関塚サッカーから見るジャイールの必要性
関塚監督の初戦を見て改めて思うのは、やはりやりたいこと・やれることがはっきりしている監督ではないかなということ。
川崎、五輪時代も同じようなスタイルで戦っていた監督ですし、ジェフでもそうだと感じました。
よく言えば型を持っている、悪く言えば融通が利かないということになるのでしょうか。
メリットとしては、チームにその型に合った選手がいれば比較的スムーズにチーム作りが進むのだろうし、補強のポイントも掴みやすい。
一方で型にあった選手がいない・少ないチームでは苦戦する可能性が高くなるし、型から外れた選手はチャンスが遠のくかもしれない。
成功しなかった磐田ではクラブ単位での世代交代の失敗なども言われてはいますが、テクニカルなチームですし関塚監督の型には合わなかった部分もあるのではないでしょうか。
では、ジェフではうまく合うのかどうかというところが肝心となるわけで、川崎、五輪時代を中心に選手起用などを思い出して少し考えてみたいと思います。
磐田に関しては戦術もぶれていたことが多い印象で、参考にしにくいですしね。
川崎時代などはおぼろげな記憶しかないですけど、相手チームとしてのイメージはそれなりに残っています。
関塚監督は2004年に川崎の監督に就任し、一度は不整脈でチームを離れるも、2009年まで指揮を執りました。
就任当初はJクラブで主流だった3-5-2でしたが、川崎の終盤には4-4-2、4-3-3で戦っておりそれ以降五輪、磐田でも4バックを採用していますので、ジェフでも4バックメインと考えていいでしょう。
以下で関塚監督のこれまでの起用法を考えながら、当時の選手を今のジェフに強引に当てはめてみたいと思います。
我那覇、チョン・テセ、大迫、永井…森本、ケンペス
基本的にポストプレーも出来て、点も取れる典型的なCFを起用する方向で、ポストプレーも考えれば森本が第一候補、次点にケンペスとなるのでしょうか。
ジュニーニョ、大津、永井、原口、山崎…ケンペス
関塚サッカーの肝ではないかと思われるのがジュニーニョ役。左ウイングやFWでプレーしドリブル突破から得点を奪う。このポジションの得点力が重要で、今のところ得点力ではケンペスくらいしか期待できなそうな気がします。
レナチーニョ、黒津、斉藤学…田中、井出
3トップの一角やSHとしてプレー。サイドに開いて縦に仕掛けることが多く、4-4-2でもウインガーのようにプレーする役割だったと思います。
中村、ヴィトール・ジュニオール、田坂、大橋、清武、東…大塚、谷澤、町田
憲剛はボランチだけでなく2列目でもプレーしていることがあり、2列目にもパスを出す選手を起用する傾向がある印象です。
中村(ボランチ)、扇原…兵働、ナム?
川崎時代の中盤は憲剛が主導権を握っていました。ジェフだと兵働ですがもし不在の時はどうするか。ボランチ問題は開幕前からあるものですしね。
谷口、横山、山村、山口蛍…健太郎、慶、勇人、田代
谷口、憲剛のダブルボランチを軸に憲剛が2列目の場合は谷口、横山と高さのある守備的な選手を好んで起用し、五輪でも山村ボランチ起用に期待していましたが、結局蛍に行き着いた印象。ジェフでもまずは連携のできている健太郎を起用し、その後は高さのある田代やカバーリングの慶などに移行していくのでしょうか。
伊藤、酒井宏、徳永…大岩、竹内
あまり時期は長くなかったかもしれませんが、当初伊藤のSB起用は印象的でした。谷口、横山などを含めてCB周りも含めた川崎山脈で跳ね返す。ジェフのSBでは大岩、竹内がそれにあたるのではないかと。なお、その他のSBは森、村上、酒井高、比嘉など。
箕輪、寺田、菊地、濱田、鈴木、吉田…キム、山口智
3バック時は箕輪(187cm)、寺田(189cm)、伊藤(183cm)の川崎山脈が話題でDFで跳ね返し外国人FWが決めるという流れでした。
川崎では4-4-2でも4-3-3とやることは同じで、4-4-2でもSHの一方が中に入ってきてパスをだし、逆サイドのSHは開いて縦に仕掛けさせるような動きが多かったような記憶です。
長野戦のジェフと、同じような4-4-2ということになりますね。
心配なのは軸となっていた憲剛役とジュニーニョ役の層の薄さ…ですが、この2人レベルの選手を集めるのはそう簡単ではないでしょう。
特に心配なのはジュニーニョ役の方だと思います。
憲剛役は兵働がいますし、ナムも期待できるかもしれないし、勇人にも期待しているのかもしれません。
ボランチは数はいるわけですが、ジュニーニョ役は難しいと思います。
そもそもケンペスもジュニーニョタイプではないし、井出や大塚、町田なども前でプレーできる可能性はあるかもしれないけれど、得点面には不安が残る。
川崎でも五輪でもジュニーニョや大津、永井の得点力に頼った面は大きかった印象ですから、そこで取れないと難しいと思います。
一時期、五輪チームで山崎などが起用されて上手くはまらなかった時に、チーム全体が機能しなくなったほど、ジュニーニョ役に頼る部分は大きいのではないかと思います。
特にジュニーニョの場合、ドリブルで突破して自分で打開できるという面が重要だったのだと思います。
鈴木監督の場合、個人能力だけでは引いた相手から点を奪うのは難しいからパスワークで組織的に崩そうとしていたはずですが、関塚監督の場合は引いた相手には裏は取れないから表で受けてドリブルで崩せる選手が必要になってくるのではないかと思います。
そう考えると、今のジェフではどの選手も物足りないということになってしまう。
長野は相手が前に出てきたからそこまでそういった選手の必要性を感じなかったし、関塚監督仕様で戦っていた大分も守備に問題があったのであれでよかったですけど、相手が引いてくれば裏に出ていくスペースもなくなるわけで。
川崎ではCFにテセ、左にジュニーニョ、右にレナチーニョ、トップ下にヴィトール・ジュニオールなんていう凄い布陣を敷いていた記憶もある関塚監督ですが、現在はブラジル景気の上昇などもあって以前ほどJクラブが優良なブラジル人選手を簡単には補強できない難しさがある印象です。
ジェフは特に予算がないのか夏の補強はなしという話も出ているようですし(補強予算がないなら監督交代などしなければいいのに…とますます思ってしまいますが)、新たな有力外国人の補強はそう簡単ではない…。
それもあって、先日フクアリにも姿を見せていたジャイールの復帰が、考えられているのかもしれません。
タイプ的にも自らドリブルで崩せるタイプの選手。
しかも、ケンペスと併用してケンペスを控えに回せれば、テセ役ももう1人増えることになります。
そもそもFWの得点力が重要なサッカーをやろうとしているのに実績のあるFWは2人だけしかおらず、2人ともコンディション面では不安が残る選手なわけですから、どうしても早急に3人目のFWが欲しいところなのではないかと思います。
サイドでの起用もあり得るかもしれませんが、長野戦などから考えても2トップの一角もあり得るのではないでしょうか。
2トップにしてジャイールの守備の負担を極力なくし、その分周りが守備に回る…と。
長野戦でのケンペスもある程度守備を限定してやらせていた印象ですし、無理に前に追いかけることなどは減らして、その分両SHが上下動して守備面を負担すると。
SHはさらに消耗が激しくなるかもしれませんね。
あるいはスタメンで無理ならFWの一角を休ませることも考えて、スーパーサブでジャイールを…ということもありえるのかもしれません。
ただし、タイプ的にはジュニーニョに近くもあり、FWを補強できるというメリットはありますが、だからといってうまくいくかどうかはまた別問題。
鹿島でうまくいかなかったのも守備面だけでなく、連携面や判断力等に問題があったように思いますし、そこがネックとなればそもそも攻撃面でも期待薄となる。
ジェフでもボールを持ち過ぎたり、ボールを奪われ非カウンターの起点になっていた面がありますので、それによって攻撃のテンポが悪くなるなど周囲に悪影響を与えれば、例え曲面でどれだけテクニックがあって相手を交わす能力があったとしても、マイナスの方が増えるかもしれない。
当然、守備面でも周りの負担が大きくなり、その分チーム全体のバランスなどが崩れる可能性もある。
ジャイール自身のプレーだけでなく、トータルでプラス面を生み出せるかどうかが、分岐点となるはずです。
とはいえ、それでも関塚監督のサッカーの方に落とし込み、2トップにせよ3トップにせよ前線の枚数を補うという意味で、ジャイールは必要性は高いのではないかなと思います。
先ほども言ったように10年ほど前とは違ってブラジル人選手の補強も難しくなっているし、予算も大量にあるというわけではないことを考え、ジャイールを試しに戻してみると。
もちろんまだジェフ復帰が決まっているわけではないですし、先日のエルゴラによると関塚監督が見て契約を判断するということのようでしたが、その後の動向から考えてもほぼ決まりなのではないでしょうか。
今は移籍ウインドウ待ちをしているのか、発表のタイミングを計っている段階なのかなぁとも。
もともと攻撃に大きな変化を付けられるアタッカーと言うのは、鈴木監督も欲しいところでもあったと思いまあす。
だから、あれだけ穴があっても粘り強く起用していたと思うのだけれど、やはり貢献度よりも負担の方が大きかった。
それが関塚監督に代わって、再びテストすることになる…ということになるのでしょうか。
あるいは、周りの選手が多くの負担を請け負ってでもジャイールの攻撃力に期待するサッカーになるのかなぁというのが、今のところの予想ということになります。