横浜FCの猛攻を受けるも試合終盤のゴールで勝利

 暑い夏もようやく終わって、少しずつ涼しくなってきたでしょうか。
 ただ、選手たちは意外と夏に蓄積した疲労が秋に出て、動きが重いままだったりもしますので、今後もコンディションには注目ですね。
 もっとも今年のジェフは中堅選手も若干増えたせいか、そこまでコンディションに苦労している印象はないように思いますが。
横浜FCが猛攻を仕掛ける立ち上がり
 ジェフは前節長崎戦と同じスタメン。
 ベンチには体調不良で前節欠場していた森本が復帰しました。
 代わりにパウリーニョがベンチから外れましたが、どうも怪我による離脱のようですね。


 対する横浜FCは、3-6-1のフォーメーションに変更。
 パク・テホンがスタメン復帰し、野上、中島と3バックを形成。
 永田が左、市村が右ウイングバックに。
 佐藤謙介が復帰してボランチに入り、寺田が1列前のシャドーへ。
 1トップには黒津を起用。
 横浜FCは前節栃木戦の前に3バックを練習していたという話ですから、少し前から準備はしていたのでしょう。



 試合序盤は横浜FCペース。
 横浜FCは積極的に黒津のスピードを活かしたボールを出して、ジェフのDFラインを裏へ引っ張り、2シャドーの寺田・松下を拾う形で攻撃を展開。
 7分には横浜FCがジェフのボランチエリアでパスをつないでいって、最後は黒津がミドルシュート


 続く10分にも、横浜FCのチャンス。
 後方でボールを持った佐藤謙介が、右サイド前方へロングフィード
 市村が中村をスピードで抜き去って、そのままシュートを放つも枠外。
 その後も市村へ展開するボールがありましたし、中村のところを狙っていた印象もありました。
 10分のシーンでは、佐藤に対するオナイウの対応も甘かったですね。



 ジェフはかなり厳しい立ち上がり。
 全体のラインが引くためにセカンドボールも拾えないし、相手に前を向かれてしまう。
 また、相手の1トップ2シャドーをうまくつかみきれず、横浜FCの前方3人の関係性に苦労していた印象です。
 単純に一対一の対応も良くなく、体が重そうに見える部分がありました。


 14分にも横浜FCのビックチャンス。
 中盤で佐藤謙介がボールを受けると、松下との1-2で完全にジェフDFラインを抜け出し裏を取ります。
 そのままシュートを放ちますが、これも枠外。
 佐藤謙介が最初に持ったエリアは決して低い位置ではなかったのですが、ジェフの守備陣の全体のラインが低いので誰もそこに行けない。
 オナイウが後方からチェイスに行きましたが、対応が遅れてしまいました。
 ただ、このシーンではオナイウの対応よりも、あの位置にオナイウがいかなければいけないということがそもそもの問題でしょう。



 横浜FCの攻撃が続きます。
 18分にも横浜FCがセカンドボールを拾ったところから、永田と寺田が左サイドでパス交換。
 寺田が金井をドリブルで抜き去ると、角度のないところからシュートを放つもGK高木が反応。


 20分にも横浜FCのチャンス。
 後方からのボールを左サイドで受けた松下が中央へつなぐと、黒津が抜け出す形となりシュート。
 決定的なシーンでしたが、GK高木が好反応を見せなんとか失点を逃れます。



 横浜FCが何度もチャンスを作り上げるも決めきれずにいると、さすがに試合も落ち着いていきます。
 しかし、ジェフも攻撃がなかなか作れない。
 相手は5バック気味に守る形でSBも含めたDFラインで楽にボールを持てる状況ではあったわけですが、そこからの具体的な狙いが見えてこない状況。


 23分に後方からのロングフィードペチュニクが頭で落として、オナイウが角度のないところからシュートもゴールならず。
 これがジェフのファーストシュートとなりました。
 その後も前線の選手やペチュニクが単発で攻め込む動きばかりで、そこに連携してどのようにフォローしていくかといった展開が見えない時間帯が続きます。
 前半終盤にもペチュニクが、思い切ってミドルシュートを放つも枠には飛ばず。
■試合終盤に得点を奪いジェフの勝利
 0-0のまま後半へ。
 51分には横浜FCの攻撃。
 右サイド深い位置からのスローインの流れから、一度戻すと寺田がフリーに。
 寺田は思い切ってシュートを放つも、GK高木が正面でキャッチ。


 ジェフは後半からボランチが積極的に攻撃参加するなど、前への人数をかけていきます。
 相手を押し込む時間は長くなっていきますが、流れの中での崩しは作れず。
 セットプレーからしか、攻撃が作れない状況でした。



 61分、ジェフは選手交代。
 井出に代えて谷澤を投入します。
 前半は井出とペチュニクのポジションを入れ替えていたジェフですが、この時間帯からはペチュニクがセンターで松田が右サイドに入る形に。


 押し込む時間は長くなったジェフですが、横浜FCは守ってカウンターを狙う展開。
 68分には横浜FCの攻撃。
 寺田が広く空いたジェフの中盤をドリブルで持ち込むと、健太郎が体で止めてイエローカード
 これで次節出場停止となり、パウリーニョの状態が気になる状況となりました。



 73分にはジェフのチャンス。
 金井からのロングスローのこぼれ球を健太郎が拾って、そのままミドルシュートを放つもバー直撃。
 このボールを中村が拾ってクロスを上げ、金井がヘディングでゴールを狙いますが、GK南がキャッチ。
 ジェフとしては、この試合で始めて得点の可能性を感じた攻撃だったでしょうか。


 75分、ジェフはオナイウに代えて森本を投入。
 78分には横浜FCが右サイドからCK。
 松下が蹴ったボールを黒津、野上と合わせ、最後は朴がゴールを狙いますがGK高木がキャッチ。



 80分にはジェフの攻撃。
 中盤でペチュニクが中村に展開すると、中村はマイナスのクロス。
 ペチュニクが足元で狙いますが、バウンドが変わったこともあってシュートは大きく逸れます。


 83分、横浜FCは寺田に代えて小池を投入。
 直後に小池が前線でボールを受けたところから、左サイドに繋ぐと永田は素早くクロス。
 金井にボールが当たって起動が変わったところを、うまく松下が頭で合わせますがGK高木の正面。
 この時間帯は、一進一退といった印象だったと思います。



 85分、ジェフが選手交代。
 勇人に代えて栗山を投入。
 前節のように3バックにするのかと思ったのですが、富澤を1列前に上げたようです。
 フォアリベロのような役割だったでしょうか。


 その直後にジェフの決定機。
 GK高木からのボールを受けた谷澤が相手のマークにあいながらも長い距離を持ち込んで、右サイドのペチュニクにスルーパス
 ペチュニクは素早くグラウンダーのクロスボールを入れると、森本は切り替えしてGK南をかわしますが、野上がブロックしてゴールならず。



 87分、横浜FCは黒津に代えて大久保を投入。
 しかし、その直後。
 左サイドでパクが谷澤のユニフォームを引っ張ったということで、イエローカード
 これが2枚目のイエローで退場ということになりました。


 パクとしては先にボールに行っていましたし、もったいない対応でした。
 それをみて横浜FCは、松下に代えて森本良を投入。
 中盤の選手を削って、CBを補填する形となりました。



 その後は両チーム、イージーなミスも目立ち、そのまま試合終了かと思われた94分。
 ジェフが右サイドからのCKを中村が蹴ると、松田がニアで合わせてゴール。
 中村からのピンポイントのボールでしたが、松田は完全にフリーな状況で横浜FCの集中力が切れたシーンだったのではないでしょうか。
 そのまま試合は終了し、1-0でジェフの勝利となりました。
■なんとか勝点3をものにして
 ジェフの劇的な勝利ということになりますが、試合内容でいえば引き分けでもおかしくないような展開だったと言えるのではないでしょうか。
 横浜FCとしては、最後の最後で守備の集中力を切らしてしまったこと。
 そして、何よりも前半序盤のチャンスで1点も奪えなかったことが大きかったように思います。
 ジェフとしてはアディショナルタイムが長くてよかったですね。


 こういった接戦で勝点を拾えないところが、7連敗しているクラブを象徴しているのかもしれません。
 横浜FCの7連敗はJ1時代を除くと、実に13年ぶりとのこと。
 ジェフもここ2試合先制しながらも同点に追いつかれ引き分けに終わる試合が続いていましたが、相手はさらに流れの悪い横浜FCだったということで救われた部分があったように思います。



 試合内容の方は決して良いとは言えず、ジェフは攻撃でもプレースキック頼りの感が否めず、流れの中での攻撃では横浜FCの方がチャンスを作れていたように思います。
 最終的にそのプレースキックで何とかゴリ押しして、勝てた試合といえるでしょう。
 プレースキックだけで昇格できればいいでしょうけど、そう簡単なものではないことは痛いほどわかっているはずで。
 流れの中での攻撃のさらなる改善が期待されるところだと思います。 


 また守備においても、特に試合序盤は酷かった。
 角度のないエリアからシュートを打たれることも多く「中央はやらせなかった」ともいえるかもしれませんが、実際にはサイドを狙われてやられていた印象が強く、相手の狙い通りだったと思います。
 中盤中央から崩されたシーンもありましたし、不安定な状況だったと思います。



 ジェフとしては前節も試合途中から調子を上げていきましたし、立ち上がりは無理をしない展開を狙っているのかもしれません。
 早い時間に先制点を奪っても、その後守りに入って守り切れるほどの守備が作れていないこと。
 実際の試合でも先に先制するものの失点を浴びることが多いですし、そのあたりを気にして序盤は落ち着いた展開を狙っているのでしょうか。
 谷澤の途中投入もそのあたりを狙ってのものなのかもしれません。


 ただ、それにしても立ち上がりは、いつ失点してもおかしくないような緩い守備が続いていました。
 後半からも猛攻を仕掛けられたわけでもないし、逆にカウンターで危ないシーンを作られることが何とかありました。
 長崎戦でも感じましたが、1トップ2シャドーへの対応も怪しいところがあり、シーズン終盤もこれが課題になってくる可能性があるかもしれません。



 試合内容は良くなかったですが、それでも展開としては劇的な勝利と言えるでしょうから、ジェフとしてはこれで波に乗れるかどうか。
 松田もそれまではほとんど攻撃に絡めていませんでしたが、最後はしっかりと決めてくれましたので、ラッキーボーイ的な存在になれるかどうか。
 そういった勢いの面を、今後につなげるかどうかといった試合だったと言えるのかもしれません。


 とはいえ、もともとはこの試合は、落としてはいけないカードだったはずです。
 引き分けが2つ続いてすっきりとしない流れの中で、6連敗の相手との試合。 
 ここで勝ち星を逃してはますます嫌な流れになる可能性があったわけで、そう考えると嬉しさよりも何とか勝てたことにホッとしたというような試合だったのではないでしょうか。