スローガン『脱甘』とは何か?

 今さらな話題となりますが、今年のジェフのスローガンは『DAKKAN 奪還×脱甘』となりました。
 新体制発表会を振り返ると『奪還』とは、クラブの魅力を作り信頼・信用を取り戻すことであるとのこと。
 そして、『脱甘』とはクラブの甘さを払拭するということでした。
 どちらもジェフが抱えている課題であると思いますし、良いスローガンだと思います。


 ただ、具体的な中身の方はどうなのか。
 特に『脱甘』においての、クラブの『甘さ』とは何で、どういった改善策を考えているのかが、明確ではなかったように思います。
 そのあたりの具体的な問題定義と改善策がなされていない時点で、すでに『甘い』とも思わなくもないですが…。
 『甘さ』に関しては昨年のオフも言われていたわけで。


 補強に関しても今年は前向きな意見を聞くことが多いですけど、昨年の藤田・オーロイなどもそうでしたし、一昨年のカンテーラ組も、その前の年のオフも基本的な評判はあまり悪くなかったと思います。
 それでも、その中で主軸となれた選手は一握りで、チームの結果も出なかった。
 また、今年に関してはDFラインの人数不足という問題もあります。
 これまでにも疑問点をそのままにして開幕してやっぱりダメだった…ということも多々あったわけで、そのあたりはクラブの『甘さ』ではないのか。


 木山監督に関しても期待はしていますけど、実績だけを見れば過去2年の監督とそこまでの大差があるわけではないと思います。
 昨年のスタイルからも違うところがあると思いますし、今までの諸問題を差し置いて「木山監督が来たから良くなる」と考えていたら、それは明らかに『甘さ』だと思います。
 また、報告会で掲げられたはずの「人もボールも動くサッカー」も、そもそも木山監督はそういった水戸でサッカーだったのか?という疑問もありますし、サポコミなどで聞くと徐々にそのあたりの言葉を濁すようになっている印象です。
 ニュアンスの問題などはあるのかもしれませんが、「目指すサッカー」においての意思疎通がしっかりと出来ていて、クラブ全体で同じビジョンを描けているのか。
 フロントや監督とでしっかりと話し合いが持てているのか…という点で、疑問が残る部分があります。


 もちろん『希望』は持つべきだとは思いますけど、『現実』を踏まえた上での『希望』なのかどうか。
 実際、ジェフは04年の順位をJ1セカンドステージの2位だと考えれば、05年から過去7年間順位が下がり続けています。
 その長いトンネルから抜け出せるほど変化・成長が、クラブの中にあったのかどうか。
 今までの反省を生かせているのかどうか。
 『甘さ』といった抽象的なものだけではなく、具体的にどう変わっていくつもりなのか。



 EURO予選のプレーオフボスニア代表がポルトガル代表相手に初戦は0-0で引き分けたものの、第2戦は2-6で大敗してしまった原因に関して、オシムさんはメディアや周囲の問題もあったという話をしていました。
 こちらなどでも少し出ているように、「チームを過大評価して」大きなプレッシャーになってしまったということ。
 また、9月から始まるW杯予選に関しても、ギリシャスロバキアなど本命不在ということで周囲の雰囲気を気にしているようです。
 「本命がいない」といったところも、今期のジェフに共通する部部があるような気がします。
 オシムさんの場合、周囲の雰囲気を作るメディアに関して牽制している印象ですが、ジェフの場合はそこまでメディアも注目はしていませんから、周囲の雰囲気を作るのはサポーターということになるのではないかと思います。
 『奪甘』はサポーターにも求められるということではないでしょうか。


 もしも『甘さ』の残る雰囲気のままシーズンが進み、『期待』ばかりが膨らんで『現実』とのギャップが広がってしまった場合の落胆はどうなるのか…。
 あるいは『期待』が先行してチームのハードルが上がり、プレッシャーになってしまったら。
 とあるJ2のクラブは資金面は贅沢ではないですけど、練習からサポも含めて厳しい雰囲気が作れているそうで、実際順位も良いところにいます。
 ジェフの練習は昨年も見ましたけど…。
 ネット上でも「批判的な意見は絶対にすべきではない」という風潮が流れていたりしますしね。


 フロントやチームもそうですけど、サポーターの方も少しずつ変わらなければいけない部分があるのではないかなぁと私は思います。
 何事でもそうだと思いますけど、場の雰囲気とは言うのは重要だと思いますし、サポーターはそれを作り出せる存在だと思いますからね。
 開幕に向けて、クラブ全体で気を引き締めていきたいところです。