2014シーズンを振り返る 田代真一編
横浜FMから完全移籍で加入となった田代ですが、天皇杯こそ4試合にスタメン出場したものの、リーグ戦では途中出場の3試合のみで終わっています。
6月28日に行われた第20節松本戦以来リーグ戦での出場はなく、残念ながら期待ほどの活躍はできなかったということになるのではないでしょうか。
松本戦は斉藤監督代行が指揮を執った試合であり、齋藤TD自身が獲得してきた選手を起用したことになるはずですね。
率直に言ってしまうと、ボランチとしては佐藤健太郎とのポジション争いに敗れてしまったということになると思います。
確かに足元の技術は非凡なものを感じましたが、健太郎の細かなパスの散らしやサポートへの入り方に比べると、健太郎ほどはビルドアップの面で貢献できなかった。
技術の問題というよりは技術の使い方の問題ということになるのではないかと思いますし、ポテンシャルでは劣っていないのかもしれません。
連携面や経験の差ともいえるのかもしれませんが、いずれにせよビルドアップのポイントになれる健太郎に比べると、パスの繋ぎの部分で効果的な動きが出来なかったということではないかと思います。
また、守備面においても、本来はCBということもあって期待されていた球際の強さや相手ボールを跳ね返すプレーにおいて、強いアピールができなかったということではないでしょうか。
ここ最近のサッカー界では総合的な"強さ"がクローズアップされることが多いように思いますが、その点において大きな違いは出せなかったということになるのではないかと思います。
どちらかと言えばスマートにプレーするタイプの選手だと感じるので、もともとそこまで"強さ"において特徴のある選手ではなかったということなのかもしれません。
ボランチとしては前に出て行って後ろのスペースの穴を空けてしまう場面もあるなど、ポジショニングなどにおいて課題も見られたように思います。
これもボランチでの経験不足が大きいのかもしれませんが、守備をベースとしてパスを出せるボランチとして期待されていたであろう選手なだけに、その問題は大きかったように感じます。
そして、何よりもプレー面では、スタミナ面での課題が感じられてしまった。
天皇杯での4試合はいずれもスタメン出場となったわけですが、その4試合でフル出場できたのは準々決勝のC大阪戦の1試合のみ。
3回戦の柏戦では延長戦までプレーしましたが、延長戦に入って早々に交代。
足を吊っての交代も多く、プロ選手として少々残念に感じる部分もありました。
公式戦出場から遠のいていたという要因も大きいのかも知れませんが、ボランチやCBは出来る限り途中交代などはせず選手を固定化したいポジションだと思いますから、スタミナに不安があるというのであれば大きなマイナスポイントになるのではないかと思います。
総じてボランチとしては決して悪い出来というわけではなかったようにも思いますが、健太郎に代わるほどの良さは出せなかったということなのかもしれません。
逆に派手さはないものの安定感のある健太郎の良さが、浮き彫りになったシーズンともいえるのかなと思います。
それでもクラブとしては、健太郎をある種の指標としてさらなる守備的ボランチを補強したいという思いがあったのではないかと思うのですが…。
ボランチとしては健太郎を上回れなかった田代ですが、天皇杯などでプレーしたCBとしては今後の可能性を感じさせてくれたのではないかと思います。
佐藤勇人も練習の段階で話していましたが、田代がDFラインに入るとラインを押し上げられることが出来る。
実際に天皇杯でも2試合CBとしてプレーしていますが、特に準々決勝C大阪戦では試合序盤から高くラインを押し上げ、自身の決めたゴールを守り抜いて勝利に貢献しました。
ラインの押し上げに関してはそれまでのチームの課題だっただけに、CBとしての田代の良さを出せた試合だったのではないでしょうか。
ただ、C大阪戦でも後半からはスタミナが切れたのか、そのラインも下がってしまったところがやはり田代の課題なのかなとも感じましたが。
スピードやラインの押し上げにおいては山口智より田代の方が期待できたと思うのですが、智はチームにおいて絶対的な存在だったためにリーグ戦でCBとして出場するのはかなり難しい状況だったと思います。
智は的確な読みや判断力で勝るだけでなく、リーダーシップや周りからの信頼・影響力という点において極めて大きな存在だったと思いますし。
その智が契約満了になったことを考えると、来季は田代もボランチとしてでなくCBとして活路を見いだせる可能性もあるのかな…と思わなくもありません。
もちろんボランチとしての可能性もまだあるかもしれませんが、現在のところボランチのメンバーはほぼ残留となりそうですし、CBとしての方がチャンスはありそうな気がします。
フィジカルの強いキムとの相性を考えても、ボールが出せてDFラインを統率できカバーリングも期待できる田代はタイプ的に適していると言えるのではないでしょうか。
できれば同タイプのライバルをもう1人獲得して、田代と智の後釜を競わせるべきではないかと思っていました。
ただ、CBに関しては鹿島DF山村獲得の報道も出ており、関塚監督のサッカーや好みを考えると多少ラインが下がり気味になったとしても、しっかりと跳ね返せるCBの方がいいのでしょうか。
そうなってくると田代とは望むタイプが違うのかもしれません。
しかし、それでも天皇杯では2度CBとして起用されたことを考えると、全くのノーチャンスというわけでもないのでしょう。
もちろん怪我人などもいて他のCB候補が少なかったこともあったのでしょうが、智、竹内といったベテラン選手も抜けることを考えると、今後の補強次第では前年以上にCBとしての田代に掛かる部分が大きくなる可能性があるのではないかと思います。
どのポジションにせよ、体幹の部分やスタミナなどフィジカル面全般を高めていって、総合的により"強い"選手になることが求められるのではないかと思います。
個人的な意見としてはCBとして田代を起用してよりコンパクトなサッカーを期待したいという思いもあるので、ぜひ頑張ってほしい選手の1人ということになります。
年齢的にも大岩より1つ上の26歳ということで、もっと試合に出場して活躍していかなければいけない時期にいる選手だと思いますし、新シーズンでの飛躍を期待したいですね。