ジェフ、町田の唐井GMを招聘か?

J2千葉は07年に千葉GMを務め、今季はJ2町田GMを務めた唐井直氏(55)を新GMとして呼び戻すことが11日、判明した。しかも町田の取締役会に島田社長がアポなしで突然現れ、譲渡を申し入れるという行動で“強奪”したという。 (スポニチ

 もうなんかすごい記事で、どこから突っ込んでいいのやら…という感じですね。
 アポなしで、取締役会に行って、強奪?
 町田にまで出向いたのにアポを取らなかった理由もいまいちよくわからないし、無礼な行動をとっているかのような内容だけどその割にはしっかりあちらの取締役会を通そうとしているわけだし、その上でこの書き方だと強奪に成功してしまっているような感じという…(笑)



 ここ数年のスポニチは、ジェフのフロントを批判するような記事が目立っています。
 それが単純にネタを盛り上げるような意図でのものなのか、ジェフ内部の問題を指摘し改善を促したいという思いからなのかがよくわからず…。
 もし後者なら、ずいぶんと要領を得ないやり方をしているなぁと感じてしまいますが。
 今はどうなっているのかはわかりませんけど、ジェフへの批判が増え始めた頃のスポニチの担当記者は、元ジェフサポだったという話もあるわけで…。


 実際、関係者とのコネもあるのでしょうし、今回の記事もそれなりに裏はとっている可能性はあると思うのですが、こんな書き方をすることによって、どこまでが本当なのかわからなくなってしまいます。
 関塚監督の交渉破断の件で、「現場の意見を尊重しないフロントと強化部の態度に不信感を抱きオファーを断った」と書いていたのもスポニチでした。
 その記事に関しては他の報道も同様の内容を書いていた上で、一番詳しく書いていたのがスポニチでしたからそれなりに正しい(といってもその記事の意図や背景は読まなければいけませんが)のではないかと思うのですが、その次にこんな記事が出てきてしまっては結果的に関塚監督の記事に関しても信用が揺らいでしまいますね…(笑)
 なんだかジェフがネタにされるだけでなく、スポニチ自身もネタになってないかい?
 報道する側としてそれでいいのかい?と思ってしまいますが。


 それとジェフの情報をリークしているルートは明らかにあるはずで、そちらの意図もどうなのか。
 情報を流して喜んでいるだけなのか、内部闘争的なものによるものなのか、問題定義をしてフロントを改めようとしているのか…。
 もともとは名門古河電工サッカー部で、多くの著名なOBも輩出し、JRと古河という親会社を持つ合弁会社として設立され…と、複雑な歴史を歩んでるジェフですから、現在ジェフに出向しているフロントだけに限らず、今でも様々な利害関係者が絡んでいる可能性もあるのかもしれません。
 実際、ここ数年のジェフのクラブ運営において、バタバタしている感があるのは事実ですが、その間に主要人物は入れ替わっているわけで、それでもうまくいかないというのはもう表には出てこない深いところに問題があるのかなとも感じてしまいます。
 リークしている人物の意図が、上記のどれであろうとも。



 そのバタバタしたクラブ運営が浮き彫りになったのが祖母井GMが抜けた後で、その祖母井GMが後任としてジェフに紹介してくれたのが唐井GMでした。
 しかし、ジェフはその唐井GMを1年で解雇に。
 この背景には単純に成績不振ももちろんですが、サポーターからの不満の声もあったのではないかと思います。
 準備段階が少なかったことも考えればGMが1年で何かをできるはずもなく、唐井GMには非常に失礼なことをしてしまったと思っています。
 ですから、今回の唐井GM招聘へ動いているのが事実なのであれば、ジェフとしては頭を下げてお願いする立場にあるはずです。
 当時とはジェフの体制も社長も違うといっても組織としては"ジェフ"であることに変わりないわけですから、クラブがこんな状況にあるからこそ礼儀はしっかりと通すべきでしょう。
 もちろん、町田に対してもですが。
 だからこそ、わざわざあちらの株式総会にまで社長が出向いて、何らかのお話をしたという可能性もあるのかもしれません。


 唐井GMの招聘に関しては個人的には賛成です。
 清水の強化部、東京VのGMなどを務めた唐井氏は2007年シーズンのGMとしてジェフに就任。
 そして、2010年から町田のGMに就任しています(現在の役職は営業統括本部長兼ファイナンシャルオフィサーとのこと)。


 町田ではそれまでの積み重ねもあったのでしょうが、1年目にJFLで3位にまで上り詰めます。
 しかし、その年にスタジアムの問題もあってJリーグ入会を逃すと、当時の相馬監督は川崎監督に就任。
 すると唐井GMは2011年、ポポヴィッチ監督を招聘。
 スタジアム問題も解決し、JFL3位でJリーグ入会を決めます。
 しかし、今度はポポヴィッチFC東京に移籍となったため、アルディレス監督を招聘。
 残念ながら1年でJFLに降格が決まり、来季監督にはすでに秋田監督が決定しています。


 唐井GMポポヴィッチ監督、アルディレス監督と2年間で、有力な監督の招聘に成功している印象です。
 ポポヴィッチ監督はオシム親子関係のルートで、アルディレス監督は東京V時代のルートということになるのでしょうか。
 当初はポポヴィッチ監督の後にアルディレス監督というのはどうなのかなぁと感じましたが、どちらもショートパスをつなぐサッカーを展開しており、思ったよりもサッカーに一貫性はあったように思います。
 両者ともJリーグで監督経験を積んでおり、日本のサッカーを十分に理解していたというのも大きかったのかもしれませんね。
 ただ、アルディレス監督は理想を追求しすぎて降格という結果になってしまったのかなという印象もなくはなく、大成功とは言い難いのかもしれませんが。



 監督に対してのコネを持っている唐井GMが来ていただければ、斎藤さんもスカウトに専念できるわけですし、良い体制が組めるのではないでしょうか。
 ただし、唐井GMは監督招聘のスペシャリストというよりは、本来は公認会計士でもあり現場でのお金も含めて総合的に管理をする…文字通りゼネラルマネージャー的な役割が適しているのかなぁとも思います。
 だからこそ、町田のようなまだ若く規模も大きくはないクラブのほうがあっているような気がしますし、ジェフが招聘するのであれば相当の決意を持ってお願いしなければならないと思います。


 そういった役割を今のジェフのフロントが、強化部のトップに任せられるのかどうか。
 これは唐井さんに限らずですが、相手を信頼して、敬意を持って、仕事を預けられる勇気があるかどうか。
 強化部のトップに責任だけを負わせるのでなく、それなりの権限を与えられるのかどうか。
 そのあたりがジェフに足りない部分なのかな…とも思わなくもありません。


 岡社長と祖母井さんの頃は、岡社長がフロント業務をやって、現場の仕事は祖母井さんにすべてを任せていたという話でした。
 そういった関係が作れなければ、誰が強化部のトップに立っても状況は変わらないのかもしれませんね。