北九州戦に向けて攻撃のバリエーションは

 ホーム2連戦となるジェフは、今週末北九州と対戦。
 北九州は基本的に、昨年からのサッカーを継続している印象です。
 金沢同様にボックスディフェンスをベースするチームですね。


 金沢と同じボックスディフェンスではありますが、ボックスの形に関しては異なるところがあるように思います。
 金沢はスタートのポジションに戻ってから1人がボールホルダーに出ていくと近くの選手が後方の穴を埋める形で、ボックス内の侵入を許さない守備組織。
 前に出る動きとサポートの動きによって、守備に縦の深みがある印象でした。
 北九州の守備組織は、DFラインもMFラインも横のラインを大事にしたポジショニングで、相手を待ち構えるシステム。
 ラインを重視する守り方することによってより全体をコンパクトにして、複数の選手がボールホルダーを囲んでいこうという狙いなのではないでしょうか。



 しかし、今シーズンの北九州は、そのコンパクトな守備が作り切れていない部分がある印象を受けます。
 前からのプレスがはまりきらないことが多く、パスコースが増えてしまい、ボックスを揺さぶられて、後方のラインも下がってしまう…。
 また一対一の守備にも課題があり、セットプレーなどのマークのずれも気になります。


 ここまで北九州は総失点数22で、J2で19番目の成績。
 順位も現在15位となかなか上げられず苦しんでいるのは、このあたりに要因があるのかもしれません。
 現在もリーグ戦で3連敗となっています。



 攻撃においては昨年からショートパスでカウンターを狙う、いわゆるコレクティブカウンターが印象的だったと思います。
 その延長線上的な形で、今季は遅攻でもパスをつないで相手チームを崩す攻撃を狙っているのではないでしょうか。
 FWのポストプレーを交えながら、中盤の選手も含めて、テンポよくパスをつないで、チャンスを作っていく印象です。


 あくまでも結果的にではあると思うのですが、昨年よりも攻撃寄りのチームといったイメージになりつつあるのでしょうか。
 そうなってくるとジェフとすれば、どちらかといえば戦いやすい相手となるのかもしれませんね。
 もちろん特別な対策を練ってくるかもしれませんし、ジェフ戦では守備的に戦ってくる可能性は十部にあるでしょうが。



 ジェフとしては金沢戦でも課題を感じたように、攻撃の形をいかに作り上げるかが注目の1つとなるのではないでしょうか。
 攻撃のバリエーションに関しての課題が感じられ、ゴールデンウィークでも様々な形を模索し、前節金沢戦でもまた新たなメンバーでの戦いを試しています。
 柔軟に戦っているというよりは、2列目から前の形において明確な答えがまだ見つかっていない…といった印象を受けます。


 そんな中で前々節の讃岐戦では町田をトップ下から外して、森本とオナイウの2トップにし右SHにクロッサーの水野を起用。
 前節金沢戦でもペチュニクとオナイウの2トップとして、右SHにはサイドでアップダウンで来てゴール前に飛び出せる金井を1列前に上げました。
 この流れからすると町田を起用してトップ下の位置からかき回す形は一端諦めて、再びサイド攻撃を重視する方向に進んでいるようにも感じます。


 サイドからの攻撃を推し進めていくということであれば、左からだけでなく右からもクロスからもチャンスを作ることができる形を狙っていくのか。
 また、より左サイドからのクロスの質を高めていくのか。
 単純なクロスの質、ゴール前の動きだけでなく、クロスを上げるまでの形、相手守備への揺さぶりなども期待したいところではないかと思います。



 ペチュニクが好調であれば、中央でもある程度1人で変化を作れるところがあることがわかりましたが、今後夏に向けてはコンディションも心配な部分があります。
 最終的なチャンスメイクは中村に頼りがちな部分も気になりますし、もっと攻撃の幅を広げていくことが今後の課題となるのでしょう。
 そのあたりの変化が北九州戦で見られるかどうか。
 そして、ゴールデンウィークから頻繁に変わっている2列目から前の形が、固められるかどうかが注目ですね。


 もちろん必ずしもカッチリとメンバーなどを固める必要はないと言えるでしょうが、チームとしていかに狙いを持った戦い方ができるかどうかを追及していけるかどうかといった点は気になるところははず。
 前節の対戦相手である金沢はそこに優れたチームだったと思いますし、ジェフもシーズンが進むにつれてチームとしての練度を上げられるかどうかは極めて重要ではないかと思います。
 今季はスタートから完成度の高かったジェフですが、そこから更なる進歩を遂げられるかどうかに注目ですね。