ペチュニク、FWに移って2試合連続ゴール

 C大阪戦からFWに移ったペチュニクが京都戦でもゴールを決め、2試合連続のゴールを記録したことになります。
 これでペチュニクはトータルでも4ゴールとなり、チーム内でもトップスコアラー、J2でも3位タイの成績となっています。
 ちなみに、ジェフでは2ゴールの金井が2番目の成績で、以下は1ゴールといった結果となっていますので、ペチュニクが得点という結果においては1つ抜けた存在になっていることになります。



 以前にも言いましたが、ヘディングで合わせるのが非常にうまい選手ですね。
 189cmと長身であるため無理に飛ばなくていいといったところもあるのでしょうが、ジャンプして頭を振っても体の中心があまりぶれずにボールに合わせることができる印象です。
 そのため、ボールを正確にミートできているように思います。
 日本人でもジャンプ力があって空中戦での競り合いに強い選手は増えてきたものの、正確にヘディングで合わせてシュートをコントロールできる選手というのはあまりいないのではないでしょうが。
 ヘディングでの技術力の高さを感じる選手ではないかと思います。


 加えてクロスへの入り方もうまい選手だと思います。
 決して足の速い選手というわけではないでしょうが、長身選手にありがちな野暮ったさがあるわけではない。
 ゴール前でスッとクロス方向に動き出せる選手だと思いますし、京都戦でも対面の山口智を見事にかわしています。
 特に右寄りの位置からゴール前に飛び込む形が得意で、得点源である中村との相性もいいかもしれませんね。



 また、C大阪戦では足元でのシュートも決めています。
 トラップして前にボールを運ぼうとするときにボールが伸びて相手に奪われるシーンがあるなど、決して細かな技術が飛びぬけてうまいわけではないのでしょう。
 しかし、足が長く筋力もあるため、抑えたシュートを打てることができる。


 そして、非常に状況判断能力の高い選手だとも感じます。
 C大阪戦でも相手のマークが緩んだ一瞬の好きを逃さなかった上に、GKのポジションも正確に見ることができていた。
 あの日のC大阪キム・ジンヒョン韓国代表に選出されていたため不在で丹野が出場していたわけですが、あのシーンでも反応が遅れるなどまずい対応が多かったと思います。
 それが大量得点にもつながったと思うわけですが、そこをペチュニクはしっかりと見ていたことになると思います。


 目立ったプレーができるわけではないのかもしれませんが、そういった状況判断の良さが目立つ選手だと思います。
 相手がいる状況で発揮する、いわゆる"オープンスキル"に長けた選手といえるのではないでしょうか。
 これも日本人選手が苦手とする部分と言われているところですね。



 ヘディングでの技術力とオープンスキルのレベルの高さ。
 それによって、これまで4ゴールの結果を残しているのだと思います。
 よりゴールに近いFWで起用されたことによって、さらにそれらの能力をゴールに直結することができつつあるのかなと感じる2試合でした。


 右SHでもビルドアップ能力は高い選手だったと思います。
 正確にパスワークに絡んで繋ぐことができる選手で、守備でも貢献でき、そこから飛び出すこともできる。
 ただ、今季のジェフは、そこまでつないで崩すといったことを重視していないこと。
 そして、森本の得点能力に課題があることなどもあって、ペチュニクを最前線に上げることになったのではないでしょうか。



 しかし、一方で守備に関しては課題が見られているように思います。
 ペチュニクが前線に起用されてから、それまで見られなかった相手ボランチへのマークが空いてしまう問題が2試合連続で見られました。
 C大阪戦ではそこからフォルランの1点目に結びついてしまいましたし、京都戦の5分にもボランチから縦パスを通され最後は宮吉のシュートにまで持ち込まれました。
 

 宮吉のシュートシーンでは、キム・ナミルが相手前を向いたことによりパウリーニョが前に出ていきましたが間に合わず、ロビーニョのポストからチャンスを作られてしまいました。
 ようするに今季の守備の要であるパウリーニョを上下に揺さぶられ、前に釣り出された結果、バイタルエリアを攻略されたということになります。
 今季これまで堅守を保てていたのも、パウリーニョが1人でバイタルエリアを潰してくれていたことが大きかったと思うわけですが、ここで初めてバイタルエリアを崩されたことになるように思います。



 昨年も関塚監督が就任してから、中盤の低い位置のマークが空くことが非常に目立っていました。
 ボランチがCB前を固める意向になったためというのが大きいと思うのですが、そこを昨年終盤は町田、幸野といった走力で埋めたことになります。
 そして、今年はそれを森本と井出が担当している状況だったのかもしれません。
 しかし、森本、ペチュニクの2トップになたっため、相手ボランチが空くようになったと。
 ペチュニクはスタミナもフィジカルもある選手で真面目に守備をこなす選手でもありますが、守備エリアが広いわけではないし走力で穴を埋められるタイプではないでしょう。


 逆にいうと森本は得点面では期待できませんが、守備面での貢献は非常に重要な存在になっているように思います。
 昨年の第2節、第3節でスタメン起用された時も、守備面では大きく貢献していました。
 しかし、得点は奪えなかった。
 現在の森本はその時と同じ状況にあるのでしょうね。



 また、井出はサイドでも守備では貢献していますが、攻撃面ではトップ下でのプレーと同様にうまく絡めていない印象です。
 今季はフィジカル重視で戦うチームになったため、チームとして井出を活かしきれていない印象があります。
 途中交代の田中の方が活躍したのも、今のチームの方向性にあっているからといった面が大きいのではないでしょうか。


 フィジカル系のチームの中でも、井出のように技術とスピードがある選手も絡ませていきたいところではないかと思います。
 しかし、今年のチームは極端にフィジカル方向に進んだチームといった印象があるだけに、そう簡単ではないのかもしれません。
 少なくとも現状だと森本と共に守備で頑張ってもらうというのが、井出への期待という形になっているのかもしれませんね。