復興に向けたスタート この続きはJリーグで…

 チャリティーマッチ日本代表対Jリーグ選抜。
 非常に楽しみにしていた試合ではあったのですが、どういった試合になるかは試合前はわかりくいところもあり、ある意味で取り上げにくい試合でもありました。


 Jリーグ選抜のメンバーを見ていると、攻撃的な選手が多く、守備的なMFは見当たらない。
 オシム監督がオールスター監督に選ばれた時に、「守備が出来る選手が2人しかいない」と話していたことを思い出してしまいましたが(笑)
 それを踏まえて考えると、華試合として考えるのが普通なのかなぁとは思うのですが、選手達は気合いが入っていたし、日本代表にとっては強化という意味合いもあるのかもしれません。
 個人的にもどうせやるのなら、ある程度本気での試合をみたいなぁとは思っていました。
 サッカーファンからすればこれだけのメンバーが集まって試合をするというだけで盛り上がってくるものがあるわけですが、より多くの方に感動を与えるためには、それだけのクオリティも必要ではないかと。
 そんなことを思っていました。



 しかし、実際の試合を見ると、そのあたりの不安は必要なかったのかもしれませんね。
 序盤こそ連携面やコンディション面の問題もあって苦しんだJリーグ選抜ですが、徐々に動きも良くなっていって前半30分頃にはチームとして機能していた部分も見られたと思います。
 初めはやはり中盤の底の守備力に課題が感じられましたが、小笠原が体を張って防いだところから、徐々に守備面でも安定していったかなと。
 ピッチ外での言動も含めて、震災後の小笠原は凄く頑張っていますね。


 その後も小野の優しいパス、憲剛の相手の隙をついたスルーパス、俊輔の大きなサイドチェンジ、両CBの強さ、原口の思い切りの良さなど、Jリーグ選抜はそれぞれの良さを観せてくれたと思います。
 もちろん日本代表の方も、特に前半は良し試合をしていたんじゃないかと思います。
 しかし、後半開始からメンバーが代わってからは、Jリーグ選抜が押す展開に。
 逆にもうちょっと後半の日本代表は、頑張らなければいけないんじゃないかとも思いましたけどね…(笑)
 主力選手が交代になって明らかに状況が悪くなってしまいましたから、このあたりは日本代表の課題の1つが見えたとも言えるのかもしれません。



 しかし、後半途中、Jリーグ選抜がもう1度メンバーを大きく変えると、全体の運動量が落ち一方的な展開に。
 このまま2-0のままで終わってしまうのか…と思っていた状況で、あのカズのゴールでしたから、本当にびっくりというか、感動いたしました。
 さすが三浦和良としか言いようがない展開だったと思います。


 あのゴールの盛り上がりもあって、この試合も大成功をおさめられたと言えるんじゃないでしょうか。
 逆に言えば、あのゴールがなければ試合も2-0というスコアで終わっていたでしょうし、消化不良の感がどこかに残ってしまっていたかもしれません。
 そう考えると、カズさんにはありがとうと言いたいですね。



 この試合がサッカーファン以外にどういった印象を与えたかはわかりませんが、少なくともサッカーファンにとっては大きな希望を与える試合だったのではないかと思います。
 しかし、日本のサッカー界においての本当の意味での復興というのは、Jリーグの再開ということになるはずです。
 より具体的に言えば、被災地での開催も含めて、全クラブがホームスタジアムで試合を開催出来て初めて”復興”と言えるのではないでしょうか。


 この試合は、その復興へ向けたスタートと言えるのではないでしょうか。
 続きはJリーグで作り上げていきたいですね。


 Jリーグの各クラブもカズさんのあのゴールに負けないような、感動を与えるシーンを見せられるように、努力していかならないのだと思います。