ハミルトンがベッテルの連勝をストップさせるも…
F1中国GPはレース終盤まで予測のつかない展開で、非常に面白いレースとなりました。
やはりDRS効果と、一気に性能が低下するピレリ効果が大きいのかなと思います。
ストレートが短い開幕戦オーストラリアではあまり効果が無く批判も浴びたDRSですが、マレーシアや中国ではしっかりと速度差を作り出し、レースを面白くしてくれました。
また、いつタイヤの性能が落ちるか分からず、落ちるときは一気に落ちるピレリタイヤの予測不可能な部分も、逆にレースを面白くしていますね。
それと結果的に、KERSもポイントの1つになっているのかなと思います。
そのKERSの扱いで苦しんでいるのが、レッドブルですね。
予選直前のP3でウェバー車のKERSがトラブル。
KERSが使えないまま予選に臨んだウェバーは、ハード側のタイヤを履いていたこともあって、なんとQ1敗退の18位となってしまいます。
またQ2ではアタック後のペトロフがトラブルでコースにマシンを止め、残り2分のところで赤旗中断。
赤旗解消後、多くのドライバーが列を作ってアタックをしかけますが、タイムは伸びず。
小林可夢偉は13位と12位ペレスの1つ後ろとなってしまいます。
シューマッハーは14位、ハイドフェルドは16位に。
ポールはここでもベッテル。
バトン、ハミルトンと順当に続いて、4位には金曜から好調なメルセデスGPのロズベルグが付けました。
決勝でもいきなり波乱。
スタートでベッテルの出足が悪く、バトン、ハミルトンに先を越されてしまいます。
しかし、1回目のピットストップでベッテルが2人の前に。
しかししかし、その前には速めにピットストップを終えていた、ロズベルグがなんと首位浮上。
中盤レースをリードすることになったロズベルグですが、それまで飛ばしていたせいか、燃費の問題が発生し徐々に失速。
結局5位フィニッシュとなりました。
代わりにベッテルが40週あたりからトップに立ちます。
このままベッテルが優勝し開幕3連勝か?と思われたのですが、その後、猛スパートをかけてきたのがハミルトン。
ロズベルグ、バトンを一気に抜いて、残り4周というところでベッテルもパス。
しかも、高速コーナーでの見事な追い抜き出した。
ハミルトンはチームにはタイヤをいたわるよう様子を見ての追い抜きを指示されていたのですが、それすらも聞かずに見事なごぼう抜きを見せてくれました。
近年では賢いレースメイクが評価されることが多いですけど、やはりこういったドライビングの方が見ていて単純に面白いと感じますね。
3位には18番手グリッドから巻き返し、最後はバトンまで抜き去ったウェバー。
中盤以降のレースペースは素晴らしく、ファステストラップも記録。
開幕からここまで波に乗れませんでしたが、今回は素晴らしい走りを見せてくれました。
ウェバーは3ストップでしたが、ベッテルは2ストップで結果的に失敗した印象で、もし3ストップなら状況は変わっていたかもしれません。
その他にポイント圏内で2ピットストップを実施したのは6位マッサ、7位アロンソ、9位ペトロフ、10位小林可夢偉でした。
小林可夢偉はスタートで11番手に浮上するも、ポジションを争う形となったフォース・インディア勢やルノー勢、シューマッハーのペースなどがまずまずで、特に第2スティントは苦戦します。
しかし、それでもハードタイヤで26周を走りきった第3スティントでは終盤まで粘り、最後の3周でディ・レスタを攻略し貴重な1ポイントを獲得しました。
一方のペレスはスーティルに接触するなど、バタバタしたレースをしてしまいましたね。
ポイント獲得は素晴らしい結果だと思いますが、メルセデスやフォース・インディアが調子を上げてきたのはザウバーにとって非常に厄介ですね。
今後のマシン開発に期待したいところですが…。
ハミルトンの素晴らしい走りでベッテルの3連覇を止め、今後が楽しみになってきた…と、言いたいところなのですが、なんでしょう、あのベッテルのレース後の余裕のある表情は(笑)
これまでの2レースでも、ポールをとっても優勝しても大きな喜びを表さなかったベッテル。
今回のレースでも直接追い抜かれたのにも関わらず、大きな落胆を見せず淡々としていた印象でした。
…かといって、モチベーションが下がっているようにも見えない
なんというか達観しているというか落ち付いていて、悟りを開いてしまったようにも見えます(笑)
23歳にして、”勝者のメンタリティ”を身に付けたどころか、”チャンピオンのメンタリティ”を習得してしまったということなのでしょうか。
ベッテルは好きなドライバーの1人ではあるのですが、チャンピオンシップを考えると、この展開は面白くない。
…というか、見ていて不気味なほどぼ落ち着きを感じます(笑)
まぁ、本当に強いドライバーというのは、全盛期のミハエル・シューマッハー以来表れていないわけで、ベッテルがその階段を歩むというのなら、その人生を見守るというのも楽しみの1つにもなるわけですが。
どちらにせよ、その過程の中でもライバルというのは必要不可欠なはずですから、ハミルトンとマクラーレンの今後の追い上げにも期待したいと思います。