本田のギアと遠藤のギアと

 先週行われたブラジルW杯アジア最終予選日本代表対ヨルダン代表は、6-0で日本代表の圧勝となりました
 相手の退場もありましたけど、それを差し引いても素晴らしい内容だったんじゃないでしょうか。


 ゾーンで守るヨルダンに対して、冷静にパスをつないでいく序盤の日本代表。
 その中でサイドに中盤の選手がサポートに行って1対1の局面を作ったり、ウイングの選手が横パスを出す際も、ただ出すだけでなく出した瞬間に中央に走り込んだり。
 その結果、ボールを受けるターゲットになるだけでなく、相手を引きつけてサイドにスペースもできる。
 そういったオフザボールでの動きだしによって、攻撃のスピードアップができていたと思います。


 遠藤のパスセンス、長友のドリブル、本田の決定力なども素晴らしかったですけど(特に遠藤のキラーパスは何か怖さすら感じるほどでしたが)、オフ座ボールも含めた連動した動きが非常になめらかで、技術力だけでなくチーム全体での連動性を感じるサッカーだったと思います。
 その結果、相手が退場になって1人少なくなり、点差が開いた状況でもそこまで大きく試合がだれずに進んでいったように感じます。
 どうやって日本代表が相手から点を取るのかというのを、純粋に楽しんで見ていられました。


 さすがに後半からは動きが落ちてしまいましたけど、次に大事な試合が控えていることを考えると仕方がないというか、むしろペースコントロールをしたほうが正解なのかなと。
 それでも後半だけで2点取ってしまうのですから、さすがというか。
 それよりも本田が外れると、やはり若干全体のスケールダウンを感じるところに不安を感じなくもありませんでした。
 憲剛も頑張っていたとはいえ、どうしてもタイプが違うと思いますし。



 相手を見計らって精確なパスを出してチャンスを作る遠藤と、高い位置からトルクのきいたプレーで決定的な動きをする本田と。
 前後2つのギアで、見事にチームがはまっている印象を受けました。
 それ故に1つでもギアが欠けると、走れなくはないけれども、バリエーションが少なくなると。
 思い出したのは、2000年アジアカップの名波と俊輔?
 ただ、あの時はまだ未熟な俊輔を名波がフォローしていた感じではありましたが、今は本田も遠藤も十分1人でチームを支えられる選手ですけどね。


 素晴らしいチームになりつつある中で、香川だけは完璧には乗り切れていない印象もあったりなかったり。
 本田のチームというのが確立される中で、気持ち的に前向きにはなりにくいところがあるんでしょうか。
 自分はまだ本田の家来にはなりたくない…ということ?(笑)
 しかも、本来プレーするトップ下の位置ではないですしね。
 かといって、今の日本代表はトップ下本田のフィジカルも含めてのゲームメイクになりますから、そのまま香川を中央にスライドさせてもあわない部分があるでしょうし。


 まぁ、香川が反発することで、逆にチームが活性化したりすれば面白いな…なんてことすら思ってしまうような順調ぶりだと思いますけどね(笑)
 吉田の怪我も心配…というか、チームへの影響以上に吉田本人が純粋に心配ですけど。


 それよりも心配なのは、これが2000年のアジア杯の時のように、このチームのピークにならければいいなぁといったところではないでしょうか。
 オフになってさまざまな移籍があると、また選手たちの環境も変わってしまったりもしますし。
 現状を見ると多少の衰退くらいならいいのでしょうけど、大きく変わってしまったらすごく残念なことだと思いますし、その可能性もあり得なくはないのでしょうし。



 といったところでで、まずは本日行われるオーストラリア戦。
 「強敵相手にどこまで日本代表が素晴らしいサッカーを見せられるのか」という点において、すごく楽しみです。
 できればミリガンのプレーも見たいところですけど…。