを誰が埋めるのかは曖昧なままなので、大宮戦に限らずそこを取られてやれることが多い印象です。
 2失点目はスタートのポジションからすれば富澤がやられたようにも見えますが、チームとしてカバーリングの約束事が出来ていないのではないかと感じたシーンでした。


 富沢自身は試合中も良くコーチ陣とコミュニケーションを取っていますし、ピッチ上の状況が理解できている賢い選手なのではないかと思います。
 ビルドアップに関しても、やはりキムや大岩より計算できる選手と言えるでしょう。
 縦へのパスはあまり見られないですが、サイドへの大きな展開を持っているのは、関塚監督の望む部分でもあるのだろうと思います。


 特筆すべきはゴール前でのシュートブロックの多さで、相手選手のシュートへの予測と反応は素晴らしいものがあると思います。
 ゴール前を固めて凌ぐ守備を目指している状況なだけに、シュートブロック能力が高いというのは大きいのではないでしょうか。
 このあたりは、経験値の高さによるところも大きいのだろうと思います。



 ただ、裏への反応という点においては、不安も多い状況ではないかと思います。
 大宮戦後半から3バックにしたのも、その課題をカバーするためという可能性もあるのかもしれません。
 やはりボランチ化、リベロの方が、本来は合っている選手と言えるのではないかと思います。


 やはり33歳ということもあって、どうしても反転スピードなどにおいては厳しい部分も出ているのではないでしょうか。
 これは山口智や茶野など、旬を過ぎたベテラン選手を数多くとってきたジェフならば予想できたこと。
 それをまた繰り返してしまっているのは、少々残念なところもあります。



 ただ、他のCBで考えると、栗山も裏への対応には課題が大きく、ポジショニングも不安定なところがある印象で、栗山以上に不安材料は多い状況。
 大岩も現在はSBに守備的な選手を置きたいのではないかと思いますから、ポジションを変えられないのでしょう。
 中村が帰ってくれば左SBに復帰して金井が空く可能性もあるのでしょうが、現状の守備の脆さを考えると守備的な選手4枚をDFラインに並べて、跳ね返す方が現実的ではないかとも思います。
 その他に実績のあるCB候補というと田代くらいしかおらず、現状だとCBの2人はキムと富澤がベストなのだろうと思います。


 富澤も守りやすいような微調整を、富澤を中心に行っていくというのが現実的な解決策なのかもしれません。
 それによって、どこまで事態が改善できるか。
 そして、時間的に間に合うのかどうかといったところが、問題になってくるのかもしれませんね。