FC東京に3-0で勝利 新生ジェフここからが本当のスタート
文字通り「待ちに待った」といった雰囲気。
チケットはほぼ完売で、試合前からフクアリは熱気にあふれていました。
正直、スタジアムに着くまでは再開初戦は相手がFC東京ということもあって、まずは「サッカーを楽しみたい」、「良い試合が見たい」という気持ちが強かったのですが、あの雰囲気、あれだけの黄色いサポーター(FC東京サポも多かったですが)を見ると、やっぱり勝たなきゃいけないなぁと。
その先のJ1昇格も地に足のついた状況で(ここが重要だけど)、しっかり目指していかなければなぁと。
ジェフというチームがあってサッカーが出来るだけで”幸せ”ではあるわけですが、多くのサポーター(支援企業・団体も含め)がいるのであれば、それに応じたチームを作り上げなければいけないはずで。
いつまでもここで立ち止まってはいられませんね。
■FC東京のジェフ潰しとジェフの前線の守備
選手やチームにもそんな思いもあったのかどうかはわかりませんが、ジェフは前半から予想よりも前への意識が強い印象でした。
去年もフクアリでは気合を入れて戦っていたチームですし、今年もホームではハイテンションのサッカーを展開していくんでしょうか。
キックオフ直後からオーロイにロングボールを当てて、深井、米倉がそれを拾う展開。
やはりこれがチームのファーストターゲットになりそうですね。
そして、ロングボールで相手を下げた後は、ショートパスを繋いで、足元へのポストからの攻撃も狙っていく感じでしょうか。
このあたりは中断中に向上した部分なのかもしれません。
ただ、やはり相手も研究してきたというか、周りの選手のチェックも速くボール際も強く、オーロイは競り勝てるのですがその後がうまく続かない。
ボランチで潰される展開も多く、激しいせめぎ合いとなりました。
守備に関してはオーロイのチェイスのスピードがなく、両ウイングの守備の課題もあって、相手CBからSBにボールが展開されていました。
オーロイがCBの前を止められず勇人・伊藤は下がって守るため、米倉は相手ボランチ2人を後追いする状況に。
ちばぎんカップでは相手SBがボールを持ったらウイングが前から詰めて、オーロイが相手CBから追い込んで、米倉が同サイドのボランチに、逆ウイングがもう1人のボランチについて、一気にプレスをしかけるシーンもありました。
こうなると相手の逆SBはフリーになるわけですけど、パスコースを消しながらプレスをかけることでボールを大きく展開させない。
あるいは展開を遅らせることで次の守備の準備をする、状況によってスライドする…というのがドワイト監督の理想なのかなと思っていました。
けれども、それには前線の選手達の守備センス、スピード、運動量などが必要で、連携面も非常に重要になってくる。
その点で、個人的には青木孝太に期待していたのですが、今回もスタメンはならず。
ともかく、このあたりの守備に関しては、まだまだ改善点も多いと思います。
まぁ、しかし、このあたりは予想の範囲内でもあったはずで。
守備ではラインが下がり過ぎて相手にミドルシュートを打たれたり、逆サイドのSBがフリーになったり…という危ないシーンは何度かありましたが、それでも中央はしっかりと固める(まぁ、相手の決定力の問題もあったのかもしれないですけど)。
攻撃ではオーロイは後方からのボールに競り勝てるので、そこを中心に拾う展開。
相手もそれはわかっていて周りをケアしてきますが、わかっているだけにそれ以降は選手個々の勝負になっていたんじゃないかと思います。
■ミリガンのロングスローからオーロイで相手をこじ開ける
そんな状況で変化があったのが、前半43分の米本の負傷退場。
素早いチェックと運動量と体を張ったプレーで、FC東京の中盤を支えていた米本。
米倉との対決も興味深く見ていたのですが、残念ながらジャンプした際の着地で負傷してしまったようで…。
この交代よってそれまでの中盤後方の圧力が弱まり、ジェフにとっては攻めやすい状況になりました。
前半終了間際には、オーロイが落としたボールを坂本が拾って米倉にパス。
米倉は反転して、そのままゴール前に侵入しシュート…と惜しいシーンを作ります。
後半入ってからも押し込まれる時間帯は長かったですが、SBの攻撃参加が増えてアーリークロスからの展開も少しずつ出来ていましたね。
練習でもSBがウイングに簡単に預けてカットインしている間に、SBは開きながら前に行く…すると、ウイングへの守備も弱まるだろ?なんて形を、ハンスコーチの下やっていましたが、それが少しずつ実になっているんでしょうか。
(まぁ、その時はSBがフリーで受けてクロスを上げる目的の練習というより、SBがオトリになってウイングが仕掛けるための練習なのかな?と思って見ていたのですが。)
しかし、クロスの精度がなかなか上がらず…。
そこで大きな武器になったのが、ネット上でも話題になったミリガンのロングスローですね。
クロスの質が低かった分、より一層ミリガンのロングスローの精度が際立って見えてしまいました(それはそれで複雑ですが)。
コントロールが良いだけでなく、スピードも、伸びも素晴らしい。
中央にオーロイがいたことも大きいでしょうけど、危険な攻撃が作れていたと思います。
そして、後半32分にミリガンのロングスローを、直接オーロイがヘディングでねじ込み先制。
本当にミリガンが、秘密兵器になってしまいましたね。
こんなことなら、もっとブログでプッシュしておけばよかった…。
いや、あのロングスローの話は一言もいっていなかったので、全然関係ないですけど(笑)
でも、ミリガンは守備でもしっかりとポストへの潰しをこなしており、周りの選手に声をかけてコントロールをすることで、前半に見られたラインの後退も少なくなったと思います。
フィードキックもありますしロングスローもありますから、今後のプレーが楽しみです。
セザーに抜かれかけてイエローで止めてしまうなど、やはり素早いステップへの対応が課題ではあるんでしょうけどね…。
1点が入ってFC東京が前への勢いを高め両チームにスペースが出来る中、後半38分、後方からのロングパスをオーロイがフリーで受けると、米倉の前方にスルーパス。
米倉は権田の足の間を通したシュートを決めて2点目。
オーロイから米倉への展開でゴールは、これで2戦連続ですね。
その後、FC東京は今野をFWにあげ、パワープレーを試みるもなかなかチャンスには繋がらず。
後半44分にはロングボールの展開から、途中出場の青木孝太がペナルティエリア内でクロスを上げて、オーロイがヘディングで2点目。
そのまま3-0でジェフがホーム開幕戦を勝利で飾りました。
2点目、3点目も素晴らしかったですが、試合の流れから考えると、やはり先制点は大きかったですね。
■ベースを明確にするドワイト監督のアプローチ
ホームというアドバンテージはあったとはいえ、FC東京に3-0というのは上出来ではないでしょうか。
14時からの開催となり気温も高めで、スタミナも心配されましたが、そういった問題もなし。
ミリガン・オーロイのコンビが注目を集めてしまいましたが、米倉・勇人の運動量・体の張ったプレーも非常に効いていた試合だったんじゃないでしょうか。
米倉などが90分走り続けたからこそ、オーロイもばてずに済んだんじゃないかと思いますし。
試合を振り返ると、最終ラインはCBを中心にしっかりと守っていたと思います。
けれど、ウイングの守備(相手SBの対応)、逆サイドのケア、プレスの整備などはまだまだ。
例えば前半深井が1人でどんどん前にチェックに行くシーンがありましたが、それに対する穴埋めも出来ていなかったし、連動したプレスもなかった。
深井の気持ちは買いたいのですが無駄追いすればバランスも崩れるわけで、チームとしての意思統一の課題も感じられました。
そして、攻撃面でもサイド攻撃の質を高めて、バリエーションを増やしていきたいところですね。
特にクロスの質と、その後の受け方。
後半に勇人が前線まで上がっていって、オーロイと中央で反らす形になって、逆サイドから入ってきた孝太がヘディングでゴールを狙うという惜しいシーンも作れていましたが(ロングスローでもオーロイと見せて孝太が狙う場面も)、そういった形も増やせていけば中央も開いてくるはずですし、よりチャンスも増えるんじゃないでしょうか。
そういった課題というか伸び白も期待したいですが、とはいえ、攻守においてやることの基本(攻撃の「オーロイ当て」と守備の「6枚ブロック」)がはっきりしているのは、チームのベースを作る上で何よりも重要なことだと思います。
ジェフというチーム単位で考えても、”チームのベース作り”が必要な時期にあると思いますし、そういう意味でもドワイト監督のアプローチは今のジェフに合っているんじゃないでしょうか。
それにオーロイに当てて2列目が拾う攻撃は(オーロイに依存するという以上に)米倉の成長・活躍に期待してのことではないかと思いますし、若く有望な選手を育てあげようとしているのかな?と感じる部分にも、個人的には好印象です。
もちろん米倉だけでなく、伊藤やラム、孝太などその他若手も躊躇なく起用している印象もあります。
こういった選手達が伸びてくれれば、チームも活性化するのではないでしょうか。
それに、何よりもこのチームはまだ始まったばかり。
ドワイト監督が就任して4ヶ月しかたっていないわけですから(そう考えるとこの中断はジェフにとって結果的に追い風になったのかもしれませんね)、細部に関してはこれからなのではないでしょうか。
もちろん、チームにどれだけの伸び白があって、どれだけの引き出しがドワイト監督にあるかはまだわかりませんが、少なくとも今は将来に期待を持てる状況にあるといえるのではないかと思います。
ここからが、新生ジェフの本当のスタートですね。