若いFW陣の争いでチームを活性化できるか

 前節C大阪と戦い、1-1の引き分けに終わったジェフ。
 今週末はホームで長崎と対戦します。
 C大阪戦は後半アディショナルタイムに同点弾を浴びて引き分けに終わった残念な試合展開でしたが、自動昇格のターゲットとなる2位の磐田も前節は京都相手に3-3の引き分けとなっています。


 磐田も勝点を延ばせていない状況が続いており、現在8位のジェフとの勝点差も9。
 勝点差9ということを考えれば、ジェフもこれから巻き返すチャンスは十分にあると言っていいでしょう。
 ただし、3位東京Vなども勢いを増してきており、現実的に考えるとジェフがプレーオフに回る可能性も当然ありえる状況です。


 これまでのプレーオフでの経験を踏まえて考えると、一時期の勢いだけでは昇格は難しい。
 一発勝負の対決となるからこそ、何があっても簡単にはぶれのない戦い方を攻守に確立しておくことが重要ではないかと思います。
 シーズン終盤に向けてチームとして攻守の軸を作れるかどうかが、今後の見どころとなるのではないでしょうか。



 明日対戦する長崎は現在9位。
 ここまで11勝9分8敗という成績は8位ジェフと同数で、勝点も42で並んでいます。
 両チームは得失点差の+9まで同じ成績なのですが、ジェフは総得点37、長崎が総得点29ということで、ジェフの方が順位が上ということになっています。
 そろそろ得失点差も、気になる時期になってきましたね。


 総得点では差が開いていますが、それだけ長崎は総失点が少ないということになります。
 長崎の総失点20は、首位大宮の総失点15に次いでリーグで2番目に少ない成績。
 それだけ、守備面に特徴のあるチームということが言えるでしょう。
 高木監督らしいチーム状況とも言えるのかもしれません。



 長崎は基本的に3-4-3システムで、3トップで中央を固めて相手のボールをサイドに追いやっていく。
 そして、相手がサイドにボールをつないだら、ウイングバックがマークに付きながらシャドーとボランチが囲んでいく。
 あるいはCBがマークについてウイングバックボランチが囲んでいくといった形で、サイドで複数の選手が集まってボールを奪う狙いなのではないかと思います。


 一ヶ所に複数の選手が集中する形で守ると、そこを掻い潜られたところにスペースができてしまうといったリスクが考えられます。
 しかし、サイドにボールを追いやることで、攻撃側の選択肢は少なくなる。
 さらに対面の選手がマークについた状況で、周りの選手がトライアングルを作るような形で相手を囲い込むことで、より相手の選択肢を狭めて展開させないようにしながら、ボールを追いこんでいく…というのが長崎における守備の考え方なのかもしれません。



 ただ、前節の札幌戦では、長崎が苦しむ時間帯が長かった印象です。
 札幌が立ち上がりに後方から長いボールを蹴ってきたことで、全体が押し込まれ囲い込む守備がうまくできなかった。
 立ち上がりにロングボールを蹴って、相手を押し込んでからパスをつないでいく…というのは前節のジェフにも見られた展開で、主流であるボックス守備対策として考えられているのかもしれません。


 結局、長崎対札幌戦は元ジェフGK大久保の活躍もあって、0-0の引き分けで終わっています。
 攻撃においてはここ数年の長崎らしく、1トップが前から若干降りてくる形でロングボールのターゲットとなり、後ろにすらしてシャドーを走らせるという展開が多かったように思います。
 しかし、細かなパスワークなどはなかなか作れておらず、そこが総得点の少なさに響いているようにも感じます。



 ジェフとしては、C大阪戦と同様にロングボールで相手をまず押し下げること。
 そして、問題は押し下げた後に、どう攻撃の形を作っていくのかといったところでしょうか。
 高さやフィジカル面で強い選手を前線で多く起用すれば、前線で競り勝ちやすいし圧力も増して、相手を押し込むことはできるかもしれない。


 けれども、そこからの細かな展開においては前節も課題を感じました。
 クロスからの展開もあまり作れなかったし、ボールをつないでも崩し切るところまではいかなかった。
 結局、得点が決まったのもセットプレーによるものでしたし、流れの中でどうやってチャンスを作るのかといった点は相変わらずの課題と言えると思います。


 ただ空中戦とフィジカルに強い選手を前に並べるだけでは、根本的な解決には至らないということではないでしょうか。
 特にチャンスメーカー役である谷澤と中村はあまり速い展開は得意ではなく、ボールが行きかうような展開になると周りについていけないことも珍しくない。
 高さで相手を押し込むという狙いに関しては問題ないと思いますが、そこから先をどう作っていくのかが長らくのジェフの課題となっているように思います。



 長崎は東アジアカップに参加した、韓国代表FWイ・ヨンジュと北朝鮮代表CBリ・ヨンジが復帰するのではないかと思います。
 どちらも長崎では7月途中にスタメンから外れていましたが、イ・ヨンジュはここまで5ゴールでチームのトップスコアラーとなっています。
 現在はルーキーの上形が好調なのかもしれませんが、イ・ヨンジュも能力は高い選手だと思うので起用法も含めて気になるところです。


 一方のジェフは、好調のオナイウが結果を残せるか。
 いつまでも「良いプレー」止まりではFWとしてはまずいと思いますので、得点に絡むプレーを見せてほしいところではないでしょうか。
 FWが得点に絡めないプレーが続くと迷いや悩みが生じて、せっかく勢いも止まってしまう可能性があると思います。



 そして、新加入の松田力の活躍にも期待したいところです。
 松田や安が活躍してくれれば、森本やオナイウ、井出などへの刺激にもつながっていくかもしれません。
 若い選手や新加入の選手がチーム内で刺激を与え合うような存在になれば、チームも活性化していくのではないでしょうか。


 それだけの素材はいると思うのですが、それぞれまだまだ可能性の段階といった印象。
 ここから誰がブレイクしていくのか、プロ選手として勝負ということになりますね。
 割り切ったスタイルに戻した印象のあるジェフですから、ここからチーム内を活性化してチームをスケールアップすることができるかどうかといった点は、チームとして死活問題だと思います。
 ぜひ若いアタッカー陣に頑張ってほしいところではないかと思います。




 明日から夏休みで、更新はお休みにしたいと思います。
 次の更新は、火曜日か水曜日あたりでしょうか。
 皆様、良い夏休みを!