2014シーズンを振り返る 大岩一貴編
2014年からジェフ伝統の背番号2をつけ、副キャプテンにも任命された大岩。
クラブ単位で相当な期待を寄せられていたことが分かります。
リーグ戦38試合出場はプロ入り以来最多。
出場時間も伸ばしましたが、内容に関しては悩ましい1年だったのではないかと思います。
シーズン序盤はキムのコンディション不良による出遅れもあって、CBのレギュラーポジションを確保。
しかし、大岩は高さもあり足元の技術もそれなりにある選手ですが、CBとしての守備に関して不安定なプレーが多い印象です。
相手選手に対してどこまで付いていくのか、どの状況では待つのかといった判断が曖昧で、ポジショ二ングが定まらないことが多い。
その結果、バタバタした対応が多く、ミスも増えてしまうことが多いように思います。
CBのポジショニングが不安定だと、守備陣全体に支障をきたしてしまう。
これがシーズン序盤、チームが波に乗り切れなかった原因の1つとなっていたように思います。
大岩のCBとしての守備の課題は、久々にCBとしてスタメン出場した11月26日に行われた天皇杯準決勝山形戦でも見られた傾向だったと思います。
以前から感じていたことではありますが、やはり大岩はタスクが限定されるSBのほうが本人にあっている印象があります。
キムの復帰もあって、5月18日の第14節札幌戦からSBにコンバート。
キムがCBに入ったことで、この試合から最終ラインが安定していった印象です。
SBとしての大岩はボールを持った時の仕掛けやクロスの精度などはもう1つではあるものの、積極的なアップダウンとタイミングの良い攻撃参加で右サイドの動きを活性化できる選手だと思います。
守備面もポジショニングなどに課題があるもののCBとしてほど大きな問題は感じず、本来の強さを発揮しやすい面があるのではないでしょうか。
右SBは前回のオフで米倉と高橋が退団し天野や竹内などが起用されるも上手くいかなかったこともあって、大岩のSB起用は当時としては良い選択のように感じました。
そこから長らくのSBのレギュラー選手としてプレーし、監督交代後も定位置を維持していました。
しかし、関塚監督に代わってからチーム全体の課題として右サイドのスペースが目立つようになり、9月14日の第31節北九州戦から山口慶にポジションを譲ることとなります。
慶は本来ボランチで広いカバーリングを売りにしている選手ですから、サイドのカバーリング能力で大岩に勝ったということになると思います。
ただ、攻撃面においては積極的な飛び出し、タイミングの良い攻撃参加において大岩の方が期待できるように感じていましたし、プレーオフ決勝では右サイドの攻撃力不足が目立ってしまっただけに、残念な思いも残してしまったところがあるように思うわけですが…。
冒頭で述べたように、クラブとして大岩には高い期待を込めていたのだと思います。
ジェフの世代交代が進まない原因の1つとして、若手選手だけでなく中堅世代が伸びてこないという点が考えられると思います。
近年でも久保、伊藤など大卒選手がジェフでは主軸になりきれず、13年にようやく育った米倉も移籍となってしまった。
それだけに大岩には未来のジェフを背負って立つ選手として、成長してほしいという思いがあったのではないでしょうか。
その後の状況から判断して、2014年初めは山口智の後継として育てようというクラブの意図もあったのではないかと思います。
そういった強化部の狙いもあって、シーズン序盤にCBとして固定起用された可能性もあるのかもしれません。
CB大岩は上手く行かなかったものの、シーズン途中からはSBとしてレギュラーに定着します。
しかし、そのSBでもポジションを失うこととなってしまいます。
結局リーグ最終戦、プレーオフ決勝など、終盤の大事な試合に大岩は出場できず、最後は歯痒さの残るシーズンになってしまったのではないでしょうか。
大塚退団の際にも話しましたが、監督が変われば起用法が変わるのも当然のこと。
本人の課題も大きいとはいえ監督を交代すればこのように出場機会を失う選手もいるし、それによってクラブの計画もまた変更せざるを得なくなってしまうということだと思います。
こういった形でジェフの選手育成が遅れを生み、なかなかベースも安定しない状況が続いているように感じます。
大岩としては、ぜひとも来期再びレギュラーポジションを奪えるように。
慶が残れば来季も苦しいシーズンになるかと思いましたが、慶が引退、智の退団もきまったことによって、大岩にとっては昨年以上に重要な年となるかもしれません。
クラブとしては若手・中堅選手を育てる為に、あえて強引に世代交代を進めた可能性もあるのではないかとも思います。
そこで大岩が存在感をしっかりと見せられるかどうか。
北爪、浦田、乾など若い選手たちも入ってくるわけですから、若手に負けず世代交代を引っ張る存在になれるよう頑張ってほしいと思います。