小林可夢偉、スーパーフォーミュラ参戦決定

 1月30日に行われたトヨタモータースポーツ体制発表会において、小林可夢偉のスーパーフォーミュラ参戦が発表となりました。
 名門チームルマンからのエントリーとなります。
 可夢偉は昨年末スーパーフォーミュラの合同テストに参加しトップタイムを記録しましたが、それ以来は国内での交渉の話もなく海外に向かっていることも明らかになっていました。
 そのため発表があるのならこのトヨタの発表会であるだろうとは思われていましたが、このまま海外のシート探しに専念するのではという見方もありました。


 実際、発表会当日に可夢偉の姿はなく、ギリギリまで他の可能性を探っていた可能性もあるのかもしれません。
 ただ、フォース・インディアからは多額の持参金があればテストドライバーとして乗せてあげるという話もあったようですが、それも断ったようですし早い段階でF1残留の芽は途絶えていたのではないでしょうか。
 他カテゴリーからもいいオファーはなく、国内復帰ということになったのかもしれません。
 もっともそこまで国内でのレース経験はないわけですが。



 可夢偉の経歴の話になると、昨年ケータハムで良かったのか?という話題が良く出ますが、フェラーリAFコルセから参戦したWECも本人としてはあまり面白く感じなかったようですし、F1にこだわるとすればあそこしかなかったのでしょう。
 現実問題としてスーパーフォーミュラ参戦は比較的容易と考えていたところもあったのかもしれませんし、可能性は低くてもF1にチャレンジするとすればあの選択肢しかなかったのかもしれません。
 それ以前の経緯を考えると、惜しむべくは2012年のザウバーセルジオ・ペレスにポイントで上回れてしまったことでしょうか。
 佐藤琢磨BARホンダ時代の最終年に、もう少し安定したパフォーマンスを見せていればという思いがありましたが。
 もっとも可夢偉の場合、実際にはペレスとの差は6ポイントと僅差であり、欧州メディアにも概ね高く評価されていたようですが…。


 これでF1復帰はかなり厳しくなったと考えるべきでしょう。
 個人的には日本人F1ドライバーの中でもトップクラスの能力のあるドライバーだと思っていただけに、大きな結果を残せなかったことは非常に残念です。
 無論F1がモータースポーツの全てとはいえないでしょうが、本人はそこを目指していたのでしょうし、トップカテゴリーの1つであることは間違いないはずです。
 ホンダ、トヨタが一時期F1から離れていたこともあって、以前に比べるとF1を目指す日本人ドライバー育成への力が弱まっているように思いますし、今後可夢偉程のドライバーが出てくるまでにはまた時間をかけなければいけないかもしれません。



 残念な思いもありますが、一方でスーパーフォーミュラでどれだけ可夢偉が戦えるのかという点は楽しみな部分もあります。
 全日本F3000時代から振り返ると、これまで多くのF1ドライバーを輩出してきたスーパーフォーミュラですが、逆にF1復帰組が大きな結果を残してきた歴史もあります。
 2000年はF1シートを失った高木虎之介が圧倒的な速さでチャンピオンに輝きましたし、近年でも中嶋一貴が2012年、2014年のチャンピオンになっています。


 また可夢偉が非常に気にしていた、スーパーフォーミュラの観客の少なさ、盛り上がりという点でも可夢偉復帰でどれだけの効果があるのかどうか。
 同じTDP出身の同期である中嶋一貴との戦いも注目ですし、昨年は苦しいレースが多かった分、今季は良いレースが出来るといいですね。