荒田、佐藤健太郎、山口智を獲得 孝太は甲府にレンタル移籍

荒田智之選手の加入について(ジェフ公式サイト)


 報道されていた通り元水戸で現在は磐田に所属しているFW荒田が、ジェフに移籍することが発表となりました。
 1年契約が残っていると報じられており、レンタル移籍となったそうです。
 とはいえ、磐田側の発表に書かれたコメントを読むと、もう磐田に戻るつもりはないのかな?といった印象を受けますね。


 荒田獲得の感想は以前にも書いた通り。
 ゴールの狙えるFWで木山監督の下でプレーしていた実績はありますが、荒田だと2トップなのかなぁ(そうなると伊藤あたりはどうなる?)ということと、久保と動きが被らないだろうか…といったところで、獲得には意外な印象も受けました。
 エルゴラに書かれていた「長身FW」の獲得がなければ、荒田と久保の2トップという可能性も出てくるのでしょうが、それならば欲しかったのは甲府に移籍した高崎の方なのではないかなぁとも思うのですが。
 本気で『人もボールも動くサッカー』を目指すのであれば、オーロイを主力選手として考えるのは違うと思いますし。



 もしかしたら、その2トップというところで補強となったのが…。
佐藤 健太郎 選手の加入について(ジェフ公式サイト)


 佐藤健太郎なのでしょうか。
 山形では中盤の底でプレーすることが多く、そこからボールを展開していた印象があります。
 ジェフの選手構成を考えれば、ポジション的には補強ポイントの1つでしょうね。


 しかし、守備的なボランチのポジションではありますけど、守備のスペシャリストというよりはどちらかと言えば「足元の技術があって守備”も”出来る選手」というイメージなんですよね…。
 身長も177cmとそこまで高さがあるタイプでもないですし、やはりボランチには2人とも攻撃を作れる選手を置きたいということなのでしょうか。
 木山監督は水戸時代もそういった傾向があったはずですし、前線を2トップにする分ボランチには2人とも中盤の構成力を求めていく必要性が出てくるのかなぁと。


 そうなると今度はその分の守備をどこで補うのか、考えていく必要が出てくるのでしょう。
 江尻監督の時も勇人と山口(工藤)のボランチでサイズが足りずに苦しみましたし、攻撃的ボランチ2人で他のポジションに守備の負担が増えれば、逆に攻撃面も苦労する場面が出てくる可能性もあります。
 ようするに、ピッチ全体のバランスをどうやって取っていくのか…というところですね。
 そのバランスを取る上で一番シンプルなの守備が出来てサイズのある中盤の選手を起用して、中盤の守備の柱としつつDF前のスクリーンも任せるということなのではないかなと思うのですが…。
 そういえば、中盤の外国人選手補強というのはどうなったんでしょう。



 …で、その流れで、今度は山口なんでしょうか。
山口 智 選手の加入について(ジェフ公式サイト)


 水戸の頃は攻撃的なボランチを2人置く分、大和田と作田(中村)といった高さのある選手が跳ね返す守備をしていたイメージがあるので、それを竹内と山口智に求めるということなのかなぁと。
 「攻撃的なサッカーをする上でビルドアップなどを期待して山口智を補強するのではないか」という意見もありましたけど、竹内も鋭い縦パスが出せる選手で、ミリガンも日本人選手ではなかなか見られない鋭いロングパスが出せる選手ですから、この2人でビルドアップが出来なかったのはチーム側の問題の方が大きいでしょう。
 本当に補強によって攻撃的なサッカーを構築しようというのであれば、SBなどの補強の方が先決だろうと私は思います。
 それよりも単純に、『当時の水戸の再現+α』といったところを狙っているのかなぁと。
 しかし、竹内がカバーリングをして、ミリガンが前に行って相手を潰すという関係が出来ていたからこそ、ラインを高く保てていたなどのメリットもあったはず。
 水戸の時は深く守るイメージも強かったですが、ジェフの立場を考えれば守備でも先手をとって、攻守において自分達が主体となって試合を進めていきたいという傾向が出てくるのではないかと思いますし。
 決して水戸のサッカーが悪かったとかではないですけど、チームの立場や環境によって監督のサッカーも少しずつ変化が求められるわけで、フロントも一緒になって当時をそのまま真似しようとしているのであれば心配な部分もあるのではないかと思います。


 まぁ、単純にミリガンのプレーが不安定な部分が気になって別の選手を…ということなのかもしれませんが、ミリガンは前に潰しに行く役割を任されていた分、どうしても裏をとられることが多くミスが目立ってしまう部分もあったと思います。
 中盤でも潰しにいける選手が少なかったですから、ますますミリガンのマンマーク能力というのはチームにとって必要だったはずです。
 実際、チームの結果が出せなかった終盤以降はどうしても不安定なプレーが目立ってしまいがちでしたが、シーズン中盤までは『ミリガンがいないと勝てない』とまで言われていたほどミリガンに頼っていた状況があったはずで。
 年齢的にも26歳とまだ若く、オーストラリア人でアジア枠の選手という意味でも、ちょっともったいないなぁと思う部分があります。


 益山も放出しましたし、もしかしたらミリガン残留の可能性もあるのかもしれませんが(もしも竹内の完全移籍に失敗となれば、そちらの方が大きな問題かもしれませんが)。
 甲府のハーフナーを見習ってオーロイを獲ったように、FC東京を見習ってCBを大量補強?(笑)
 しかし、ジェフはそこまで贅沢な予算があるわけではないですし、もし3人とも残るのなら予算配分的にCBにお金をかけ過ぎではないかなぁと思います。



 それと気になるのが。

G大阪は6日、元日本代表のDF山口智(33)が、J2千葉に完全移籍することを発表した。山口はJ通算448試合に出場した経験豊富な選手で、市原(現千葉)のユース出身。00年以来の古巣復帰になる。
(中略)
千葉とは3年契約になる。(日刊

 マスコミを鵜呑みにはできないとはいえ、3年契約という報道。
 G大阪からは年俸5000万円からの大幅ダウン(最終的には3500万円〜4500万円?)を提示されており、ジェフは金額面ではそれ以下だったと複数の記事で書かれています(それでもJ2では破格の年俸だと思われますが)。
 しかし、G大阪単年契約を提示したという話も。
 ジェフの方はG大阪ほどの年俸は準備できないけれど、その分複数年契約を提示することで山口を口説いたということでしょうか。 それならば、この報道も納得はできます。
 そもそも契約年数に関しては、間違った報道は少ないと思いますし。
 しかし、33歳の選手に3年契約…。
 総コストではこちらの方が費用がかかるかもしれないし、「複数年契約を結んでしまって満了にしたくてもできなかった」という話をサポコミでしていたこともあったはずなのに。


 感情的な部分では12年ぶりにジェフに帰ってきたとはいえ、ステップアップを目指してG大阪に移籍したはずですし、これだけの長い期間他チームでプレーしていたわけですから、個人的にはあまり特別な思いはありません。
 水戸での鈴木隆行のように「困っているチームで無償でプレーする」というようなケースなら頭の下がる思いですけど、しっかりとお金も発生しているはずですし。
 「J1上位クラブでレギュラーだった」といっても、昨年J1で優勝したのは一昨年のJ2クラブで、ベスト11のDF部門にも近藤、酒井など選ばれており、天皇杯の王者も昨年J2のFC東京だったわけで。
 もちろん依然としてJ1とJ2の差はあるとは思いますけど、柏やFC東京はJ2のクラブや選手だって努力と工夫次第ではJ1を上回れることを証明してくれたわけで、「J1上位の主力選手だから」というだけでありがたがっているようでは、自分達がそのレベルに到達できるのはまだまだ先なのだろうなぁと思ってしまいます。
 問題はどこで努力し、どうやって工夫するのるか。
 京都のようにシーズン序盤はぼろぼろでも我慢して若手を使い続けたことで、後半から巻き返して天皇杯で準優勝まで勝ち進んだチームもあるわけで、水増しするような補強だけでは前に進めないのではないかなと思ってしまいます。


 ここ最近のジェフは名古屋ルートが監督のコネか元ジェフ選手に頼った補強をしているわけですけど(だからこそ今年の田中、佐藤の獲得は頑張ったとも思えるわけですが)、元ジェフ選手はどうしても旬な時期を他チームで過ごしている分、年齢層が高くなってしまいます。
 結局、林、茶野、村井などに加えて中後も実質2年しか在籍しておらず、はっきりと成功したと言える補強は勇人くらいなんですよね…。
 困った時に元ジェフ選手に声をかけるというのは、フロントとしては交渉しやすいのかもしれませんけど、チームの将来性を考えるとどうなのかなぁと考えてしまいます。



青木孝太選手の期限付き移籍について(ジェフ公式サイト)


 最後にこちらも事前に報道があった通り、青木孝太甲府に移籍。
 これに関しては、この日に取り上げたので割愛します。
 注目なのは、「ジェフでまた力を発揮することができるように」と言ってくれていることでしょう。
 嬉しい話ではありますが、甲府とジェフは立場的にはライバルだと思いますし、孝太が戻ってくるためにはジェフが甲府以上の結果を出さなければいけないのかなぁなんて思います。
 当然、簡単なハードルではないでしょうね。



 ともかく、もちろん決まったからにはそれぞれ応援したいとは思います。
 ただ、チーム全体の編成と言う意味では、疑問もあるかなぁと。
 特に若手を放出して中堅からベテランを獲得するという流れになっているのは、ちょっと話と違うのではないかと思ってしまいます。


 個人的には報告会などで説明されていた『人もボールも動くサッカー』を目指すというスタイルの確約と同等かそれ以上に、『若手中心で行く』という強化方針に大きな期待を持っていました。
 実際、ベテラン選手を契約満了とし若手育成に定評があるという木山氏を招聘したあたりまでは、その方針に沿った運営が出来ていたと思うのですが、それ以降はまた例年と同じような流れになりつつあるのかなぁと。
 現状でもまだ多くのベテラン選手は残っていますし、運営面で予想したほどの大きな変化というのは今のところないのかなぁと。


 戦力の大枠はこれで決まったと思われますが、ここまでに書いた玉突き的な補強方針が当たっているのであれば、伊藤、ミリガンのポジションはなくなるかもしれませんから、印象以上にプラスの補強にはなっていないかもしれませんね。
 「補って強くする」というよりは、「ともかく強引に水戸のような選手構成にした」ような感じなのかなぁと。
 そういった発想も必要なのかもしれませんけど、予算も限られている中ですから、まずは効果的な補強というのが最優先とすべきなはずで。
 言うなれば、なんだか遠回り補強?というのが、ここまでの印象です。