ジェフ経営情報'14前編 「広告料収入」の減少

 毎年夏の恒例となったJクラブ経営情報が公開になりました
 これまで当ブログで毎年行ってきた経営情報に関するエントリーをまとめたものは、こちらからどうぞ。


 開示項目は以前から大きく変わっていませんし、出されているデータからの傾向は既にこれ以上言えることはあまりないのではないかと思います。
 ですから、過去の情報や他の情報と照らし合わせて何が言えるかという部分が、焦点になるのではないでしょうか。


 まずはこれまで9年間の『営業収入』を、まとめたもの見てみたいと思います。

 9年分データになって、表としては横長になってしまって見辛いですね。

 こちらは11年度から一部項目が増えたので、別にまとめたものです。



 まず過去3年で振り返ってみると、『営業収入』が減少傾向にあるということが言えます。
 しかし、過去9年分のデータでいうと、10年度(表でいうところの11年1月期)に一度『営業収入』は約23億円まで落ち込んでいます。
 翌年の11年度から2年間約24億円まで持ち直しましたが、昨年は再び約23億円まで減ってしまったということになります。
 では、10年度に何があったのかというと、J2降格初年度ということになります。


 近年は各項目で減少傾向が見られますが、『営業収入』を持ち直した11年度には「広告料収入」が一気に増えたことによって、盛り返したことになります。
 11年度、12年度の「広告料収入」は16億円以上ということになるわけですが、「広告料収入」で16億以上という額はJ1の頃にもなかったこと。
 しかし、フクアリに出ている看板などを見ても数は以前より寂しくなっていますから、スポンサーの数がすべての指標ではないとはいえ、J2降格で全体的な予算が厳しくなり親会社からの補填を受けたと考えるのが妥当なところではないでしょうか。


 けれども、昨年はその「広告料収入」が過去2年に比べて1億円以上も減少しており、それが直接的に『営業収入』の減少にも響いていることになります。
 J2生活が長引いて、親会社の支援も受けにくい状況になっている可能性があるのかもしれません。
 ジェフの状況を考えれば、親会社・スポンサーなどからすれば妥当な判断と言えるのかもしれませんが…。



 もう1つ過去9年単位で見ると気になるのは「入場者料収入」。
 やはり9年度までのJ1時代に比べると、J2に降格してから4年間の「入場者料収入」は大きく落ち込んでいることがわかります。
 それでも、昨年は前年に比べて約1000万円増加。
 実際に昨年の観客動員数平均10004人で、実に3年ぶりの1万人台突破を果たしていました。
 3年ぶりですから、J2降格初年度以来ということになります。


 ジェフの平均観客動員数は、フクアリに完全移転となった06年が13393人、07年が14150人、08年が14085人、09年が14731人と、J1では平均して14000人以上の観客動員を成し遂げていました。
 しかし、J2降格初年度の10年に11689人と一気に観客が減ると、11年には9680人、12年には9281人とと1万人台を切り、大きく落ち込んでいました。
 昨年は1万人まで増加しましたが、今のところ9189人となっています。


 「今年は観客動員数で苦戦している」という話もありますが、稼ぎ時となる夏に向けて回復しています。
 実際には昨年こそ大きな増加があったものの、一昨年と考えれば大きな減少にはなっていません。
 こう考えていくと昨年はかなり頑張った方で、昨年は「G大阪効果が大きかった」という人もいましたがが、前年と比べると総観客動員数で15000人以上も違いますので(12年は合計で194893人、13人は210078人)当然1試合の観客増加だけで賄いきれる数字ではありません。
 これは昨年の経営情報を見る上でも、1つのポイントではないかと思います。



 とはいえ、長い目で見ると、総じてJ2降格の影響が大きく、『営業収入』全体で考えても「観客動員数」も「広告料収入」もジェフの収入は右肩下がりでしぼんできていると捉えるべきでしょう。