関塚監督、町田投入の意図は運動量とSHのサポート

関塚隆監督「相手が3バックで両サイドのウイングバックが非常に高い位置に出てきたと。そういう意味では相手の5枚に対して我々は4枚で対応しているんですけども、それにシステムを4−1−4−1にすることによって両サイドが相手のウイングバックにある程度対応できると。その時に中盤の運動量と仕事量という意味では町田のその両方の量と井出遥也、このへんの活動量で攻撃のところを、それから谷澤達也山中亮輔を前に上げる時間を作りたいと。そういうところで町田の起用を考えました」(J's GOAL

 選手交代に関して慶などの候補もいたけれど、なぜ町田だったのかという質問に対しての返答です。
 最初はちょっとピンとこなかったのですが、まず4-1-4-1でサイドをケアしたいと。
 その上で、サイドの守備はSHが担当して、インサイドハーフに運動量のある町田を入れて攻撃の形を作りたかった。
 また、井出とともに攻撃時に時間を作ることで、SHの谷澤や山中の攻撃参加をサポートしたかったということでしょうか。


 昨日も話した通り、確かに相手のウイングバックの上がりを誰が見るか明確になっていなかったため、そこでやられていた印象は強かったと思います。
 4-1-4-1にすれば単純に中盤の中央に選手が1人増えるわけですから、SHがサイドの守備に専念しやすいとはいえるでしょう。
 加えてSHが低い位置まで下がって守るとなった場合、SHが下がってばかりでは全体が押し込まれてしまいます。
 ですから、インサイドハーフの町田と井出のコンビでパスをつなぐなどして時間を作り、SHを押し上げたかったという意図だったのかもしれません。



 ただし、実際には4-1-4-1にしてからも両SHはともに低い位置まで戻って守っていた印象はほとんどなく、サイドの守備の問題は全く解決されていなかったと思います。
 時系列からすると森本に変えて山中を投入し、3ボランチ気味のフォーメーションにしたのが後半18分。
 後半24分にインサイドハーフ兵働に変えて、町田を投入しました。
 けれども、後半25分過ぎから立て続けに決定的なシュートを放たれおり、その中には相手左ウイングバックが完全にフリーになってシュートを放たれていたシーンもありました。


 そもそも、両SHを押し上げる意図だったというにしては、両SHの後方への守備意識は低かった。
 もともと谷澤にせよSH起用の山中にせよ守備の意識が強い選手ではないし、サイドの守備をケアするための4-1-4-1にしては、SHの選択がおかしいのでは…とも思ってしまいます。
 ベンチには田中などもいたわけで、他に手がなかったというわけでもないでしょう。
 どちらにせよ4-1-4-1の意図が選手に伝わっていない印象があって、そこが前提なのであれば町田の投入も当然効果的とは言えなくなる…と。


 関塚監督は早いタイミングで選手を交代し、フォーメーションを変えることも多いですけど、これまでのところ上手くいったことはほとんどない印象です。
 選手交代というのは非常にわかりやすい打開策なので、積極的な交代を好まれることが多いようですが、実際には逆効果になることも少なくない。
 水戸もオズマール鈴木隆行の投入以降、攻撃の勢いが失速した印象もありましたし、変えればいいというものではないわけですよね。
 もっとも水戸の場合は前線の選手たちに疲れも見え始めていたので、動かざるを得なかった部分もあると思いますが。



 関塚監督は相手の1トップと2シャドー、両ウイングバックによる前方の5枚に関する話をしていますが、水戸の攻撃陣は前5枚で張るような形ではなく、実際のウイングバックは良くアップダウンしていたと思います。
 現在のジェフはマンマークの意識が強いので、相手ウイングバックが低い位置でボールを受けることで、ジェフのSHが釣り出されてしまう。
 ジェフはSHが外に出ていってもスライドする意識が希薄なので、ボランチとSHの間にスペースが出来る。
 そのスペースに水戸のシャドーが下がってきてCBから縦パスを出してフリーで受け、そこから攻撃を作ることが出来るということになります。
 このあたり図にした方がわかりやすそうですが、最近は図にしてそれっぽい説明をするとそれがうまく行ったかどうかに関係なく評価される傾向があるようなので、あえてやめておきます(笑)


 ただ、山口智が「ボランチ脇にボールを入れられるようになって難しくなった」と話している原因の1つとして、考えられるでしょう。
 水戸はしっかりとパスワークを組織的にやれていたと思いますし、ジェフはそれを止められなかった。
 水戸のパスワークを見ていると約束事がはっきりとしていた印象で、逆に現在のジェフのパスワークは組織的な意図が見えてこないですね…。



 まぁ、攻撃に関してはある程度諦めて個々の能力に任せるとして、ともかく守備組織の改善…というか修復を期待するしかないのではないかなというのが、現在のチームに対する感想です。
 関塚監督就任以前のジェフは4×4で大きな穴なく守れていたわけですし、サイドへの約束事やボランチへの対応が明確ではないというは、確実に戦術的な問題ということになりますからね。
 ともかく引いて守って中央にDFがかたまり跳ね返すことで失点数は少なくなるかもしれませんけれども、押し込まれての守備で攻撃にも転じられず、ゴール前でも相手のミスに助けられている部分が非常に大きい。
 木山監督時代も同じような感じでやはり両監督は似ているな…と思うわけですが、その時は昇格できなかったわけで。
 そこから何が変えられるか、どういった違いを見せられるのかと言う話になってくるのかもしれません。