ジェフ、関塚監督の就任が濃厚か?

今年のロンドン五輪でU―23日本代表を指揮し、ベスト4に導いた関塚隆氏(52)がJ2千葉の監督に就任することが濃厚となった。
(中略)
ジョルジーニョ監督の退任が決まった古巣・鹿島の監督就任が有力とされていたが鹿島はブラジル人監督の招へい継続を決断。そこで現実味を帯びるのが自らの出身地であり、来季のJ1復帰を目標にする千葉だ。
(中略)
関塚氏は監督就任にあたり、ロンドン五輪で一緒に戦った小倉勉コーチ(現大宮コーチ)、武藤覚コーチ、藤原寿徳GKコーチ、里内猛フィジカルコーチらスタッフの入閣を望んでいるもよう。(スポニチ

 昨日、スポニチ、報知、共同通信社などによって関塚監督のジェフ入りが伝えられました。
 記事内容が似通っていることや具体的なコーチの名前などがあげられていることなども考えると、かなり有力な情報ということになるのかなと思います。
 記事にもある通り、一昨日鹿島がブラジル人監督の継続を表明し鹿島復帰がなくなったため、関塚監督のジェフ入りが進んだ…という流れならば、時系列としても納得できるものがあります。
 もしそういった流れだったのであれば、関塚監督にとってジェフは第二候補(滑り止め?)ということになるわけですけれども、ジェフと鹿島の状況や関塚監督と鹿島との関係などを考えると、仕方のないところでしょうね。
 ぜいたくは言えないというか、そういったことも含めての交渉事だとも思いますし。


 加えてジェフは先日コーチ陣の退任を発表したばかりで、それも裏付けの1つとなるのかもしれませんね。
 木澤コーチ、志垣コーチ、芦川GKコーチが退団となるそうで、木澤コーチは元ジェフ選手でもありますし、芦川GKコーチはここ数年岡本が良いプレーを見せていましたから、残留してほしかった気持ちもありますが、木澤コーチは木山監督とともに加入された方ですし、芦川GKコーチは神戸TDとの繋がりでジェフに復帰された形でしたから、仕方がないとも言えるのかなと思います。
 それだけでなく、今回の報道を読むとと関塚監督が、コーチ陣を自分と一緒にやってきた方達と固めたいという意向もあったのかもしれません。
 里内コーチはジェフ加入となれば、ジェフレディースの元監督ですから、ジェフ復帰ということになります。



 関塚監督のサッカーに関しては、以前もお話した通り、木山監督のサッカーとは近いのではないかと思っています。
 川崎でも五輪でもプレスにはいくけれども、最終的にはCBが跳ね返すディフェンス。
 中盤に関しては司令塔を置いて(憲剛、兵働)、その選手にある程度任せるイメージで。
 そして、攻撃に関しても川崎時代は外国人を仕掛けさせるサッカーと言う印象でしたが、五輪代表にはパスをつなごうという意欲も強くなって、SBの攻撃参加も積極的でより木山監督のサッカーに近い印象を受けます。
 しかし、ボールは持ちたがるけれどもポゼッションでは崩せず、カウンターで得点を奪うという部分も含めて、木山監督と似ているのかなと思います。
 そういう意味では引き継ぎはしやすい部分があるのかもしれません。


 ただ、木山監督はカウンター時もパスをシンプルにつないでいって…という印象がありますが、関塚監督はよりドリブルで仕掛けさせるイメージなのかなぁとも思いますが。
 そこが外国人選手をあまり好まなかったように見える木山監督と、川崎時代は外国人FWのイメージが強い関塚監督との違いにも表れているのかもしれません。
 木山監督はパスなども含めてシンプルにスムーズにサッカーをやりたい意向で、関塚監督は個の能力で戦える部分は個々の選手に任せるという発想なのかもしれませんね。
 無論、それが実際にうまくピッチ上で表れているかどうかというのは、まったく別の話ですけど。



 ジェフの監督人事に関しては、以前にこのようなニュースも出ていて…。

今夏のロンドン五輪でU−23日本代表監督を務めた関塚隆氏(52)にオファーを出していたが、芳しい返事が得られていない。現大宮コーチで、オシムジャパン、第2次岡田ジャパンのコーチを歴任した小倉勉氏(46)へ就任を打診しているとみられる。(日刊

 今となってみれば関塚監督のコーチとして接触していたのかもしれませんけど、記事通り関塚監督がダメだったら小倉監督就任の可能性もあったのかなとも思います。
 しかし、もしそうなっていたら、個人的にはすごく落胆でしただろうなぁと…。


 木山監督退任を決めた時点で、クラブとしてはチームの変化かパワーアップを求めることになるはずで。
 状況が変わらなければ、木山監督続投でよかったはずですからね。
 そういった状況で、手腕は未知数だとしても、監督のとしての経験がない小倉監督を就任させては、ほとんどクラブとしての進歩がないというか、成長を感じないというか…。


 過去4,5年間の監督選定の中で思うのは、戦術的な部分もそうですけれども、何よりも監督に実績がないこと。
 その状況下で即成績を求めるというのは、毎年博打を打っているようなものであって…。
 これが数年前の北九州だとか、今期序盤の結果が出なかった横浜FCのような立場にいればギャンブルをしてもかまわないのでしょうけれども、現状のジェフはそういった立場ではないはずですし。


 監督人事の前にクラブビジョンを考えるべきではないか…という話をしましたけれど、近年のジェフは中長期のビジョンはないけれども、短期的なノルマだけはあるといった感じで。
 現状では現場に片道切符だけ渡して「ダメなら帰ってくるな」くらいの流れで、結果的に現場ばかりが責任を取っている印象ですから、そこに若く経験の少ない監督を据えるというのはかなり無理があるだろうなと思います。
 確かに小倉氏にはコーチとしての経験は十分ありますしオシム監督や祖母井さんも評価されていた方だと思いますが、監督としての手腕はまた別問題と私は思います。
 江尻監督もそうだったと思いますしね。
 例え将来的には良い監督になる素質があったとしても、今のジェフではその芽も潰しかねないように思います。



 そういった中での関塚監督というのは、失礼な言い方になりますが、"妥当なライン"なのかなと思います。
 手腕に関しては「極めて優秀である」という評価は難しいように思いますが、川崎、五輪と実績はあるわけですし、それだけでも過去の監督と比べるとプラスなのかなと。


 もちろん監督としての手腕もとても重要な部分ではあり、そこに関しては不安も残る部分だとは思いますが。
 特にベースのないジェフにおいて、そこを作れるような(育成ができるような)タイプの監督ではないように思いますので、そこがうまくいくかどうか。
 結局また短いスパンでしか考えられない、片道切符の状態が続くということなのでしょうか…。
 この辺りは諦めにも近い境地に近づいいている部分がある気もしますが(笑)


 しかし、現実問題として育成も出来て結果も出せるような優秀な監督を呼べるとは思えませんし、外国人監督の招聘も現状だと厳しいのでしょうし。
 過去3人のクゼ監督、ミラー監督、ドワイト監督も、優秀な監督だったとは言い難いものがあります。
 もちろんそれぞれに難しい立場ではあったとは思いますが、三者ともジェフや日本人に適したサッカーとは言えなかったかなと。
 外国人監督では実際にどのような手腕があって、日本人選手を使ってどのようなサッカーをするのかといったリサーチは簡単ではないと思いますし、コミュニケーションの問題も出てくる可能性がある。
 祖母井さんのような自分で優秀な外国人監督を連れてこられる人材がいれば違うでしょうけど、そうでなければ当たり外れの大きい選択になってしまうのかなと。
 ある意味で若い日本人監督と同じような、博打感覚の招聘になってしまうのかもしれません。



 関塚監督ならば実績などに関してはプラス。
 加えてネームバリューのある監督ということで、親会社やスポンサー関係でも追い風になるのかもしれませんね。
 ただし、戦術面などに関しては上記のとおり、木山監督とも同じようなサッカーであると思います。
 そうなってくると今期と同じように、ポゼッションした後の崩しに関しては不安も残るのかもしれません。


 そこで気になってくるのが、補強の部分なのかなと。
 川崎時代は外国人FWを積極的に使っていましたし、五輪時代も若干スタイルは変わりましたが大津や永井などを走らせていました。
 そういった個で打開できる選手を積極的に補強していくことで、引いた相手に対して打開を図ることができるのか、それとも別の手法を考えるのか。


 基本的なサッカーは五輪でも見てきただけに、どういったチーム作りのプランを描いていくかが、見る側にとっては気になるところですね。
 もちろん、関塚監督に決まれば…ですけど。




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