2010年反省会 その8 フロント編
クラブのフロントが何かを決定したとしても、外からはどこに決定権があったのかなどわからないことが多いので、個々の首脳を評価するというのは非常に難しい問題だとは思います。
トップが全ての責任を持つのが当然という発想もあるかもしれませんが、それがすべてではない場合もあると思いますし。
ということで、あくまでも外から見た状況ではありますけれども、フロントにおける現状の課題と、今後への期待という意味で。
■フロント編
三木博計社長
まず経営面についてですが、あまり高い評価は出来ない状況だと思います。
確かに赤字補填(というか、一昨年昨年の夏の緊急補強の際に行われた補填)で、JR系のスポンサーを連れてきてくれたというのは事実だと思います。
ただ、本来であれば親会社からの補填ではなく外部からのスポンサー確保の方がありがたい話で、外部からのスポンサーが獲得できない状況だから親会社に頼らざるを得なかったというところもあるはずです。
親会社の関連企業ばかりに依存していてはいつかジェフへのサポートを弱める(撤退はないにせよ)可能性もありえるわけですから、出来るだけ多くの賛同者からスポンサードを受けることが理想だと思います。
しかも、その補填があっても昨年の経営状況は最終赤字6億円で、特別損失を除いた状況でも3億円以上の赤字が出ていますから…。
もちろんこの不景気やチームの低迷、移籍金の収入減など逆風はあったわけで、そのあたりを差し引けば酷い経営だとは思いませんが、順風満帆な経営だとも言いにくい状況だと思います。
補強を見てももったいないな…と思うことが多かったですしね。
戸田を獲得せず中後を獲ってみたり、レイナウドとの契約を延長せず結局半年後にあわててネットを取ってみたり…。
まぁ、このあたりは強化部の問題も大きいのかもしれませんので、社長の責任とは言いにくいのかも知れませんが。
ただ、社長賞を出してみたりシュート専門コーチに大柴を任命したり(結局シュート以外も見ているそうですが)と現場にも積極的に意見を出しているのかなとも思いますし、そのあたりへの疑問もあったりします。
とはいえ、そのあたりよりも気になるのが、サポーターとの関係ではないかと思います。
ここが三木社長が就任されて一番期待されていたところではなかったかと思うのですが、なかなかサポーターに対して心を開いてくれていないというか、本音を話してくれていないのかな…と思う部分があります。
ジェフサポの方ともお話したのですが、淀川前社長の頃はサポーターが何かを言えば妙な内容であっても何かを答えてくれた印象があったのですが、今はそれも少なくなってしまったのかな?と思うところがあります。
三木社長は非常に綺麗な運営というか、教科書通りの運営をしようとしているのかな…と言った印象があります。
巻の解雇のテンプレート通りの会見も、日本人指導者うんぬんの話や昼田さん解雇の件に関しても、クラブとして綺麗に収めるための発言だったのかなと思いますし、降格直後に掲げた「1年でJ1復帰」も、元ジェフの選手達を集めジェフ出身の江尻監督に拘ったのもマーケティングという意味では綺麗な形なのかもしれません。
けれども、それだけではクラブとしては成り立たないんじゃないかなぁと思います。
三木社長からは“お客さま商売”を推進している印象をうけます。
サポーターをお客さんとして見ていて(それはある意味では正しいのかもしれませんけど)、腹を割って話しあう仲間としては見ていないのかな…というところがどこかにあるのかなぁと。
…ただ、個人的には最終節の三木社長のあいさつに関しては、好感を持っています(サポーターの無言の対応も良かったと思いますが)。
来季のJ1復帰を強く言うわけではなく、サポーターの気持ちも組んで、謙虚な姿勢であいさつされていた印象でした。
考えてみれば三木社長が就任してから、大きく観客動員数が減少するということは一度もなかったはずです。
しかし、今期の終盤、偶然なのかどうかはわかりませんが、巻の退団以降、柏戦を除いて徐々に観客動員数が減少しています。
もちろん試合結果や試合内容の問題も大きかったのでしょうけど、このあたりの変化からサポーターの気持ちを組むことの重要性をより感じとり、あのようなあいさつになったのであればクラブにとっても大きな前進なのではないかなぁと私は思います。
私としては三木社長のこれからの成長・発展に、期待したいと思っています。
神戸清雄テクニカルディレクター
今年の失敗で一部では神戸さんが矢面に立たされている感もありますが、個人的にはどちらにせよ評価をするタイミグとしてはまだ早いのではないかと思っています。
そもそも江尻監督の続投は神戸さんが決めたのではないんじゃないかと思いますし、巻の契約満了決定に関してもどうなんでしょう?
チームに加入したのが昨年の終盤だったわけですし、いきなり神戸さんのカラーを出すのも難しい状況だったのではないかと思います。
それにユース年代には優秀なコーチ陣を招聘。
戦力の補強を見ても、山口、久保、ミリガン、渡邊あたりは成功だったと思いますし(ただし、ミリガンと渡邊は怪我で苦しみました。これをどう分析するかではありすが)。
勇人、茶野あたりは代理人など影響が大きいと思うので、神戸さんが連れてきたかどうかは微妙なところですけど。
名古屋色が強くなっていることを問題視する意見もありますが、個人的には優秀な人材であればどこから呼んだとしても大きな問題ではないのではないかと思います。
もちろん名古屋路線を選んだ結果、他の優秀な人材が流出してしまったり、補強した人材に何か問題があるのであれば困りものですが、現在のジェフの状況を考えるとまだクラブとして基盤を作っている段階だと思います。
逆にジェフ出身だから上手く行くとは限らないということは今期はっきりしてしまったわけですし、出来ることならばジェフ出身の優秀なスタッフがほしいところではありますけど、それもそう簡単ではないのかなと。
将来的にはジェフ出身のスタッフも育てたいところではありますが、今はそうも言ってられないのではないでしょうか。
GM、TDのような役職は自分の色を出すまで時間がかかる部分があると思いますし、最低でももう1年は見てあげるべきではないかと私は思います。