2014シーズンを振り返る 町田也真人編
2013シーズン終盤にトップ下のポジションでレギュラーを獲得し、チームの中心としてプレー。
その流れから2014シーズンも開幕前から高い期待をされていました。
開幕戦こそ怪我のため出場できなかったものの、第2節岡山戦からスタメン出場を果たします。
しかし、本人も課題と話していたラストパスやシュートの面で成果を出せず、攻撃のアクセントになりきれませんでした。
シーズン序盤はチーム全体の問題もあったとはいえ、チームの軸として期待されていた選手だっただけに、町田が活躍しきれなかったことはチームへの影響も大きかったと思います。
ジェフは5月からトップ下に町田に変えて大塚を起用。
大塚は運動量や守備力に関しては町田に及ばないものの、スルーパスなどチャンスメイクのセンスは高い選手だったわけで、町田に足りなかった部分を期待されての起用だったのでしょう。
町田も途中出場からの出番はありましたが、出場時間は減少していってしまいました。
関塚監督が就任してからも状況は変わらず、一時はベンチ入りのメンバーからも外れていました。
しかし、8月31日の第29節水戸戦から途中出場の機会が増えていくと、9月20日の第32節岐阜戦で久しぶりのスタメン出場を果たします。
そして、そのままトップ下のレギュラーポジションに定着し、J1昇格プレーオフ決勝までスタメンの座を維持し続けました。
運動量豊富に動き回れて、守備にもパスワークにも貢献。
しかし、やはりシーズン終盤もラストパスやシュート、仕掛けの質には物足りなさが残り、チームにとっても悩みの1つとなっていた印象です。
プレーオフ決勝でもカウンターで相手選手と1対1になったものの、中央に合わせようとしたボールは相手選手に当たって、チャンスを作りきれなかったシーンがありました。
2014年のジェフはトップ下において、シーズン序盤とシーズン終盤に同様の問題を抱えてしまったことになります。
結局、町田は2014シーズンもリーグ戦27試合に出場しゴールなし。
プロ入り3年間の通算成績でも、リーグ戦43試合に出場しノーゴール。
昨年ようやく天皇杯4回戦長崎戦で公式戦ゴールを記録しましたが、トップ下というポジションを考えると寂しい数字といえると思います。
ただ、その課題がわかっていても、関塚監督はスタメンで起用し続けていたことになります。
それだけシーズン終盤においての町田は、チームにとって重要な存在になっていたのだと思います。
まず守備においては運動量豊富に走り回れて、広範囲にチェックに行けることが出来る。
DFラインが深く守りがちなチームにおいて前線で追い掛け回せる選手は重要で、森本もそういったタイプではないですから、町田のチェイシング能力が必要と判断されたのではないでしょうか。
またパスワークの構築においても大事な存在で、町田が起用されるまでは細かくパスをつなぐことがなかなか出来ていなかった印象ですが、町田がトップ下の位置で動き回りうまく相手の間で受ける、あるいはサイドに流れてサポートすることによって、チームはショートパスをつなげるようになっていった印象です。
町田が途中退場するとパスをつなげなく試合も少なくなかったですし、パスワークにおけるリンクマンとして欠かせない選手になっていたのではないかと思います。
ロンドン五輪チームでいうと、東のような存在だったのではないでしょうか。
言わば攻守における"水を運ぶ選手"ということに、なるのではないでしょうか。
そういったタスクにおいては町田は優秀な選手だと思います。
個人的にはあまり最後のプレーにこだわらなくていいのでは、ボランチでパスをつなぐ役割というのもありなのでは…と2014年開幕前に話していましたが、それも周りをサポートするプレーに専念したほうが良さが出るのではと感じていたからです。
しかし、シーズン終盤のジェフはピッチ上に"水を運ぶ選手"が多すぎたように思いますし、そういった選手たちがバランスを取らなければいけない状況になっていたのだと思います。
山口慶、勇人、幸野なども黒子に回るタイプの選手であり、健太郎もゴール前で結果を残すようなタイプではない。
ゴール前で"違い"を見せられる選手が極端に少なくなっていた状況だったために、町田のラストプレーの課題もより目立ってしまった部分があったのではないかと思います。
実際、幸野や勇人なども得点力などにおいてはもう1つといった印象がありましたし、慶や健太郎もポジション柄とは言えここ数年ゴールからは遠ざかっていました。
町田というリンクマンが攻守にバランスを支えていた部分が大きいと感じていただけに、トップ下としてペチュニクが上手く機能するのかどうかというのは若干の不安もあるように思います。
もちろんペチュニクがどういった選手なのか細かな部分に関してはまだ分かりませんが、細かく動き回って周りをサポートするプレーは日本人選手の秀でた能力といえるのでしょう。
ペチュニクには町田の課題であったラストプレーの部分を期待されているのでしょうが、幸野が抜けて水野が加入した右サイドと含めて、全体のバランスの中でうまくフィットするのかどうかという疑問はあるように思います。
あるいは、関塚監督が就任してから町田や幸野、勇人などがレギュラーポジションに収まる前の、よりカウンター色の高いサッカーを再び目指そうという意図なのか。
シーズン後半のジェフは相手にカウンターを警戒され後方のスペースを消されたこともあって、カウンターからパスをつなぐ方向にシフトしていったのかなと思う部分もあるわけですが、果たして…。
ともかく町田としてはチームの状況云々はともかくとしても、ラストプレーの質を高めることが重要であることには間違いないのでしょう。
その壁を超えられるかどうかが、今後の町田のサッカー人生においても大きなカギとなっていきそうですね。