FC東京の幸野をレンタルで獲得

幸野志有人選手の加入について(ジェフ公式サイト)


 これは驚きのニュースですね。
 夏の補強はないという話も出ていただけに、全く期待していませんでした。
 その上レンタルとはいえ、幸野が獲得できるとは思ってもみなかったことです。


 開幕前から取れていれば、かなり大きな補強だったのではないかと思ってしまいます。
 実際にはFC東京の監督が変わって半年経った今だからこそ、移籍を決断したのでしょうが。
 U-21代表候補メンバーから外れたことも、本人からすれば大きかったのかもしれませんね。
 ジェフはこれでいつの間にか3人も、U-21代表候補メンバーを抱えたことになります。
 まぁ、そのうち2人はレンタル選手ということになりますが。



 Wikipediaを見ても長々と文章が書かれているのが、ファンからの期待の表れではないかと思います。
 ざっと経歴をまとめると、各年代のユース代表に選ばれてきた幸野は、JFAアカデミー一期生でアカデミー出身者初のプロ入り選手。
 16歳でFC東京と契約をしており、2010年の天皇杯ジェフ戦で公式戦デビューを果たしています。
 エリート選手と言っていい存在だと思うのですが、FC東京ボランチの宝庫だったこともあって出場機会をなかなか得られない時期が続きます。


 そこで2011年には大分に、12年途中からは町田に、13年には長崎に…とレンタル移籍を続けてきました。
 それぞれのチームでジェフのライバルとしてプレーしていたので、移籍先でのプレーは記憶に新しいところですね。
 町田には唐井さんもいたわけで、ジェフとはそこでのつながりもあるのでしょうか。
 田代とも共にプレーしていたことになります。



 若いころは長らくボランチとしてプレーしていたと思うのですが、大分では2列目のポジションで活躍。
 そして、長崎では1トップの位置でもプレーしていました。
 基本技術が非常に高いだけでなく、攻守にアプローチが早く、アグレッシブにプレーできて、フィジカルも強い。
 だから、ボランチだけでなく、2列目やFWをこなせるだけの能力の高さがあるのだろうといった印象です。


 今季長崎が苦戦している1つの理由に、幸野がFC東京に戻ってしまったことも考えられるのではないかと思います。
 うまさと強さを兼ね備えた幸野がいたからこそ、流動的な0トップのようなシステムもこなせていたのだろうと思っていましたし、器用な幸野が1トップにいたからこそチームにも柔軟性が生まれていた印象で。
 ただ、一方で長崎の頃を思い返すと、スタミナ面などにおいてはまだまだ課題もあるのかなとも。



 田代もそうでしたが、レンタルバックで出場機会を失った選手と言うのは1つの狙い目になりそうですね。
 もちろんまたFC東京に戻る可能性も十分にあるのでしょうけど、それでもこれだけの選手を新卒や完全移籍などで獲得するのは、現状ではそう簡単ではないのでしょうし。


 ジェフでは前目で使うことになるのでしょうか。
 現在のボランチは兵働役だとピッチ全体をコントロールする配給をしなければいけないですし、もう1人の健太郎役はバランスを見なければいけないので、若い選手には簡単ではない役どころだと思います。


 森本が得点を奪えないことを考えると、そこで使うのか。
 プレッシング能力も高いので、守備面の改善も期待できます。
 あるいは2列目からボールを持ち上がる役割、仕掛ける役割を任されるのか。
 井出の怪我の状態も心配ですしね。
 逆に井出や若い2列目の選手たちからすれば新たなライバルが加わったことになるのかもしれませんし、ポジションを奪われる可能性も出てくるかもしれません。
 どちらかと言えば関塚監督はFWにデンと構えてプレーさせたいタイプだと思うので、2列目で起用される可能性も十分あるのではないかと思います。



 関塚監督が好む自分で持ち込めるドリブルだとか、フィジカルを活かしたプレーができる選手ということで、FW、2列目に関わらずそういった部分を打ち出していくことになるのではないかと思います。
 一方で連携で崩すタイプの町田などは、ベンチにも入っておらず難しい状況になっています。
 大塚なども今の戦い方では苦労している印象がありますし、こうやって監督が変わると当然要求も変わって、若手選手に悩みが生じてしまうケースが出てしまうということになります。
 ベテラン選手は様々な経験からプレーの幅が広い場合も多く、それなりに対応できるケースも多いかとは思いますが…。


 とはいえ、幸野はサッカースタイルに限らず素晴らしい素材だと思いますし、良い補強ではないでしょうか。
 まずはどんな形でチームにフィットしていくのか注目ですね。