マークをずらせず、完封負け

 雨が降る中の試合で、ジェフの選手は濡れたピッチに足を取られることが多かった印象です。
 比較的、熊本の選手のほうは滑るようなことが少なく、この辺りからもしっかり準備をしていたのかなぁと思ったりもします。
 熊本の戦い方を見ても、しっかりとジェフを研究してきたのかなと思います。


 そういう意味でも、難しい試合になったわけですけど、昇格を目指すならしっかりとマークされリサーチるのは当然のことを。
 これからもこういった試合が増えていくかもしれませんが、そこをわかった上でそれを乗り越えなければいけません。
 こちらが100%の力を出し切れず、相手が100%に近い状態で戦ってきても勝ち点を稼げるチームを作っていかなければいけないということでしょうね。
■強引なプレーからカウンターを受ける
 熊本は4-4-2のフォーメーションでスタート。
 怪我人の関係もあったそうですが、落ち着いたサッカーがで来ていたと思います。


 前節のジェフ戦で4-0の大敗となったこともあってか、非常に守備を丁寧にやってきました。
 FWはセンターサークルの後ろまで戻り、ジェフDFラインへの守備にはあまり行かず、ともかく後方をしっかりと守るディフェンス。
 サイドの選手などもしっかりと絞って守り、ともかくゴール前を集中して守ろうという狙いだったのではないかと思います。



 こういった守備をされると、やはりジェフは苦戦。
 ボールを持っても相手を揺さぶれず、ゴール前のスペースをこじ開けて、自発的に崩すような形が作れない。
 ポゼッション率は高かったですけど、チャンスすら作れない状況が続きました。


 『FWを前に走らせて点を取るサッカー』スタイルに変わった印象のあるジェフは、多少強引でも前線にボールを出す選択肢が多かったと思います。
 しかし、強引なプレーを続けても確実性は低く、シュートにも持ち込めない。
 逆に無理なプレーからカウンターを受ける場面が増えてしまいます。
 一通り攻めきった後に奪われた形からのカウンターなら、相手も攻撃に転じにくくその分カウンターを遅らせることができますが、強引に相手が集まっている中にボールを出して奪われるようなパターンだと、カウンターを遅らせることも難しく、一気にピンチになりやすい…。


 この結果、何とかDFラインだけで相手のカウンターを止める展開が多く、ポゼッションはしながらも苦しい展開が続きます。
 逆にジェフのほうも、ポゼッションからの攻撃ではチャンスが作れず、結果的にカウンター対決の模様になっていきます。
 しかし、熊本はカウンター時の守備でもしっかりジェフのFWだけは抑え、ジェフは打開策をなかなか見いだせない状況でした。
 やはりFWにしっかりしたマークがつくと厳しいのが現状ですね…。
■試合終盤に失点
 0-0のまま後半戦に突入。
 しかし、ハーフタイムを過ぎても、基本的な流れは変わらず。


 熊本のほうは以前からではありますが、カウンターではFWが裏を狙うかポストをするか、そうでないときはサイドからの攻撃を狙ってきました。
 ジェフは右サイドでは田中が前に出ていて遅れていることが多く、左サイドは兵働、武田と、共にフィジカル面では課題のある選手が並んでいますので、そのあたりを狙われていた印象もありました。
 このあたりのカウンター時の遅らせ方、サイドの守備の対応なども、考えていかなければいけないポイントの1つですね。



 後半から徐々に熊本のほうも動きが止まっていき、特に中盤の戻りが遅くなっていきました。
 そこでジェフは後半16分、田中に代えて深井を投入。
 その直後の熊本の守備を、興味深く感じました。
 深井が中盤でボールを持ってフリーで前を向いても、無理にDFラインの選手は飛び込んでこずに、ジェフのFWがいた後ろのスペースを消す…と。
 FWに点を取らせないという意味でのジェフ対策としても、無理に飛び込まないという意味での深井対策としても正解だったと思いますし、この試合ではすごく良い守備が出来ていたと思います。



 後半30分からは両チームともに足が止まっていき、動きが落ちていきます。
 それでも地力で勝るジェフのほうが攻め込む時間が長かったわけですが、後半40分。
 ジェフが中盤でボールを奪われると、そのままDFラインを取られ、武富が先制ゴール。
 この得点が唯一のゴールとなり、ジェフの敗戦となりました。


 この時間帯、運動量が少なく無理な状況で中盤から前にボールを出してしまい、囲まれてボール奪われてしまいました。
 全体的に疲労と試合展開から集中力が切れていた試合でもあったのかもしれませんが、ちょっと中途半端なプレーだったかなぁと。
 ともかく残念ですね。
■攻撃面でのプラスアルファ
 先週も言いましたが、やはりFWにしっかりとCBがマークに着けられると、それだけで打開策が見られなくなってしまいますね…。
 攻撃に工夫がなく単調な流れとなり、複数人の選手が連携してアタッキングサードに入っていくとか、誰かが囮になるような動きからスペースを作るというようなパターンが作れない状況でした。
 その結果、無理な縦パスばかりとなり、逆に危ないシーンを作られてしまうという悪循環。
 それが90分間、なかなか変われなかったかなと。


 もちろん、守備を重視し、ゴール前に人数を固められると厳しいのはどのチームも同じ。
 とはいえ、それは開幕前からわかっていたことであり、この2年間そこで苦しんできたはずです。



 攻守に木山監督時代の水戸のサッカーに近づいてきた印象があり、それ自体は悪いことではないとは思います。
 しかし、やはり昇格、優勝というところが目標になれば、それだけでは点は奪えないし、勝ち点も稼いではいけない。
 あのころの水戸より相手のマークは厳しいはずだし、守備も固めてくるはずですから。



 このブログでも言っていたように、開幕前からそういった心配はあったと思うのですが、そのあたりはクラブも監督もどのように考えていたんでしょうね…。
 良い選手を集めるだけでは難しいと思うのですが。


 ともかく、まずは攻撃面においてプラスアルファを作れるかどうかが、大切ではないかと思います。
 相手もジェフ対策を作ってきたわけですし、ここからレベルアップできるかが、本当に大事なところですね。