2014シーズンを振り返る 岡本昌弘編

 今年もチームの総括が終わったところで、選手個々を振り返るエントリーを始めていきたいと思います。
 ある程度試合に出場していた選手を対象に。
 またすでに契約満了が発表されている山口智に関しては、以前にも触れていますので、割愛ということで。



 まずはGKの岡本。
 長年ジェフの守護神として活躍する岡本は、今季もレギュラーGKとしてシーズンをスタート。
 関塚監督に監督交代後も長らくレギュラーポジションを維持していましたが、9月28日の第34節東京V戦から体調不良で戦線を離脱。
 その間代わりに出場したGK高木が活躍し、岡本は10月26日の第38節群馬戦からベンチに復帰しましたが、その後天皇杯も含めて公式戦出場はありませんでした。


 戦列を離脱した原因は仕方のない部分もあったと思うのですが、それ以前の出来も今季はあまり良くなかったように思います。
 特に大敗した4月13日の第7節湘南戦前後は、ミスも多くバタバタしていた印象があります。
 岡本は若い頃からチーム状況が悪いとそれにつられて動揺し、プレーに安定感がなくなるところがあったのですが、当時もその問題が出てしまったように思います。



 また、昨年から目立っていたと思いますが、フィードキックのミスが非常に多かった。
 加えて、守備範囲の狭さにも課題があると思います。
 シーズン終盤にゴールマウスを守った高木が、ビルドアップ能力の高さと守備範囲の広さを武器とするGKだったために、ますます岡本の課題が浮き彫りになったシーズンとなってしまいました。
 

 守備範囲に関しては2010年に指揮を執った江尻監督も、問題視していたのではないかと思います。
 江尻監督は高いラインを目指していたため守備範囲の広い櫛野をGKとして多く起用し、結果的に岡本の出場機会は前年に比べて減少してしまいました。
 ただ、それでも安定感のあるセービングが岡本のウリであり当時の櫛野はミスも多かったので、その時はあまり良いチョイスだったようには思えませんでしたが…。



 長らく第一GKとして活躍してきた岡本ですが、考えてみれば近年のジェフは2011年に大久保、2013年には碓井、2014年には高木と、それぞれ実績のある…あるいは実力の期待できるGKを獲得してきました。
 それによって岡本に刺激を与え成長を促したい、あるいは正守護神の座を争ってほしいという強化部の思いがあったのでしょうか。
 厳しく言えば、それだけ岡本のプレーにまだまだ納得していない部分があったということではないかと思います。
 今年のちばぎんカップで高木が起用されたのも、そういった意図があったのではないでしょうか。


 今年1年のサッカー界を思い返すと、GKが目立つことの多いシーズンだったのではないでしょうか。
 ブラジルW杯ではノイアーリベロのようなカバーリングとビルドアップで活躍。
 プレーだけでなくリーダーシップも発揮し、チームを最後尾からまとめ上げていたように感じます。
 J2でも山形の山岸や岐阜の川口など、ベテランのGKが活躍していた印象があります。
 技術的にうまいGKならほかにも数多くいると思うのですが、山岸や川口はチームが押し込まれ劣勢の状況でも落ち着いた態度で対応し、他選手を鼓舞することが出来ていた。



 岡本も目指すところは、そこではないでしょうか。
 岡本も来年で32歳ということで、サッカー選手としてはベテランの域に入ってくると思います。
 そういった選手が今から急に高精度のフィードを蹴られるようになるとは考えにくいと思いますし、守備範囲も大幅な改善は見込めないでしょう。


 しかし、ベテラン選手になって多くの経験を積むことによって精神的に落ち着き、後方からチームをまとめ上げるGKになることはできるかもしれない。
 GKが自信をもって安定したプレーぶりを見せられれば、他の選手にも安心感を与えられるし、チーム全体にも好影響を与えることになると思います。
 GKがベテランになっても必要とされるのは、そのあたりがあるからこそだと思います。
 現時点での岡本は、まだその域までは達せていないとも言えるのかもしれません。



 現時点でレンタルで加入している高木が、来季どこで戦うかはわかりません。
 しかし、高木が川崎復帰となっても他のGK補強は必須となるでしょうし、来季レギュラーGKの座は誰になるか現状ではわからない状況です。
 岡本も当然アピールしていかなければいけないはずですし、経験を活かしてGKに成長して行ってほしいと思います。