“長期的ビジョン”のためにも、現状の理解を

 あまり他チームの内情に突っ込んだ話はしないようにしているのですが、ちょっとだけ。
 今オフは清水から多くの主力選手が移籍していますね。
 藤本が名古屋に、兵働が柏に移籍し、、岡崎には海外移籍の噂があって、昨日は本田拓也の鹿島移籍も正式に発表されました。


 監督の交代や貢献者の解雇などが引き金になったとも言われているようで、実際そういった可能性もあるのかなぁとは思います。
 しかし、一方で予算というか、クラブ規模の問題もあるのかなとも思います。
 ここ数年安定した成績を出している清水ですが、09年度の人件費は13億7千万円。
 ジェフが15憶5千万円でJ1平均が16億2千万円であることを考えれば、低予算だと言えると思います。
 逆に言えば、いかにジェフが効率の悪い運営をしているか…ということになりますが。


 それでも清水が良い成績を出せてきたのは、良い若手を育ててきたことと長谷川監督の下で方向性を維持できていたことが大きかったのかなぁと。
 特に有力な若手選手を積極的に起用して育てていくことで、総年俸を安く抑えられたことは他チームにとっても勉強になる部分があるのではないかと思います。


 ただ、これ以上を望むのということになれば、現体制のままで予算も変わらないとなれば、状況は難しいと判断したのかなぁと。
 そういった発想があって、監督交代と選手の流出(もちろん出来る限りは引きとめたかったかもしれませんが)があったのかなぁと思ったりします。
 その若手選手達も日本代表で活躍するレベルになってより高い年俸を払わなければいけなくなっただろうし、体制を変えずにプラスアルファを求めるのであれば新戦力も必要となる。
 なにせ長谷川監督が就任して、去年でもう6年目だったわけですしね。



 悪く言えば1つのチームの崩壊とも取れるかもしれませんし、当然来季は苦しむ可能性もあるのでしょう。
 けれども、裕福でないクラブが、常時上位争いに顔を出すというのは簡単ではない。
 だから意図的にチームを一度崩して、作り直すという発想もあってもおかしくはないんじゃないかなと思います。
 あくまでもそれが“飛躍するための破壊”なのであれば。
 ただ、問題はその先のビジョンをしっかりと描けているかどうか。
 そして、もう一度作り直す道のりで、我慢することができるかどうかなのではないでしょうか。


 アマル監督の頃、阿部やハースなどを放出し、若い選手を積極的に起用したのもそれに近い意図があったのかなと思います。
 逆に言えば、未だに「オシム監督のような偉大な指導者が中小クラブに来ると、後に何も残らなくなってしまう」という意見もあるようですが、あの時は阿部や勇人など黄金世代が育ってきたタイミングがあっての成功だったはずで。
 ようするに、オシム監督はジェフというクラブがそれまでに時間をかけて育ててきた成果物を、収穫する役割だったんじゃないかと思います。



 では、今のジェフはクラブのライフサイクルにおいて、どういった段階にいるのか。
 そして、今後どういったプランを考えていくべきなのか。
 まだ芽も出ていないのに無理に芽を摘もうと思えば当然それに見合った成果物しか出せないだろうし、その成果では足りなければまた種蒔きからやり直さなければいけなくなってしまう。
 これが多くの畑や予算を持つクラブなら、たくさんの優秀な苗を買ってきたり他の畑で栽培もできるかもしれないけれども、ジェフはそうではないわけですしね。 


 そのあたりを含めた“長期的ビジョン”が重要なんじゃないかな…と、サポコミを前に改めて考えたりしました。
 やはり、まずはしっかりとした“長期的ビジョン”を建てるためにも、現状を分析し理解することが大切なんじゃないかなぁと。



 …もちろん、清水に関しては自分は第3者ですから今回の流出等の詳細に関してはわかりませんけどね。
 まったく意図せずに起きてしまったことかもしれないし、もしかしたらもっとドロドロした部分があるのかもしれないし(笑)
 でも、経緯は違うかもしれませんが、一度大量流出を経験した身としては、ぜひここから立ち直ってほしいと思っています。