強さをもたらすパウリーニョの存在

 先週に引き続き、2月22日に行われた山形戦で感じたことなどを。
 だらだらと続けることになってしまいますが、練習試合とはいえ今年初とも言える本気モードでの対戦だったのではないかと思いますので、気になるポイントはたくさんあったと思います。
 1試合だけでははっきりしない部分もあるとは思いますが、それも含めてファーストインプレッションというのは大事なのではないかと思います。
 そこからどう変化、強化していくかですね。



 今年の注目選手の1人となっている、新加入でキャプテンのパウリーニョ
 私も含め長年待望する意見は多かったであろう、"強さ"のあるボランチの加入ということになりますね。
 山形戦でも、攻守に可能性を見せてくれたと思います。


 振り返ってみれば、本当に久しぶりに"強い"ボランチの選手が加入したことになります。
 J2に降格した年に勇人、慶が加入し12年には健太郎、兵働が加わったわけですが、基本的に4人とも対人プレーに強いタイプではなく、バランス感覚やテクニックで勝負する選手たちだと思います。
 ここ数年は、この4人が中心になってボランチを形成してきたことになります。
 J2降格初年度には工藤がいましたが工藤も小柄な選手ですし、翌年のゲッセルはサイズこそあったものの球際に強い選手ではありませんでした。
 


 改めてパウリーニョが加わって感じたのは、ボランチに潰せる選手がいるとすごく"楽"だなぁということ。
 前からのプレスのルーズで縦にボールを出されても、ガツンとそこで止めてくれる。
 あるいは、味方CBと相手選手がマッチアップしている状況でも、プレスバックして相手の攻撃の芽を摘むことができる。
 ロングボールに対しての競り合いも期待できそうで、DFライン前でのスクリーンプレーによってCBを助けてくれそうですね。


 ジェフで強さのあるボランチとなると、下村以来なのでしょうか。
 久しぶりすぎて、この「ボランチの位置で潰してもらえる感覚」というものを、すっかり忘れていました。
 プレスに関してもCBの能力に関しても不安要素が大きかった今季のジェフですから、結果的にそれらをサポートできそうなパウリーニョの存在というは非常に大きいものになりそうです。


 ジェフはここ数年テクニカルなベテラン選手中心の補強を行っていたため、なかなかフィジカルに優れた選手というのが少ない傾向にあったと思います。
 そのためボランチ以外のポジションでもフィジカルに優れた選手は少なかったわけで、全体のバランスに問題があったといえたと思います。
 一昨年ジェフに加入してそこから急成長を遂げたキムも重要な存在になっていますが、パウリーニョも同様のことが言えるようになってくるのかもしれません。
 パウリーニョ、キムあたりは今シーズン、替えの利かない存在になりそうですね。



 また守備だけでなく攻撃においても強さを発揮したパウリーニョは、山形戦だけでも3本の強力なミドルシュートを放っていました。
 よく「積極的にシュートを」という意見は出ますが、実際にはミドルシュートの得意な選手は少なく、ミドルシュートを放っても効果的に作用するケースというのは少なかったように思います。
 しかし、パワーのあるパウリーニョなら、効果的なミドルシュートを放てる可能性も高まるのではないでしょうか。


 やはり基本的な「ガツンとボールを奪って前へ」というスタイルだと思います。
 どことなく谷口を思い出させる印象もあり、関塚監督にとっては必要な戦力だったのかもしれませんね。
 その前への前進力を考えると、やはり後半の健太郎とのコンビの方が可能性を感じました。


 前半の勇人とのコンビだとパウリーニョがバランスを取っていたことの方が多いですが、それではパウリーニョの良さも薄れてしまうように思います。
 また、勇人は前に出ても攻撃のアクセント作りという意味で物足りない面がありますし、結果的にパウリーニョが攻撃に絡んだ時の良さを際立たせてしまったようにも感じました。
 しかし、守備を重視するのであれば、パウリーニョには後方でプレーしてほしいということになる場合もあるのかもしれません。



 川崎でSHとしてプレー経験があるのも、その前への強さを生かそうという狙いがあったのでしょう。
 逆に課題としては、プレスがかかった時のビルドアップ時の捌き方でしょうか。
 前半は山形のプレスが厳しくパウリーニョがボールを触ってもなかなか良い形でパスワークを展開できなかったですし、そこが川崎で評価されなかった要因なのかもしれません。


 また、個人的にはどうなのかなと思っていた、後方でのスペースの消し方などに関してですが、山形戦ではしっかり守れていたようにも思います。
 しかし、何度かディエゴにボランチ付近からミドルシュートを放たれていましたし、そのあたりは連携も含めて課題があるのかもしれません。
 このあたりはも少し見ていきたいところではないでしょうか。



 上記2つの問題もあり山形戦でのパウリーニョが飛びぬけて活躍していたかというと、そこまでではなかったかもしれません。
 ポテンシャルを考えれば、もっと期待してもよい選手ではないかとも感じましたし。
 とはいえ、ここ数年ジェフから欠落していたボランチでのフィジカル要素を補える貴重な存在である可能性は十分見せてくれましたし、シーズン開幕後のさらなる活躍を期待したいところです。