ペチュニクがEURO2016予選イングランド戦でゴール

 スロベニア代表に選出されたペチュニクが、6月14日に行われたEURO2016予選イングランド戦でゴールを決めました。
 試合のデータはこちらなどで。
 改めてスロベニア代表チームでプレーするペチュニクを見ると、東欧などではさほど珍しくないであろう身長のあるセカンドトップタイプの選手といった印象を受けました。
 ジェフではペチュニクの起用法が定まっていない印象がありますが、代表ではきっちりタスクが決まっている印象でしたので参考になる試合だったと思います。


 ペチュニクは、イングランド戦の72分から途中出場。
 ペチュニク投入直後に、カウンターからイングランドに得点を奪われ、1-2にされましたが84分。
 スロベニアが左サイドでボールをつなぎ、ダイレクトで左サイドの選手がセンタリングを上げたところから、ペチュニクが豪快にヘディングシュートを叩き込み2-2の同点とします。


 しかし、その直後にイングランドルーニーがあっさりとゴールを決めて2-3となり、スロベニアはこの試合に敗れています。
 失点直後のゴールには、イングランドの本気を見た気もしました。
 この日はシュート数を見てもイングランドが15本に対し、スロベニアがたったの3本だったことからも分かるように、やはり地力の差ははっきりとしていたと思います。


 ちなみにスロべニアの1得点目は、名古屋のノヴァコヴィッチが決めています。
 今回は浦和のズラタンも代表選出されていましたが、残念ながら怪我で欠場。
 しかし、Jリーグから選ばれた2人が、結果を残したということになりますね。


 
 この日のペチュニクセカンドトップ的な役割を果たしていました。
 ノヴァコヴィッチがCFで前線に張り、ペチュニクノヴァコヴィッチを軸に上下に動く形。
 相手のバイタルエリアで受ける動きもしつつ、そこからゴール前に飛び出していくプレーが主となっていました。


 ゴールシーンも若干下がった位置から、前に飛び込んでいってヘディングで競り勝ったもの。
 この時に競りあった相手は、アーセナルの左SBギブスでした。
 左サイドからのクロスに対してファーで構えることで、SBと競り合う形となり高さで勝つ…という流れには、ペチュニクがジェフで初ゴールをあげた水戸戦を思い出しました。


 ただ、あの時は対面の田中が168cmでしたが、ギブスは180cmで決してそこまで空中戦に弱いわけではないでしょう。
 ジェフが福岡戦で中原にやられたパターンと似たような形で、少し外に離れたところから前に出ていくことで勢いをつけて飛び込み、スタンディングで飛んだ相手に競り勝った展開。
 ペチュニクらしい得点パターンだったように思います。



 このゴールシーンからも分かるように、基本的にペチュニクはやはり少し下がったところから前に出ていく動きが得意な選手と言えるのでしょう。
 単純な高さだけでなく、クロスボールに合わせるまでの形がうまいですね。
 この他のシーンでも中盤に下がって受けて前へといったプレーが多かったですし、中盤でシンプルにボールを触って前へといった展開が好みなのではないかとも思います。
 ただ、ジェフの時ほど広範囲に触りに行くのではなく、基本的にはセンターで上下する動きが目立っていました。


 スロベニア代表チームではノヴァコヴィッチがセンターにドンと構えるため、ペチュニクの上下の動きを掴みにくくなり攻撃で効いていたというところが大きいように思います。
 現在のジェフの場合は空中戦での第一ターゲットがペチュニクになりがちで、シャドーストライカー的な役割にはなりにくい。
 その結果、空中戦のポストプレーもクロスへの第一ターゲットも裏狙いも足元でのチャンスメイクも…とペチュニクが数多くの仕事をこなさなければいけない状況になっているように思います。



 サイドに流れる動きに関しては、ペチュニクの判断という部分もあるのかもしれませんが、福岡戦でも森本がサイドに流れていました。
 関塚監督は就任時からFWがサイドに流れる動きを積極的にやっているだけに、ペチュニクに関してもその指示に従っているだけなのかもしれません。
 FWがサイドに流れることによって、サイドに起点を作りたいという意図を感じます。 
 しかし、それによってFWの負担が大きくなっているし、FWがサイドに流れることで中央が薄くなることも少なくないように思います。


 特にゴール前でのラストプレーに関して、よりFWのタスクを明確にするべきではないかと思います。
 現状だとFWが仕掛ける形も明確に作れていないし、他の選手との関係性もはっきりしていないところがあるのではないでしょうか。
 ゴール前のタスク管理が、ぼやけているように感じてしまいます。
 スロベニア代表はシンプルではありますが、ノヴァコヴィッチを軸にペチュニクが上下動するという攻撃の形が見られましたし、ジェフもそういったある程度の型をチームとして持ちたいところです。



 EURO2016予選はグループを9つに分け、グループの上位2チームと、3位のうち最も成績の良いチームが本戦出場となります。
 その後、残りのグループ3位チームがプレーオフを行い、残り4枠を争うことになります。
 グループEに入ったスロベニアは、現在6試合を経過し3位。
 イングランドが勝点18で首位、2位スイスが勝点12、勝点9でスロベニアがそれを追う形となっています。


 次は2位スイスとアウェイでの対戦ということで、スロベニアにとって非常に重要な試合となります。
 加えて、その直後には勝点2差でスロベニアを追う、4位エストニアとの試合が控えている状況です。
 スイス戦は9月5日、エストニア戦は9月8日に開催予定。


 今回結果を残したことを考えれば、ペチュニクは次も招集されるのではないでしょうか。
 欧州との往復ですから日本代表などに選出されるより大変な状況ではないかと思いますが、本戦出場のチャンスも十分ある状況ですし代表での活躍も期待したいところです。
 ジェフとしては嬉しい悩みとなると思いますが、ペチュニクの代表選出は予め予想できていたところがあるはずですし、ペチュニク不在の状況でもしっかり戦えるチームを作りたいところだと思います。