山口智の契約満了が発表に

契約満了選手のお知らせ(ジェフ公式サイト)


 36歳のベテラン山口智が契約満了となったことが発表になりました。
 もともと3年契約で、契約を延長しなかったということでしょう。
 智は主軸で人気もある選手なので今季スケジュール終了前に発表したということなのでしょうが、その他の選手などはどうなるんでしょうね。
 もっと多くの選手が満了になるのかと思っていましたが…。



 3年前にジェフに復帰して、DFラインの中心選手となっていた智。
 DFラインをコントロールするだけでなく、相手の予測も正確からのボール奪取もあり、ビルドアップの中心にもなれる技術のある選手でした。
 豊富な経験を活かして、チームリーダーとしての存在感もある選手だったと思います。


 しかし、一方でスピードやフィジカル面には課題もあった。
 裏へのスピードに不安があるだけでなく相手後方からのロングボールへの対応も苦手としており、ジェフ復帰1年目から智の裏や空中戦を狙われるボールが非常に多かった。
 スタミナなどにも課題があり智のプレースタイルもあって、試合が経過するにつれてラインがずるずると下がってしまうというのが、毎試合の問題になっていたように思います。
 往年のストヤノフなどもそうでしたが、智も弊害もあるタイプのDFだったと思います。



 今季の智は関塚監督が就任してから、戦いやすい状況になったのではないかと思います。
 CBがドンとゴール前に構える関塚監督のスタイルには、智のプレイスタイルには合っていたでしょう。
 しかし、その関塚監督もシーズン終盤にはラインをもっと押し上げるように指示していたようですし、あまりにも下がりすぎるラインには不満もあったのではないでしょうか。


 関塚監督になってラインが下がるようになったのは、前からのプレスが上手くはまらないこと。
 最終ラインがスライドしないためサイドの守備に穴が出来ることなど、戦術面でバランスよく守れなかった問題もあると思います。
 しかし、天皇杯で田代が智の位置で出場すると積極的にラインが押しあがっていたところを見ると、やはり智自身にも要因はあったように思います。
 勇人も田代がDFラインに入るとラインを高く維持できると話していましたし、前方やサイドだけでなくCBにも問題があったと考えるのが妥当ではないでしょうか。



 山形戦の失点も、全体のラインが下がって前への守備に行けなかったところから、CKを取られて失点。
 それまでにも関塚監督になってからDFラインとMFラインが下がりがちなことによって、その1つ前が空くという大きな問題が出来ていました。
 それでも何とかゴール前でスペースを消し弾き返す守備で対応していましたが、そのような戦い方に将来性があるのかというと大きな不安があったというのが実際のところだと思います。


 もちろんその問題は、DFラインのリーダーを変えるだけでは解決できないでしょう。
 しかし、DFラインにも問題があったこともまた事実。
 現状維持で良いのであれば、来年37歳になる大ベテランと契約を延長しても良かったのかもしれません。
 けれども、ジェフはさらに上を目指さなければいけない状況にあるし、当然どこかが変わらなければいけない。
 そのためには、何らかの代償も必要になってくるということになるでしょう。


 5年連続で昇格を逃したということは、そういうことだと私は思います。
 逆に智から考えれば、ジェフを昇格させるために復帰したはずで。
 その目標に3年連続で失敗してしまったわけですから、仕方がないと思う部分もあるのではないでしょうか。



 智の場合、若手や中堅と違うわけですし、年俸もかなりの額をもらっているはずで(G大阪の最終年で推定5000万円)。
 クラブとしてはそれによって補強がしづらくなっている部分もあるのでしょうし、経営的な観点からしても致し方のない部分があると思います。
 天皇杯のように智がクローザーで…というやり方も、戦力という観点だけからすればありえたかもしれませんが、智のような選手をクローザーとしてわかって契約するのか。
 ベンチに置いておける存在なのか。
 それは費用に伴った戦力なのか…といった現実的な目線も必要になってくるはずです。
 

 無論、現状のCBでは頼りないですから、補強なども必要になってくるかもしれません。
 しかし、智を上回る選手を獲得できるかどうかは、現段階では分からないところでしょう。
 けれども、そういったリスクがあったとしても、チャレンジして前に進まなければいけない。
 そうでなければ、いつまでたってもジェフは変われないのだと思います。



 残念なのがCBとして智が可愛がっていた大岩が、育ちきらなかったことではないでしょうか。
 天皇杯山形戦でも落ち着かないポジショニングで安定感のないプレーになっていましたし、伸び悩んだ1年だったと思います。
 それでも次の芽を出すためには、ベテラン選手を放出しなければいけない時もある。
 強引に世代交代を促す必要性もあるということだと思います。


 智との別れは残念ですが、34歳のベテランとしてジェフに復帰した時点で、早い時期にこういったことが起こることはわかりきっていたこと。
 その間ジェフは結果を残せずにいたわけですから、驚くべきことではないと思います。
 ジェフとしては智のような選手から、卒業してかなければいけない。
 それが変化への第一歩ということになるのではないでしょうか。



 ジェフは選手が退団したとしても、それでお別れではないということは、今までの経験からも分かっているはず。
 契約満了ということは次のクラブを目指すのでしょうから、良いクラブが見つかることを祈りたいと思います。
 智の復帰は退団時の状況や年齢などもあって複雑な気持ちもありましたが、戻ってきたいという気持ちは素直に嬉しいものでした。
 智とはユース時代、プロ入り直後の関係もあるわけですが、とりあえずはこの3年、ありがとうございました。