練習見学 ダイアゴナルな動きとオーロイのポスト

 先週の金曜15日、練習見学に行ってきました。
 ここまで今期の公式戦は、ちばぎんカップ柏戦と開幕戦北九州戦のみ。
 メディアの記事やUNITED online(有料)の動画などでいろいろとチェックはしていますが、どうしても情報不足は否めず。
 そのため、時間を見つけてユナパへと向かった次第です。


 15日は10時から練習開始だったわけですが、気合いを入れ過ぎたのか9時半頃には着いてしまって、お客さんも自分を入れて2人程度。
 おかげでユナパ入りする社長や立石などとも、朝のご挨拶が出来ました(笑)
 スタッフは皆さんしっかりと挨拶してくださって、気持ちよく練習を見ることが出来ました。



 さて、チームに関してですが、当然一度の練習見学くらいで、チームの変化や現状を全て把握するのは難しいわけで。
(とはいえ、ジェフは監督の離脱期間も長くチームとしても作り始めの段階で、TGなどを観られた他の方の観想を聞いてもそこまで大きな変化はないのかなぁ…とも思っているのですが。)
 ただ、守備のべースに関しては、前にも話した通り、細かい部分はともかく大枠は再開前にできていたのかなと感じました。
 ボランチ2人は広範囲のカバーリングではなくCB前のエリアを守る印象で、CBは前にFWを潰しに行って、SBはそれに応じて絞る形。
 この6人がリトリートの主体となり、前の4人は状況に応じてプレスに行く。
 前4人の動きでうまくボールをサイドに寄せられたら、逆サイドのウイングが中央に絞って、2列目が一斉に前に出て行く。
(プレスに関しては、青木孝太を右サイドで使った柏戦の方がスムーズにできていた印象なのですが…。)
 基本的に守り方は欧州などでよく見る、オーソドックスな4-5-1の守り方の1つではないかと思います。 



 守備もディテールに関しては今後詰めていかなければいけないでしょうが、個人的には攻撃に関しての方が心配で、特にサイド攻撃からのセンタリングの展開の少なさと質の部分が今後の課題であり、言い方を変えればこのチームの伸び白でもあるのではないかと思っていました。
 しかし、これまでの試合を思い返して、今回の練習を見ると基本的にはサイドの深い位置を攻略する攻撃は、現段階ではあまり考えていないのかなぁと感じます。
 サイドを攻略するにはSBなどのサポートが重要だと思うのですが、SBによる試合中の攻撃参加は少ない状況で。
 基本的に守備でバランスを取ることがSBのメインタスクである…という考えから、現段階ではあまりサイド攻撃は狙っていかない(というか狙えない?)のかもしれません。


 この日のミニゲームでは、狭いコートでの2ラインでの5対5での練習でショートパスからの攻撃の形を行っていましたが、これも前4,5人での相手の崩し方を考えているのかなぁと感じました。
 この練習では縦パスを入れて前線の選手が落として、2列目の選手がゴール前で飛び出していくという内容で、2列目の選手の飛び出しの重要性がこの練習でも感じ取れます。
 相手が崩しきれない場面ではミドルシュートを積極的に狙っていたのも印象的でしたが、どちらも得点に結びついた回数は少なかったのが少し気になるところ。



 そして、続くハーフコートでのゲーム形式の練習では、SBからオーロイをめがけてロングボールを出し、2列目の選手がそれを拾う形を入念にチェックしていました。
 これはちばぎんカップから試合でも見られた傾向で(詳しくはちばぎんカップの感想を)、当初は「SBが攻め上がらないこと」や「SBの位置はチェックを受けることが少ないこと」から、SBをビルドアップの起点にする意図があるのかなと感じていました。
 しかし、この練習で『ダイアゴナル』(斜め)という監督からの指示が出ていたことから、チームとして斜めの動きを作ることが重要であるというのが、ドワイト監督のロジックなのかもしれません。
 オーロイ組の逆のチームでは、CBの位置から相手SBをめがけてロングボールを出し、それをダイレクトで中央に落として、飛び出してきたMFがゴールを狙う…というパターンを繰り返し行っていましたし、これも斜めの展開ということになります。
 北九州戦ではオーロイがサイドに流れる場面も多かったですが、あれもチームとしての狙いの1つだったんじゃないでしょうか。
 また、オーロイの落としたボールへの受け方も、ウイングの位置から中央に入っていって、そのままゴール前に走り込んでいくという斜めの動きを選手に要求していました。


 『ダイアゴナル』な動きになると競り合う選手も対応しにくくなるはずですし、何よりパスを出す選手のマーカーも縦は警戒する傾向にあるため、それを避けて前にボールを展開するという意味があるはずです。
 縦が無理だからと言って横に回しているだけでは意味がないのだから、縦でも横でもなく斜めにボールと人を動かしていく…。
 J2では昨年与那城監督が率いた北九州が、SBから斜めにくさびのパスを出し、FWが斜めに落として逆サイドに展開というショートパスのビルドアップをやっていました。
 江尻監督はボックスを崩すため選手が間に入っていくことを主眼に置いていましたが、ドワイト監督は斜めの動きで侵入していくことで相手を攻略してく…という意図があるのかもしれませんね。
(ちなみに、ゲーム形式の練習を行っている間、ハンスコーチはアタッカー陣を集めて一対一からミニゴールを狙っていく練習をしていたのも印象的でした。深井など一部主力選手も参加していましたし、やはり個人での突破からのドリブルというのも、攻撃のアクセントとして重要視しているのではないかと思われます。)


 

 ドワイト監督は就任決定直後から「ウイングを使ったサッカーをしたい」と話していましたが、これは「ウイングがサイドからクロスを上げてオーロイがヘディングで合わせる攻撃」ではなく「オーロイはポストになってウイング(トップ下?)に点を取らせる攻撃」ということなのかもしれません。
 だから、オーロイに関して言うと、ジャンプしてボールを受けるようなシーンは今のところ多くないですね。
 後方からのロングボールに関してはジャンプしなくても競り勝ててしまうことが多いし、柏戦の感想の時も言ったようにオーロイの胸元を狙うパスも多いですし。


 といったところで、「やってみるさ」さんの回答に繋がっていく…のかな?(笑)
 「オーロイが動けるかどうか」に関しては、個人的には常時動いているけれど、スピードはあまり期待できないといったイメージです。
 ネットは瞬間的なスピードは速かったけれどそれ以外のシーンではあまり動いていなかった印象でしたが、オーロイは真面目な性格なのか常に監督の指示通り動いている印象です。
 だから、守備もするけれど相手に前を向かれて一対一になると簡単に抜かれてしまうし、足元へのポスト時もしっかりと入れば体のサイズをうまく使ってボールをコントロールし正確なパスを出すことが出来るけど(練習からもオーロイへの足元への選択肢はあるはずですが)、ボールが入る瞬間に出足で刈られるシーンがこれまでの試合でも練習でも何度かありました。
 FC東京には今野、森重とアジリティに優れたCBがいますから、しっかりと研究し次の一手を読まれるようだと、攻守において苦労する部分が出てくるかもしれないな…とは思います。


 ただし、高さでは勝るはずですから、ジェフとしてはそこを上手く使いたい試合になるのではないかと。
 これに関して柏の近藤は「無理しないでやらせればいいと思う」と話しています。
 ようするに、クロスからの展開は少なくオーロイが直接ゴールに絡むプレーは少ないわけだから、そこは好きにやらせて落としたところをしっかりとマークするというのが常套手段になるのではないでしょうか。
 まぁ、逆に言えばジェフとしては周りを警戒された時に、スパッとオーロイの足元にボールが入るような展開が出来ればいいのでしょうけど、そこまで緻密なビルドアップを作れているかどうか…。


 現段階ではオーロイが唯一(と言い切るのは語弊があるかもしれないけれど)ゴールを狙えるのがセットプレー時であり、ジェフとしては勝つためにもそこを強化していきたいところなのかもしれません。
 もしかしたらそのためのゲッセル(2人目のターゲット)なのかもしれないし、伊藤(プレースキッカー)なのかもしれませんね。



 せっかくなので、CHONOさんにも朧げでもジェフのイメージや、平山がいない状況でチームがどう変化する可能性があるのか、スタメンはどういった組み合わせになるのか…といったところを聞いてみたいのですが、なかなか両者情報の少ない状況でしょうしね(笑)
 次はプレビューとなるのでしょうし、そちらも楽しみにしたいと思います。