関塚監督「深いところまで行けていなかった」

残り15分くらいからケンペス選手を入れて2トップにしましたが、あのタイミングでそうした意図を教えてください。
「中盤のところで町田(也真人)もボールをよく受けて全体が押し上がっていたんですけど、やはりそのあとのアタッキングサードのところでもう一つ深いところまで行けていなかったので。」(J'sGOAL

 結局、ここですよね。
 町田を使えば、確かにある程度はパスを繋ぐことが出来る。
 町田自身はコンディションも良さそうに見えるし、運動量豊富に動き回って、うまくボールを受けることで、"パスワークの潤滑油"になることが出来る。
 実際、昨日も話した通りバイタルエリアの横を使って、サイドの大外にボールをつなぐ形までは作れていた。


 けれども、チームとしてのパスワークでそこから先の崩しまでは作れていない。
 バイタルエリア内にボールを入れて前方にスルーパスを出したり、サイドでトライアングルを素早く作って完全に抜け出す形を作ったりという形はほとんど出来ていない。
 そこが関塚監督の言う「深いところまで行けていなかった」ということなのでしょう。


 かといって、町田が入ってサイドにはボールを回せてそこからクロスを上げたとしても、中央は基本的に森本、町田のコンビということになるので、絶対的な高さがあるわけではない。
 また2人とも自力で打開できる選手ではないので、個人技で得点を狙えるわけでもない。
 ゴールをどのように狙っていくのかという意図が、なかなか感じられませんでした。



 鈴木監督の頃はパスで崩すことを追求しようとしていたので、昨年終盤のように町田でも機能してたところがあったと思います。
 スルーパスが売りの大塚などにも、同様のことが言え、理論上は起用法が成立していたと言えると思います。
 ようするに、パスで崩したいから"パスワークの潤滑油"になる町田や、"スルーパサー"の大塚をトップ下に置くんだと。
 実際の試合でも最後の質の問題はあったにせよ、トップ下の位置からスルーパスを狙ったり、組織的にトライアングルを作ってうまく抜け出す形などが作れていたと思います。


 今は監督のコメントを読んでもピッチ上のサッカーを見ても、カウンターから速い攻撃を作りたいのか、パスで崩したいのかどこか曖昧な部分を感じる。
 町田の起用も組織的に作ることができない、あるいは足りない部分である"パスワークの構築"という点を補おうという狙いを感じます。
 そのため、チームにおける積み重ねなどを感じず、パーツを取り換えただけのような選手起用に感じてしまいます。
 まぁ、セレクタータイプの監督というのは、そういったものとも言えるのかもしれませんが。


 しかし、スタメンを変えてもあくまでも足りない部分を補うだけでプラスの部分をあまり感じず、具体的にどうやって点を取るのか?どこを強みにするのか?という部分が作れていない印象で。
 「カウンターによる裏狙い」という戦術も、富樫監督が就任して間もない東京Vの方がチームとして明確に作れていたことを目の当たりにしてしまいましたし、現状だと相手のスペースがないと難しい状況を感じる部分があると思います。



 まぁ、鈴木監督に関してはそうやってコツコツとチームを積み上げていくのが、一部のファンには煩わしいと思われたのかもしれませんね。
 近年のジェフサポは、組織的にコツコツと戦うチームをあまり好まない印象もあります。
 きちっと型にはめて戦おうとすると「もっと私の選手は良いプレーができるんだ」、「組織に束縛されず自由にプレーする選手が見たいんだ」と、結果的に個人技主体の開放的なサッカーを望む傾向にあるというか。
 単純に焦って結果を急ぐ結果、そういった方向になる部分もあるのかもしれませんが。
 けれども、関塚監督が就任して個人技主体になっても成績は伸びていないように、今のクラブが集められる戦力では個人技だけでは限界があると私は思うのですけど…。


 現在のチームはケンペスや兵働を外したところからしても、組織でそういった選手たちの穴を埋めきれられなかったようにも感じます。
 確かに勇人や町田、あるいは幸野などを使うことによって、穴は減ってきた印象もあるわけですが、その結果として強みのないチームになりつつあるのかなと。
 東京V戦でもなんとなく、無難なチームといった印象を受けてしまいました。
 できる限り穴を潰しながら自分たちの強みを作っていけるかどうかが求められる部分ではないかと思うのですが、今後どのように舵を取っていくかですね…。